音MADとセリフ合わせ

音スタダ作者のセリフ合わせを部外者が厳しく評価する音MAD

制作後記です。

この動画、note立ち上げから一週間立ってないのに3回も引用してます。
そして今回、メインにもします。見て欲しくてたまらないのです。

<はじめに>

この企画へのレスポンス動画となります。

簡単に企画概要説明すると、同じ材料であっても作る人によって違うものが出来ますよ、という事を「音MADのセリフ合わせ」という条件の中で明示してくれる最高の企画です。
前身の企画(実力者勢ver)が存在し、「音スタダ勢」というフレッシュな面子でそれをやってみたリスペクト企画でもあります。
詳しくは元記事参照ください。

<例える>

何かに例える必要ないほど分かりやすい企画なのに料理で例えてみます。

「この具材だけを使ってチャーハンを作って!」と料理長が指示します。
なんと、このお店にはレシピがないのです。
ある料理人は具材を細かく刻みます。別の料理人は具材を潰してこねています。また別の料理人は先に米だけ炒め始め、またある料理人は卵を米にコーティングします。調味料をドバドバかける人もいれば、一振りのみの人も。皿ではなくコップに盛り付けだす人も、おにぎり形状にして提供する人もいます。ある料理人は白米と卵焼きと野菜炒めを作り「これが私のチャーハンです」と言いながら持ってきました。

チャーハンというものは大抵の場合は美味しいのです。

つまりチャーハンは美味しいのです。

<背景>

みんなほんとに違っていてすごいなぁと思いました。
あと曲がすごく好きになりました。
ヒフミが愛おしくてたまりません。
だから作りました。

評価という体裁を借りて「セリフ合わせの楽しさ・面白さ」と「セリフ合わせに対する考え方・テクニックなど」を参加者皆様の良質なサンプルを基に自分の経験・知識を交えて言語化し共有できたらいいなという思いが原動力となってできた動画。
…というのが半分、もう半分は言いたいことを言いまくっただけです。
(中略)
「これは違うと思う」「こんな考え方もある」「noteでやれ」(※1)「うんこ」など私の評価に対しての突っ込みや批評を気軽にコメントしてください。そこから新たな発想にも繋がると思います。

動画のキャプション抜粋


補足1:実行しました。

<評価された音スタダ勢の反応>

投稿してから約1ヶ月、企画参加者のうち半数程度の方に反応いただきました。ありがたい限りです。
質問やお願いに丁寧に回答してくれたりと皆さん本当にいい人です。
コメントにコメント返せてないところもこの記事で出来たらなと思います。

見てもらえたかどうかの判断基準は「いいね」か呟きか公開マイリスくらいしかなく、見たけどそれらの行動をしない方ももちろんいらっしゃると思っていて、特定ターゲット全員に見てもらう目標はすごく難しいんだなと感じました。
そうなるとあとは見てもらうチャンスを増やすしかありません!それでこれ書いてます!

付録(本編)

私の評価動画内に書いた評価文を載っけておきます。
延べ37人分、長いよ!!

チョコ味バームクーヘン 

主催によるセリフ合わせ。
企画において「こんな感じのことをやりたい」というのをスタート時に参加者と認識合わせすることは企画成功の鍵。
その具体的手段としてサンプル作成。
正解のないお題に対して見本として最初に提示するものは、クセがなくスタンダードであることは必須条件かと思います。
主催者様はその点を十分に汲んでこちらを作られたのだと思われます。
これぞお手本。いや、お手本にしてはレベル高くてハードル上がっちゃう感がある。
単語や言葉の繰り返しは「音MADらしさ」が上乗せされる定番の技法ですが、ここではそれを主に置かずディレイとして曲の構成に馴染ませるために使われています。
VSTによる曲自体への馴染ませも上手い。
私含めて他の方がこの合わせに影響受けるの納得のマネしたいテクニックが盛りだくさんです。
すき。

