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【バリの波】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

3月も中旬となり、千葉の海沿い付近では鶯が鳴き始めました。菜の花も咲き乱れ、花粉も飛びまくり、東京では桜が開花しました。本格的な春の到来ですね~。
水温はまだ低くとも、頬に当たる風が柔らかくなるだけで気分も少し上がるのではないでしょうか。
 
さて、昨年は海外トリップへ行かれる方が少しずつ増えてきたなーという印象がありましたが、成田⇔デンパサール直行便が再開された11月以降、バリトリップへ行く人が急増したように感じています。
そしてわたくしもお休みを利用し、短い期間ではありましたが、ついに!3年ぶりのバリへ行ってまいりました。
 
そこで今回は、バリの波についてのお話をいたします。
インドネシア、バリ島は赤道を超えた南緯8度付近に位置しています。
一年を通して気温が高く、インド洋からのウネリがコンスタントに入ってくるため、豊富な波に恵まれており、さらに時差は1時間というありがたさもある、サーファーにとって身近で魅力満載の島。
リーフブレイクが多く、上級者向けのアウターリーフが多いのですが、ビーチブレイクもあり、幅広いレベルの人々が楽しめるサーファー天国です。
 
季節は乾季(5月~10月)と雨季(11月~4月)の2つで、乾季は西側、雨季は東側のエリアがシーズンで、どちらも広大なインド洋からの南ウネリが反応します。

まずは、乾季の波から。
バリはほぼ赤道直下の南半球ということで、常夏の島でも乾季は一応冬ということになります。
冬の間、はるか南の南極海(南氷洋)は大荒れとなり、この大嵐によって周期の長い強い南ウネリがもたらされます。
日本でいえば、冬に北東ウネリをもたらすアリューシャン列島やベーリング海の大荒れ状態をさらに広大にしたイメージです。
冬の南極海を次々に通過する猛発達した低気圧から、ウネリが北へ向かって次々と押し寄せていきます。
そして、この時期オーストラリアも冬ですから、オーストラリア大陸では地表付近に冷気が溜まり、冷たい高気圧が居座ります。
南半球なので、高気圧からは北半球とは逆の反時計回りの風が吹き出すことで、バリ周辺は乾燥した東~南東風がメインとなり、乾季にオフショアとなるのが西側のエリアです。

雨季に比べサイズもパワーもあり、水温は下がりますが、超一級ブレイクのポイントのシーズンでもあり、ハイレベルサーファーのパフォーマンスを楽しめる季節です。
 
次に雨季ですが、一応夏ということになります。
南極海の低気圧は冬に比べ弱まりますが、赤道より少し南のインド洋に発生する雨雲や熱帯低気圧、さらに南の海上に出来る湿った高気圧吹き出しなどによって南ウネリが届きます。
乾季に比べ小さめとなりますが、それでも十分なサイズの波が続くこともままあり、日本に比べ大きく動く潮回りも相まって、楽しめる日は多くあります。

風は南西~西寄りとなることが多いため、東側のエリアがメインとなるシーズンですが、朝夕は比較定期風が弱いことが多く、西側でも出来る日はあるでしょう。

3年前までは、チケットと宿を取ってパスポートさえ忘れなければ、何も考えずに行くことができていた海外トリップ。
なんとなくまだ難しいのでは?というイメージがありましたが、調べたうえでバリトリップに行ってみました。
今回のバリの場合、まずは書類(2回以上の接種証明またはアレルギーなどの診断書)を準備し、入国時にはビザ(500,000ルピー支払います。5,000円札でもOK)とQRコードの取得が必要になります。QRコードはスマホからも取得出来るため、搭乗前にしておくと良いです。ここでのポイントは、ローマ字入力は日本語変換の英数字からだとエラーとなるため、キーボード画面から!ということです。
また、帰国前には日本入国のために3回以上の接種証明もしくは72時間以内のPCR陰性証明を用意したうえで、Visit JapanのWeb登録が必要となります。
と、ここまで読むと一見面倒なイメージがあるかもしれませんが、予想以上に容易で非常にスムーズに事が運び、これまでの海外トリップと同じように楽しめました。

島国日本には豊富な波がありますが、たまには海外トリップもいいですね。
 
気象予報士
塩田久実