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世界が変わる瞬間

11/8  自傷行為を親に伝える日

部活をしていたら担任の先生が来た

「テスト終わったら部内戦やるし」
と先生が告げるとざわめく部員たち

先生がふいに僕の方を見た
小声で「終わったら教室来て」と言われる


親が教室に来ると思っていた
怖かった 嫌だった

だから副顧問と友達と話してた

少なくともその間だけは怖くなかった


先生は教室にいなかった

暖房が付いていて 暖かい教室

暖かいはずなのに
僕は震えが止まらなかった


教室の隅でしゃがんでいた
見つからなかったら良いな、と思いながら

でも先生はやってきた
僕の姿が見えないと気づくと「あれ?」と呟いていた

そして僕に気づくと
「何やっとんねんお前」とくしゃりと笑った

くねくねパズルを先生が持ってきた

「できひん、疲れた」って言うと
「おまえ忍耐力ないな」と笑われた

先生が面白くて、優しくて
もしかして僕を元気づけようとしてるのかな なんて思ってみたり

「親に会いたくない、帰りたい」って言ったら「帰るか?」って聞かれた
「その選択肢もありやで」って

「でも、どうせ家で会うやろ?
そうなったらおまえは絶対家帰りたくないって言うやん
家にも帰らんとそこら辺ふらふらしてるのも問題やからな

って言われた

図星だったので渋々帰るのを諦めた

先生が「ちょっと待っててな」と言って教室を出て行った


ひとりきりの教室
6時過ぎ
どのクラスも人はいない

暗くて暖かいはずの教室がひんやりと感じられた

先生が戻ってきた
下降りよかって言われて

嫌だ嫌だって言いながら降りた

カウンセリングルームには親がいた
父親、母親どちらも

顔を見たくなくて、怖くて
先生の方をずっと見ながら話を聞いてた


親の声が掠れてて 震えてて
泣いてるんじゃないかって思うと
やっぱり顔は見れなかった


今日は親と話したから
しんどいやろうしゆっくりし

とI先生からの優しさ

その優しさをどこで受け止めれば良いのか分からず
僕は目を逸らした

いきなり病院とかに行くのではなく
1番身近な専門家であるスクールカウンセラーと話すことになった

カウンセラーが来るのは火曜日なので
部活終わってからで良いと言われた
ひとりで行くのが嫌なら初めは俺も着いていくって言ってもらえた


話終わって
「親と帰る?先帰る?」と聞かれた
先帰るって言ったから先生が着いてきてくれた


先生が歩きながら「偉かったな」って
背中叩いてくれた
ちゃんと話せて偉かったやん、頑張ったな」と

僕は何も話してないのに
先生の優しさに甘えていただけなのに

でも、その手が大きくて暖かくて どうしようもなく安心した


それから外に出たら先生がいっぱいいた
その時思い出した、月食なんだ
僕の気持ちとは関係なく月は明るかった


やっぱり今でも親に伝えられたことは嫌だ
僕が良いって妥協してしまったのが悪いけれど

それでも、いくら親が嫌でも
今日はきっと世界が変わった瞬間なんだって信じてる

もし生きてたら 未来の僕が
あの日親に伝えて良かったって思えると良いな

そんなことを思った1日でした

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