脱線しますが、主催者様へお伝えしたいことをここで述べさせてください。
本企画で「Outside」という神曲を知ることができて、本当に感謝してます。ありがとうございます。めちゃくちゃ好きになりました。
イントロからしてヤバい。ワクワクする展開を経てサビ!ていうか全パートがサビやん!ずっと好き!そして超超超好きなパートがきてからの転調ラスサビ。
そのままアウトロも兼ねて華やかなまま終わってく。終わってほしくない!もっと続け!
そんな方にはループVerもある。ヤバいわよ!
好き好き大好きいいい!好き好き大好きいいい!!
そしてゲーム本編でこれを聴く時は絶対泣くと思う!MRD買う!待っててマッドラット&ハート!
 

もどり鰹 

 スーッと入っていける優しさの裏にはシンコペーション/アンティシペーション的な”溜め”と”前のめり”をこれでもかと散りばめてリズムで遊び倒したセリフ合わせ。
また終盤の「そんな」の2回繰り返し(ディレイではなく意図した繰り返し)は全く違和感なく、逆にヒフミのこの言葉に込められた感情が跳ね上がったように感じズドンと心に響きます。
音MADだからこそできるセリフ改変。
ネタとしてではなく、原作愛に基づくちょい足し改変。
隙間埋めにもなるし、このさりげない繰り返しには感嘆のため息が漏れました。
「そんな」の繰り返しは複数人の方がやっておられました。
私もそれいただきます。
すき。

えら釘数学ららじばら

 シンプルなセリフ合わせ。
シンプルにする/考えるって実は凄く難しくて、特に音MADにおいてはそれ自体がシンプルと対極の存在ですので、音MADでシンプル=洗練されているってことです。
余計なものは入れない。超熟。
細かく微調整したりVSTで薄く効果かけたりしてブラッシュアップされた過程を感じます。
ヒフミを素材としているからこっちの言葉の方がいいかもしれませんね。
”平凡”なセリフ合わせ。
すき。

ちなみに私もシンプルな文章を心がけているつもりですが、論理の飛躍や脱線、文脈無視、無駄に多い括弧書き、特定界隈にしか伝わらない単語や語録、無造作な羅列、単純に意味不明な文章、とシンプルさはどこへやら状態なんです。
この先もこのような長文が続きますが一気に読まなくてもいいしなんならギブアップしても全然いいんですよ、と一応序盤で記しておきます。
ここまで読んでくれたあなたもすき。

 つづらおり

「お友達」をそこに持ってきたことにどんな意味があるのか。
文脈的な意味はなくリズムを合わせるために配置されただけかもしれません。
でも”もしかしたら何かあるかもしれない”という微かな引っかかりが私を駆り立てます。
ヒフミの性格・価値観・人間関係。
ヒントを得るために彼女について考えを巡らせます。
結果として「お友達配置箇所問題」の解決には至らず、ただただヒフミがより好きになるだけでした。
そして気付きます。もしかしたらこの結果を生み出すための技だったのか、と。
意図していなかったとしてもこの”引っかかりを作って素材への興味を促す”はいいアイデアだと思います。
すき。

 鯖じょー

 アンケ回答の「自分がヒフミという子の作品を書いた時に、どんな言い方をさせるかを考えた」の一文を見たとき、私は白旗をあげました。
完敗です。
音MADを作る上での技術や発想ではない部分。
作る目的やコンセプトともまた違う。なんだこれは。
これが…愛か…。
ボリューム変化や意図的な音割れなど、この愛を形にするために発想と技術を絡めて工夫されております。
また、その愛を最大限活かすためにガチガチに譜割りせずにふわりとセリフを乗せています。
これは素材の味を堪能できる究極の調理法。
多少のリズムの揺らぎがあると一流シンガー・演歌歌手の如く”遅取り”や”溜め”によるグルーヴ感が生まれる気がします。
このセリフ合わせのように絶妙なさじ加減でリズムを僅かにずらす(もしくは結果としてそうなった)ことは高度なテクニックとしてもっと知られてほしいなと思います。
グリッド線からの解放。
すき。

