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ホラー?映画を劇場で観た話

先日、M・ナイト・シャマラン監督の『OLD』を劇場で観た。

『OLD』は2021年に公開された、「その場にいると急速に老けていくビーチ」に閉じ込められた人々の群像劇スリラー映画だ。
急速に老けていく目に見えない恐怖と、ビーチに閉じ込められているという閉鎖的状況での疑心暗鬼の雰囲気の中で、「良い年齢の重ね方」「家族とは何か」を考えさせられる作品だった。
2021年11月現在はおそらく公開も終了し、サブスクや円盤にもなっていない空白期間となっている。

何度か劇場の予告で見かけ、「急速に老けていく」という不思議超常現象設定に強く惹かれて興味を持ったのだけれど、劇場に観に行くかは直前までとても悩んだ。

それは僕が極度の怖がりだからである。

そもそも僕はホラー作品が苦手だった。今でも得意というわけでは決してない。決して。
どれくらい苦手だったかというと、ホラー作品でない映画でも「怖そう」な雰囲気だけで観れなくなってしまうほど苦手だった。
(『インデペンデンス・デイ』をホラー映画だといった時には友人に鼻で笑われた)
『OLD』もジャンルは「スリラー」らしいのだけど、視聴前の僕にとっては「ホラー」判定。
友人が一緒に行ってもいいと言ってくれなければ悩んだ挙句に観に行かないということもあり得たと思う。

ただ、ホラー作品の物語には強く惹かれるものがある。
それはヴィランの悲哀だったり、設定・世界観の重厚さだったり、人間の本性が露呈する状況だったり、作品それぞれではあるけれど、「恐怖」という根源的な感情を伴う物語にはそれ相応の重厚さを僕は感じる。
それに気が付くきっかけになったのは『サイレントヒル2』をクリアしたときだった。そしてクリア後に考察サイトを読み漁って「ホラー」というジャンルの物語に惹かれていった。
それで「ホラー」を克服したかと言えばそうでもなく、『デメント』では続きをプレイしたいという思いと恐怖がせめぎ合い、ロード直後にメニュー画面を開いただけでゲームを終了したこともある。何でプレイし始めたかって?ダニエラさんに会いたかったからだよ……。

今でもホラー作品の感想ブログとか考察とかを探してよく読んでいる。記事を読んで「実際に観たいなぁ」と思える作品もいくつかあった。
『ゲットアウト』とか『IT』とか『来る』がそれにあたる。そしてその中にはちょうど劇場で公開中に存在を知った作品もあった。
が、ここで別の問題が立ちふさがる。

僕は声が出ちゃうタイプの怖がりなのである。

過去にホラゲをプレイするとき、怖いので隣にいてくれと友人に頼んだ際は「お前の叫び声のほうがびっくりするわ」と言われたりもした。
さすがに他の人も観ている劇場でそんな叫び声を上げるわけにもいかず、劇場で観ることを断念した作品も多い。
『OLD』
に関しては、(予告の雰囲気は怖かったけど)がっつり「ホラー」というよりも、不思議な方の「ミステリー」寄りという印象だったので「たぶん大丈夫だろう」と興味が勝り、さらには友人を巻き込むことに成功したので観に行けた。
ちなみに叫びはしなかったが、一部のシーンで恐怖のあまり声が出そうになり、全身に力を入れて文字通り全力で誤魔化したりもした。観終わった後は普段映画を観る時よりも疲労していたと思う。

結果としては、『OLD』は劇場に観に行って良かった作品だった。
僕の求めていた「ミステリー」要素や、「極限状態の人間の言動」が描かれていて、さらには「時間」「家族」について考えさせられる作品とは予想していなかったのでサプライズだった。一部怖かったけど。
やっぱり興味を持ったのなら観れない理由を極力減らして観ることも大切だなと感じた。
ただ、『OLD』は僕の恐怖キャパぎりぎりの作品だったので、「ホラー」作品を劇場で観ることは今後そんなにはないと思う。他の人の迷惑になってしまうしね。

そんな僕でもサブスクなら部屋を明るくして適度に離れて観れるし、何より自室で観るのである程度は声を出しても良い。気になったホラー作品を観るハードルが少し下がる。
興味を持った作品はどんなジャンルでも観ていきたいね。
ただし「スプラッター」、君はダメだ……。

僕の中の子羊たちはまだ泣き止みそうにない。

どうだねクラリス
子羊たちは鳴き止んだかね?
――『羊たちの沈黙』 ハンニバル・レクター

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たまには勇気を出して普段行かないお店に行くのもまた冒険。


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