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拝啓 冨安健洋さま


WBC決勝で大谷翔平がトラウトを空振り三振させた歓喜の瞬間。
私は喜びガッツポーズをしながらも、冨安健洋さま貴方の事を考えている自分がいました。

WBCはベースボールのトップオブトップのバケモノが競い合った大会でした。

貴方も毎週のようにサッカーの最高峰のリーグそして首位を走るトップチームで化け物たちと闘っています。

そんな中でヨーロッパリーグで負傷し、今シーズンはプレーできないというニュースを聞きました。
私には想像できないくらいの失望感に苛まれているのではと、勝手ながら心配しています。

私はセスク・ファブレガスがキャプテンだった頃のアーセナルから15年ほどグーナーをしています。

その中でも一昨年のノーリッジ戦で貴方がデビューした日は私のアーセナル人生の最良の日のひとつでした。
同じ日本人だからとかではなく貴方のようなハイクオリティなディフェンダーがアーセナルに来てくれたことに、今でも感謝しております。

ケガについては貴方自身がもっとも悔しく、現状を一番把握している事象なので心配しておりません。

心配なのはメンタルです。
プレミア優勝に向けてチームが邁進している中、貴方がどういう気持ちで毎日を過ごしているのか。
貴方より少し長く生きている私から言えることは、深く自分にベクトルをむけて自問自答してほしいということです。

手術をしたということは相当長いスパンでリハビリに入るかと思います。

ここ数年、貴方はケガに悩まされてきました。
プレミアリーグのウィンガーに対処していくことは相当なフィジカル的な負荷がかかります。
貴方は食事面やコンディショニングケアに人一番気をつけてきたにもかかわらず、何度もケガを繰り返す状況です。
身体のケアやフィットネス向上よりも自分自身の特性や根本的な部分を見直す必要があると思います。

●自分にとってのフットボールとは
●人生においての一番大事な価値観
●色々なルーツを持った仲間から相対的に考える日本人としての自分

様々なことを考え抜いた先に、冨安健洋という人間の土台が培われると思います。

僭越ながら素人目ではありますが、私から伝えたいことを書せていただきます。

長くアーセナルを観てきた中で、数多くの移籍してきた選手がアーセナルというチームにおいて何もインパクトを残せず去っていきました。
サラー、ソンフンミンなど最高峰のウィンガーをパーフェクトに抑えアーセナルを救ってきたスーパートミ。
現時点において貴方はアーセナルというビッグクラブで活躍できた世界に誇れるフットボーラーです。

今シーズンはサリバというこれまた怪物ディフェンダーにCBから追いやられたホワイトと右SBのポジションを争うかたちになりました。

ホワイトとの比較でいうと、ディフェンスの強度、アジリティ、ヘディングの高さという面ではいずれも貴方が圧倒的に勝っています。
しかしアーセナルの右サイドは左サイドと違い役割がシンプルです。
攻撃時はサカにいかに良いかたちでボールを渡してアタックさせるか。
守備時においては左SBが絞りゲームメイクに加わるため3枚の右のブロックというところでしょうか。

ホワイトは貴方よりクラッシックなディフェンダーで、よりメンタル面で遊び心をもっているプレーヤーなのだと感じます。
相手をからかうようなプレーは貴方はしませんが、ホワイトはいい意味で”舐めプ”とよばれるようなプレーが見られます。
その心の余裕がテクニカルなサカとの良いコンビネーションを生み、ちょっと無理がきく身体を利用して立ち位置が悪いながらもトリッキーな守備対応をみせることができています。

ホワイトと貴方の個人の価値観のところは良い悪いはありません。
けれどもホワイトのように人生はサッカーだけでなく、ガーデニングの趣味などに没頭できるような生き方は少し取り入れてもいいかもしれません。

もう来季の話をしてしまいます。
未来のスカッドの状況はわからないですが、来季は左SBメインでやられてみてはどうでしょうか?
アーセナルにおいての貴方の全試合を観ていますが右より左サイドでプレーする方がイキイキとしてやり易そうにみえました。
貴方はサンティ・カソルラ以来の両利きの足でボールを蹴ることかできる選手です。
しかし、利き目は右目が強いのでは?

貴方は相手を見ながらプレーすることができるクレバーな選手です。
おそらく左サイドの立ち位置から利き目の右目でピッチを見たほうが全体を俯瞰してプレーできるのではないかと思います。

ジンチェンコは確かに足元の旨さとファンタスティックなプレー選択ができます。
しかしディフェンス部分と戦術的なプレーという観点からだと貴方に敵う選手はプレミアでもなかなかいないと贔屓目なしに感じています。

最後になりますが、貴方も充分に承知している通りアーセナルは最高なクラブです。

Once a Gunner, Always a Gunner

とチームを去った選手も誰もが言います。
アーセナルの仲間そしてミケル・アルテタに出会えたことは幸運です。

今は辛い時期かもしれません。
しかし良い時期が長く続かないように、悪い時期もそう長くは続きません。
たくさん悩んで自分の根っこを作ってください。
ワンランクスケールアップしたスーパートミとして帰ってくることを信じています。

東洋の片隅で応援している同胞”なみへい”より


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