ちなみに敢えてリズムを合わせないという発想は古くはでんわシリーズ、最近では恋チョコドラサンだったりとこちらも進化を続けております。

ふきの塔

 自分で作ってみてわかったんですが「笑顔になれるような」の『ような』の扱いが意外と非常に難易度が高い。
それを処理しようと積極的に「ような」に介入した方達の中には「ような」自体を取り除く方法(これもすごい)、そしてこの方は「よな」とも聞こえるより大胆な方法を取られてます。
この箇所以外は”大胆さ”とは真逆で”丁寧さ”を具現化したかのような合わせなんです。
文字単位ジャストで合わせている中、突如本性を表したかのような大胆さのギャップに驚きましたが、落ち着いてから考えてみるとこの合わせにおいては『大胆=丁寧』という数式が成り立ってしまっていることに気付いたんです。
当該箇所のスムーズ&リズミカルな耳あたりのよさがそれを証明しています。
ちなみに「よな」で辞書を引くと『念を押し、確かめる意を表す』とあります。
「苦しいことがあっても最後は誰もが笑顔になれるよな?」
ヒフミにイケメン属性が追加された瞬間です。
すき。

 くにゃ

 セリフの”間”(ま)にはセリフ以上に感情が込められていると思ってます。
システム的なセリフ送りのための待機時間をも利用した(かもしれない)原作の間が最高であることは間違いなく、それを音MADに落とし込もうとする姿勢が垣間見えるこの合わせはリスペクト精神の極地。
私がそうですが、音MADではテンポの良さを重視するあまりセリフを詰め込んでしまう=間がほぼない傾向があります。
この間の考え方は今後に是非活かしたい(本動画の最後辺りで活かしました)。
すき。

 フデ-HK

各小節の頭で4分休符・8分休符がふんだんに使われてます。
一呼吸置いてから喋りだすこのリズムの取り方カッコよすぎてやられました。
聴いた後にアンケ回答を見たんです。
そこにはこう書かれていました。
「勇気を出して叫んでる感」
…!!再びやられました。
もう一度聴くと、ちょっと涙腺にきた…。
音MADに限らず世の色んな創作物・二次創作物に対して言えることですが、制作後記などでその作品の制作背景などを知る前と知った後でその作品に対する感じ方が大きく変わることがあるんですよね。
私はこの方のこの言葉を見たことによってこのセリフ合わせから色と香りまで感じるようになりました。
最後に一番好きな箇所発表コーナー!
「誰もが 最後は 笑顔に」のリズム。
ここやばい。
すき。

おかゆ

「好っきなんです!!」が好っきなんです!!
元セリフの「好きなんです」の6文字はタタタンタンって感じで一定スピードで比較的合わせやすい部分だと思うんですが、敢えてタッタタンタンと跳ねさせた背景には原曲リズムへの深い敬意の表れかと解釈しました。
最後の最後にこの変化を付ける、計算されたものであればすごい策士です。
計算せずにたまたまそうなったとしたらもっとすごい。
音MAD作成中あるあるですが、労力をかけた1フレーズを「偶然の産物」が軽々と超える。
その偶然を引き起こしたのは間違いなくあなたの力なのです。
すき。

関連してもうひとつ、この『変化を付ける』について。(本企画ではサビ8小節+その前後少しが指定範囲のためその中での変化付けはハードル高いと思います。なので今後一曲を通して音MADを作る際の参考程度に見てください)
音MAD的には”一転攻勢”や”テキトーに見せかけてサビで本気出す”なんかは分かりやすい大変化ですが、AメロとBメロでリズムの取り方少し変えたり、ここまでは音程合わせメインここからはセリフ合わせメインみたいな小変化もやっている方多いと思います。
このような変化は意外性や期待感・飽きの回避などメリットが多いと思います。
今回私も本動画前半と最後にセリフ合わせしておりますが、曲のパート毎に変化を付けたつもりです。(詳細はマイリスコメントに)
緩めのセリフ合わせから硬めのセリフ合わせへの変化は何かしらの効果抜群と自負しています。

