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料理が作れなくなって、克服するまでの話


ゴールデンウィーク明けから一ヶ月間、全く料理が作れなくなりました。

結婚して丸二年。 二人暮らしで家事を分担していますが、私は夕飯作りが担当です。

私にとって料理というのは本当にハードルが高く、「夕飯なんて食べられればなんでもいいじゃん」という考え方(一種の気楽さ)が全くありませんでした。

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これまで私が夕飯を作るために「やらなければならない」と思っていた流れを紹介します。

まず1週間分の献立を決める。そのとき彩りを想像して、何を組み合わせて出すかを考える。栄養バランスも考えます。例えば鶏肉と大根の煮物を作るのであれば色は茶色なので、足りない色(緑色や黄色)を補えるものを作る。プラス栄養面も考えるなら小松菜と豆腐の味噌汁とか、卵料理ですね。
また、食材に余りが出ないように考えます。例えば月曜日に人参を1/2個使うとすると、火曜水曜で残りの人参を使い切れるような料理を考える、ということです。

その献立を見ながら、スーパーに行く前に買い物リストを作ります。買い物リストを作らないと、安くなっているから…などと無駄なものを買ってしまい、食材を余らせてしまう気がしていたからです。献立決め→買い物リスト作成。ここまでで30分以上かかっていました。

買い物リストを作ったらスーパーに行きます。ここが一番の難関でした。私の住んでいる地域では、スーパーにいるのは子供を連れた母親かお年寄りがほとんどなのですが、私は今の地域に引っ越してきてからスーパーがすごく苦手になってしまいました。
私は突然鳴る大きな音がすごく苦手で、心臓がバクバクして冷や汗をかいてしまいます。子供連れが多いスーパーは叫び声と泣き声の応酬。もはやテーマパークのように騒がしく、私はスーパーに行くたびに体調が悪くなります。でも、行かなければならない。いつも気力を振り絞ってスーパーに向かっていました。

スーパーから帰ってきたら、いよいよ作っていきます。
献立決めのときに考えた彩りや栄養バランスはもちろん守らなくてはならず、さらに「必ず美味しく作らなくてはならない」と思っていました。
ですので、必ずレシピ本やYouTubeを見ながら作っていました。目分量で調味料を入れたり、タイマーをかけずに煮たり焼いたりすることは絶対にありません。だって、美味しく作らなくてはならないから。自分の感覚を頼りに作ってしまうと失敗するかもしれない…と、自信がなかったからです。

まとめると、私が夕飯を作るには、
1, 彩りと栄養バランスを考えて、1週間分の献立を作る。
2, 食材に余りが出ないように買い物リストを作る。
3, 大の苦手なスーパーに行く。
4, レシピを必ず守って、美味しく作らなければならない。

この4つのハードルを乗り越えないといけなかったのです。

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ゴールデンウィーク明けに私は体調を崩しました。いろいろな原因が重なった結果でしたが、諸事情ありずっと服用していた薬をやめたこと、友達関係でショックな出来事があったこと、極めつけはひどい風邪を引いたことでした。

風邪を引いていて料理ができなかったと言えば仕方ないのですが、良くなってきても以前のようにハードルを乗り越える気力が湧きませんでした。
体調不良をきっかけにして、今まで「頑張ってやらなきゃ、乗り越えなきゃ」と自分を追い込み張り詰めていた気持ちがバチン!と弾けて、立ち上がれなくなっていたのです。

夫は無理して作らなくていいよといつも言ってくれて、私が作れなくなってからはお弁当を買ってきてくれたり、(今まで料理したことがなかったのに)色々と作ってくれたりするようになりました。
私に作ってほしいなんて一言も言わず、なんでもないように過ごしてくれました。本当にありがたかったです。
でも、私は情けない気持ちでいっぱいで、自分のことが許せず、毎日耐え難い気持ちでした。

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作れなくなってちょうど一ヶ月が経った頃、私は夫に初めて、気持ちを打ちあけました。
「私、夕飯を作れなくなって、そんな自分が情けない。でも料理をするには乗り越えなきゃいけないハードルが多すぎて。気力が湧かなくなっちゃった。これからどうしていけばいいのかわからない。でも、このままの自分じゃ嫌だ」と。

そうすると夫は言いました。

「無理して作らなくていいけど、ひろはがそう思うなら…。
いま冷蔵庫にある物だけで、何か“テキトーに”作ってみたらどう
献立決めて、これを作らなきゃいけない、ってするんじゃなくてさ。
食べられればいいんだよ。夕飯なんて何でもいい。美味しくなくてもいい。食材だって、最悪余ってもいいんだよ!


…正直、目から鱗でした。

彩りもバランスも良くなくてはいけない、
食材を余らせてはいけない、
美味しいものでないといけない。

確かにそれは理想的ではありますが、
「絶対に守らなくてはいけないこと」ではなかったのです。

これに気づくまで丸二年って、相当頭が固い…。

一度決めたやり方を、状況に応じて変えていく柔軟さが足りない。
これは自覚していたつもりでしたが、今回ほど身に染みて実感したことはありませんでした。

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夫のアドバイスを聞いてすぐその日に、私は一か月ぶりにキッチンに立ちました。

冷凍庫には塩鮭とカットおくら、
冷蔵庫には大根、えのき、賞味期限ギリギリの卵がありました。
今までだったら、塩鮭は野菜と一緒にホイル焼きとかにしないと栄養バランスが……などとごちゃごちゃ考えて、結局「鮭に合いそうな野菜が無いから作れない」と思考停止していたと思います。

でも、この日は、呪文のように何度も唱えました。

「献立を決めず、あるもので、テキトーに。」

結果、出来上がったものは
フライパンで焼いただけの塩鮭。
おくら、大根、えのき、卵を入れただけの味噌汁。

…できた。
冷蔵庫にあるもので、何も決めていなかったのに、夕飯が作れた…。
しかも、美味しい。美味しく作れた。

今まで自分で勝手に背負っていたものが、ドカーッと肩から降りていった感覚でした。

その日からというもの、一日おきではありますが、再び夕飯を作れるようになりました。
ひとつ、大きな壁を破ることができた気がします。

また、これまでスーパーには月曜に一人で行っていたのですが(夫が仕事から帰ってくる前に)、土曜か日曜に夫と二人で行くようにしてもらいました。
夕飯作りが自分の分担だからといって、何もかも一人でやろうとしなくてもよかったんですよね。
作れなくなってもなんでもないように過ごしてくれたこと、大事なことに気づかせてくれたこと。本当に、夫には頭が上がりません。

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何度も言いますが、私は本当に頭が固いです。
でも、料理に対する姿勢を変えるにあたって、自分なりに学びを得られたと思います。

仕事でも人間関係でも趣味にしても、今回の学びを応用させて、「こうしなきゃいけない」にとらわれすぎない生活ができればいいなと思いました。

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ここまで読んでいただきありがとうございました!

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