便利な世界は幸せ?

以前『タイタン』という小説を読んだ。
舞台は2205年。AIが何でもやってくれて、人は働く必要がない。そんな世界を描いたお話。
仕事とは何か。働く喜びとはどういうものか。いろいろ考えさせられる小説だった。

人間が心地よく生きられるよう、AIがすべて整えてくれる。
恋愛の相手だってAIに選んでもらうことができる。
人間は好きなことだけして暮らせばいいのだ。
AIのおかげでとても平和。みんな幸せ。そんな世界に見えた。

ただ、「それで本当に幸せなの?」という気持ちも芽生えた。
強く印象に残っているシーンがあるのだ。
それは、AIの緊急事態により人間の生活に影響が出てしまったという場面。
それまでにないことが起こり、みんなパニックになりそうな状況だった。
ところが、みんな驚くほど冷静なのだ。
AIが何とかしてくれる。そう信じているから。
AIの判断はいつも正しい。だから何かを考えて判断するのもAIの仕事。人は自分の頭で考えない。
恐ろしい、と思った。

そういえば今の私も、あんまり自分の頭で考えていない。
困ったときはとにかくスマホ。
「スマホがあれば何とかなる教」の信者にいつの間にかなってしまっている……。

便利なものは確かに便利。
でも自分の頭ももっと使ってあげなければ、と思う。せっかくあるんだから。

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