ジェネ半

 音MADを作る上で原曲へのリスペクトを最大限表現するにはどうすればよいか。
原曲至上主義的に考えれば弄ること自体が非リスペクト行為かもしれませんが、”好きな曲だから音MAD作る”派の者にとっては少しでも考えてみてもいいかもと思います。
まず大前提として自身がその曲を大好きである/大好きになること。
そしてその曲を聴きまくること。
それから作り出せば自然とそういうものが出来上がるんじゃないかな、と、結局は当たり前でふんわりな答えしか出せませんでした。
この合わせからは原曲への愛をひしひしと感じます。
アンケからもこの企画の前から本曲が大好きだったことが分かります。
いいものになることは必然です。
すき。

 qre1d 

音MADは足し算・掛け算が一般的だと思ってます。
完成された曲に別の音を乗っける。派手なエフェクトもかける人はかける。ごちゃごちゃ感満載になることも厭わない。
それが気持ちよさ・面白さとなるからそれでいいんです。私もそうですから。
そんな中でこの方はまるで引き算的な考えで組み立てられている。
指定素材を使う縛りの中では多くの人は余すことなく素材を使いたい気持ちになると思いますが、この方はセリフを削ってます。
前述した扱いの難しい『ような』のカットやEQでの特定音域の抑えも引き算と考える。
巧い。”上手い”より”巧い”がしっくりきます。
すき。

花鳥風月

 韻を踏む踏む踏みヒフミ。
指定された素材という縛りの中で韻を意識して組み上げるのは流石。
「報われて」から「て」を持ってきて「乗り越え”て”」にしている。
たった1文字、されど1文字。
文章の意味を変えずに”て”で〆る事を繰り返したら気持ちいいに決まってます。
元素材のセリフが既に語尾で多少の韻を踏んでいることを差し引いても、音楽に合わせてこうも気持ちよく踏んでくれると、気持ちいい。
気持ちいいって言葉ダブっちゃっても気にならないくらいに気持ちいいから気持ちいいです。
すき。 

ゼイコミカカク 

譜割りのバランス感覚が超絶。
奇をてらったものではなく王道的、だけど光るものがあります。
無理矢理感がなく、それでいて3連符を入れたりと変化もつけつつ綺麗にまとまっています。
数多の経験を経て辿り着く磨き抜かれたセンスによる部分だと思っていたこの感覚を、デビュー半年で会得しているのは何故ですか?
説明を求めます。
そしてここにも触れなければなりません。
セリフにかけられたエフェクト。
譜割りは王道に対してエフェクトは個性バリ出し。
この質感の変更、曲側の雰囲気に合っていていい感じです。
すき。

 レーケレ

ブレスに焦点を当てられたセリフ合わせ。
言葉を発するときでも歌を歌うときでも人間であれば息継ぎは必ず行うものです。
間(ま)と同様に”息継ぎ”にも感情は強く乗っかります。
阿慈谷ヒフミは一人の人間です。思春期の感情のエネルギーは計り知れません。
彼女の息継ぎに着目(耳)すればそれは一目(耳)瞭然。
音MADでは削られがちなブレスを前面に出したこの合わせは素晴らしく、息を呑むほどに聴き入りました。
また、阿慈谷ヒフミは一人の人間であると同時に一人のキャラクターでもあります。
ヒフミに”息”を吹き込む声優は本渡楓さん。
彼女の演じたキャラ数名拝見しましたが、演じ分けの中でも強く主張する魅力的なブレスは彼女の武器かなと感じました。
改めて言わせてください。
このブレスに注目しそれを活かしたセリフ合わせは”粋(いき)”。
すき。

