世界を巡るお金について


 お金の使い方は「消費」「貯蓄」「投資」の3つに分類できるけど、世界中のお金がどの役割にどのくらい使われているかを把握することは難しい。今回は、世界を巡るお金について、書いてみようと思う。

 まず「消費」について。お金は誰かが支払うことで同時に誰かの収入になり、これが経済全体に広がって大きな循環として成り立っている。売買が盛んに行われ、お金が巡れば巡るほど、経済が成長していくと言える。

 次に「貯蓄」について。貯蓄に回されたお金は、直接的には経済成長に繋がらない。預金がそのまま銀行員の収入になったら嫌だよね。銀行はお金を預かるけど、その手数料で大きな利益を得ることはない。だから貯蓄は将来の備えになるけれど、経済全体を巡るのではなく、その場に留まってしまう。

 最後に「投資」について。投資とは利益を見込んでお金を使うことで、成功すればお金が増えるけど、失敗してお金が減ることもある。投資に使うお金には「消費」に近いものと「貯蓄」に近いものがある。

 例えば、企業の設備投資や個人の教育への投資は、将来の成果を期待する消費の一環でもある。企業は新しい技術を導入することで生産性が向上し、個人はスキルを磨くことでより良い仕事に就けるかもしれない。

 一方で、投資信託などに回されるお金は貯蓄に近い。企業が株式を発行するタイミングでは資金供給がされるけど、その後お金は株式や債権などの別の資産になって金融市場内で巡り、経済全体に与える影響は限定的だ。

 けれど現在、実体経済から金融市場に流れるお金が年々膨大になっていて、これが為替市場や通貨の価値に影響を与えている。

 通貨は安全な資産だと見なされることもあるけれど、金融市場では相対的な価値に過ぎない。通貨だって人口減少により需要が減り、社会保障を補うために供給量が増えて、価値が下がるかもしれない。

 そう言う意味では「貯蓄」は、自国通貨へ「投資」しているとも言えるんだ。

 将来、世界がどうなって行くのかは、誰にも予測がつかない。だからこそ人々は、資産を様々な価値に分散して持とうとする傾向がある。それが金融市場にお金が集まる理由の一つでもあるんだ。

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