記書きかない社会人の話

上記、下記、右記、左記
社会人になると、あるいはなる前でもこんな言葉を見る機会ってあると思います。これをなんとなく「上記ってのは上に書いてあるって意味だな」って思っている方、ぜひ読んでいってください。

 「上記」を例にとって説明しますが、これ実は上に書いてあることを指すときに使う言葉ではありません!単に「上に記されている」から「上記」ではないんです。これは「記書き(きがき)」という書き方をしたときに使う言葉なんです。

「記書き」というのは例えば、

次回のミーティング予定は下記の通りとなっております。ご参加よろ(略
 
・日時:2021年9月11日 13:00~14:00
・場所:第1会議室
・議題:キノコとタケノコどちらが好きか
 以上

みたいなやつのことです。この「記」と「以上」で挟む書き方を「記書き」といいます。記書きで書いた部分を指す文章でのみ、上記とか下記といいます。横書き文書で記書きより後の文章で使うなら上記、記書きより前の文章で使うなら下記になります。同様に縦書き文書で後に使うなら右記、前に使うなら左記になります。

 記書きに書く内容は、その文書で一番伝えたい大事なことを、簡潔に箇条書きなどで分かりやすく書くことが大事です。また、記書きが2ページにまたがってしまうのはマナー違反と言われることもあるので注意しましょう。

「上に記されている」って意味で使っちゃダメ?

ダメです___。
 間違った使い方をする人はぶっちゃけ沢山います。文字面から言いたいことは伝わるのでコミュニケーションとしては成立します。わざわざ「それ間違ってるよ」と言ってくる人もあまりいないと思います。みんなきっと意味が伝わるならどうでもいいじゃん、って思うでしょう。それは「間違ってても恥を書くのは自分じゃなくてアイツだからどうでもいいじゃん」って意味でもあります。逆に言うと自分にも火の粉が降りかかる場合はそうなりません。例えば社外向けに発表する資料では、こういうミスは許されません。なので記書きのルールを分かってない文書を作ると「あいつには社外向け文書の作成は任せられないな」って評価をされてしまいます。
こんなつまらないことで!仕事できないって思われちゃいます!

言葉は移り変わるもの…?

 こういう話をすると「言葉というのは時代と共に移り変わるものなんだ。もともとは誤用でもそれが一般に通用するようになったなら、それはそれで正解なんだ云々」といったみっともない言い訳を始める人がいます。

 確かにそういう事例は多くあります。有名なのは「確信犯」ですね。もともとは「自分は正義だという確信をもって犯行におよぶ犯罪者」を指す言葉だったのが、いつからか「悪いことだと分かっていて犯行におよぶ犯罪者」という誤った用法が一般化しました。このせいで「確信犯」といった時にどちらの意味で使っているのか伝わらなくなりました。まあこういうこともあるのは、ある程度は仕方のないことですが、「記書き、上記、下記…」については全く移り変わりなんて起こっていないので、こういう開き直りは良くないですね。

終わりに

 何でこんなこと書いているかって、仕事でこの手の間違いで数え役満いきそうな文書に出くわして実害被っているからですよ…。まったく勘弁してくれ。読んでくれてありがとなす。

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