映画「パラサイト」感想
こんにちはなみへいです。
先週末、横浜みなとみらいにて「パラサイト」を観てきました。
他のサイトで様々な映画評論がすでにたくさん書かれている作品なので、個人的に感じたことを書いて行きたいと思います。
作品としては韓国の深刻な社会問題を描きながらもコメディエンタメ要素がたっぷりの見応え十分に楽しめた作品でした。
この映画の重要なメタファーとして「匂い」があげられます。
劇中ソン・ガンホ演じるキム家のお父さんが自分の体臭について差別や屈辱をうけて自尊心を傷つけられ、これが最後のクライマックスの行動の引き金となります。
ここで話がそれますが、人の体臭が嫌な匂いだったり、さほど嫌ではなくむしろ心地よく安らぎを感じるように、人の体臭の好き嫌いは人それぞれだったりします。
私も以前、体臭がすごく嫌な匂いを発する先輩がいました。試しに他の同僚にそのことを伝えるとその同僚はさほど感じないとのことでした。
私にとっては耐え難い匂いが他の人にはなぜわからないのか不思議でしたが、それは人間が元来もつ生物的な危険察知の能力だと思います。
なぜなら、嫌な匂いを発する先輩と関わると必ずといっていいほど私に災いがふりかかってくるからです。
自分にとって嫌な匂いの人とは関わらず生きていくことが懸命かもしれません。逆もまたしかりで、自分にとって心地よい匂いがする人と接する事で良い方向に人生が拓けていけるかもしれません。
こういった匂いについては、まさに男女の恋愛でみなさん経験している方は多いはずです。
私がこのパラサイトで注目した点がもう一つあります。
韓国の伝統的な儒教社会についての描写です。
なぜなら文藝春秋の2月号の記事で韓国の凄まじい格差競争社会と自殺率の増加の記事を読んだからです。
昔は儒教社会の通り「敬老社会」であったが、最近では「嫌老社会」という言葉が使われており、若年層が高齢者を支える余裕がないために、社会的弱者である高齢者が白眼視されているそうです。
韓国の人は日本の「介護離職」という言葉が信じられないそうです。
(確かに劇中でも一人の警備員の募集に500人が応募するというセリフがありました。少なくとも現在の日本はそんな異常な雇用状況ではないです。)
韓国では自分の子供や、自分自身の暮らしが優先され、子供が親と同居しているケースは少ないという記事でした。
ちなみに、韓国の高齢者の貧困率は43.8%と極めて高く、自殺率もOECD加盟国中、最も高い国(10万人あたり54.8人)という悲惨な状況にあります。
しかし、劇中においての貧困のキム家は子供たちがお父さんに対して従順で敬っている様子もあり、孝の精神は保たれているように見受けられました。
それは子供たちが経済的社会的にも自立できない状況にあるからなのでしょうか?
とにかく現実の韓国では儒教社会は遠い昔の話のようです。
このパラサイトで描かれている壮絶な格差社会は日本の未来にも起こり得ます。今現在でも映画「万引き家族」のように1部の層ではすでに貧困は拡大していっています。
日本で抱えている少子高齢化や経済の低成長という社会問題から考えていくと韓国の状況は対岸の火事ではないことは自明のことです。
とにもかくにも韓国映画は邦画より数段レベルは高いことは間違いなく、久々の映画鑑賞を楽しめました。
まだ観ていない方は是非ともおすすめいたします。
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