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画家 島成園のまなざしよ! 決定版!女性画家たちの大阪展

 先日、出張ついでに、大阪中之島美術館で開催中の『決定版! 女性画家たちの大阪』展(2023.12.23~2024.02.25)へ行ってきました。
 会場に入るなり、作品からのパワーに圧倒され、ああ!やっぱり実物を見にきてよかった~と思いました。
 休みの日、やんちゃな子ども達とは一緒に行けない美術館。こうやって平日昼間に、こっそり静かに鑑賞するのが、オトナの楽しみ♪って感じで特別感あります。

あらまし

 大正時代から昭和前半まで大阪で活躍した、島成園(しま・せいえん)をはじめとする、女性画家達の展覧会です。
 日本画や美人画について予備知識はなかったのですが、そんな私にもわかりやすく解説してありました。
 当時の美術界は、東京と京都が中心で、制作者は男性が多数。
 そんな中、大阪の島成園が若くして文展に入賞し、それに憧れた他の女性画家たちも実力を発揮、育成のための画塾ができたり、大阪の女性画家達の活動は他の都市にひけをとらない存在感があったようです。

女四人の会

 特に惹き付けられたのは「女四人の会」。20代前半の女性4人で井原西鶴の「好色五人女」を研究し、それをテーマにグループ展を開いたとのこと。この女性4人が並んだ写真がパネル展示してあり、この写真の前でしばらく動けなくなってしまいました。
(絵画ではなく、写真で立ち止まってしまうなんて)
 中之島美術館のInstagramなどで、写真を見ることができます。

 美人画よりも美人で、色っぽく、お洒落で、可愛らしい女性たち。何よりも、この流し目よ! (左から、岡本更園、吉岡(木谷)千種、島成園、松本華羊) 
 「私たちで、新しい時代切り拓いていくのだ!」
 という強い意志も感じます。
 この4人の立ち姿が、カッコよくて憧れます。

島成園の強いまなざし

 島成園は、下の写真のように自画像や、自身をモチーフにした絵も描いています。

 

 当時の写真からも、彼女の顔を見ることができます。
 それらを眺めているうちに、脳裏から、彼女の強いまなざしが離れなくなってしまいました。
 解説には、「画家として社会的成功を夢みていた」「結婚後は思うように製作できなかった」と書いてあります。
 彼女のまなざしにどんな思いがあったのか、今は推測することしかできませんが、強い意志を持って、その時代に生きていたのだなと感じます。

生きている作品

 作品はどれも、美しく、生きているようでした。男性が描く美人画とは違い、人間の美しさ、悲しさ、強さを感じました。
 中でも、自分にも子供がいるからか、子供の可愛らしい姿を描いた絵に惹かれました。 
 以下、撮影OKで、自分の気に入った作品を紹介します。

平山成翠 『童女』
吉岡美枝 『ホタル』

 展覧会の余韻に浸りつつ、やっぱり図版買っておけばよかったーと、現在後悔しているところです。

追記:年増の美

 芸術新潮1月号の第2特集で、この展覧会が載っているということで、購入しました。

第2特集 なにわ女子のきらめき 
近代大阪画壇ものがたり

 記事の中で印象的だった言葉は、「年増の美」。
 島成園や木谷千種は、若くはないけど痛々しいほど妖艶な女性画をいくつか描いています。
 歳をとっても、美しく愛されたいと思う女性の心。
 また、歳をとってさらに妖艶さを増す女性。
 現代でも、美術や文学のテーマにしたら面白いだろうなと思いました。

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