ついでに少し脱線します。CVにまで思いを馳せると”中の人繋がりのネタ”も生まれるかもしれませんし他作品への興味の入り口にもなるしでいいこと尽くしですね。

ひとななまるにえふ

1拍の中に何文字詰め込むか。
このテンポ帯なら4文字が自然と感じる人が多いと思います。
(詳しくはowataxさんの「焼肉定食で学ぶ台詞合わせの譜割りについて」を参照)
そんな中、このセリフ合わせでは2文字をベースにしたねっとり引き延ばしで異彩を放ちます。
引き延ばしの箇所が予測不可能で元セリフから印象が大きく変わります。
ピンポイントでやることはあっても、ここまで一貫して繰り出し続けて最後までやりきるのは斬新で、これは相当強い固有武器。
リズムセンスの成せる技。
何よりもうにょーんと伸ばされたヒフミの声がかわいい。
そして全編に渡る優しい音程合わせが心地よい。
すき。

 双目ざらめ

透き通ったセリフ。綺麗だ…
ブルアカという作品を表現するには透明感というワードは重要かと思います。
さて、原曲側(MRD)と素材側(ブルアカ)は雰囲気が180度異なります。
この2つを混ぜる上でどちらに雰囲気を寄せるかは意識せず自然と導き出した方が多いと思います。
この方は意識してブルアカの雰囲気に寄せたのかなと感じました。
こんなにも透明感のある音に変えられるんですね。
私はVSTでの音作りは弱い・疎い方なのでもっと設定の詳細を教えていただきたいです。
リバーブは私もSH-1使ってますが基本デフォ設定なんです。
あとハイハットを追加というさりげなくこだわりを入れる姿勢素敵。
すき。

 おおぬさ

終盤の2回繰り返しの変則ラッシュ良すぎる。
セリフ合わせにおける”尺余り”へのアプローチはいくつもあります。
間(ま)、無(む)、引き伸ばし、後ろのセリフを前倒し、頭文字/語尾の刻みなど、それぞれに長所と短所があり場面で使い分けていい感じに調整するのがセリフ合わせの醍醐味と言ってもいいでしょう。
その数ある手段の一つに”尺調整”と”音MAD感UP”と(単語によっては)”感情UP”の3役をこなす、古(いにしえ)から存在し誰もが気軽に繰り出せる技『繰り返し』があります。
通常攻撃だけでも立ち回り次第で強敵を蹴散らせるように、「繰り返し」をテクニカルに使いこなしたこの合わせは一級品。
さらに必殺技も隠し持ってます。
「お友達っと」「慰め合って」のリズム揃えは惚れる。
すき。

cloudy

長尺セリフ合わせで『曲』と『セリフ』の展開・構成がマッチした時の爽快感非常によく分かります。
皆さん大体それが出来ているのは主催の選曲とセリフのチョイスが神ってるのもあります。(ブルアカ宣言の全文ではなく一部にしたところなんて特に)
ですがこの合わせではそれを意図して、もしくは意図せず崩している。
先に先にとセリフを埋めていく姿は焦燥感にも似た感覚に捕らわれ、それがいい意味での違和感として頭に残る。
個々のリズムはカチッとハマって全体の構成は大きくずれ込んでゆく。
これは新しい謎の気持ちよさ。
アンケ回答のVST使い方も勉強になります。
すき。

ちなみに参加者の中で最速で合わせを終わらせてるスピードキング。
フライングと早回し合わせも取り入れればもっと最速を狙えそう。新競技として企画希望。

Nob

あまり大きな声では言えないんですが、セリフ合わせ音MADってテンポさえ合わせれば曲を差し替えても大抵はいい感じになってしまうんです。
雑に例えるならHIPHOPでとあるラップのトラックを変えるとそれは立派にREMIXとなります。
長尺セリフをリズムに乗せたものはラップと似ています。(韻の概念は置いときます)
ラップ調音MADタグが生まれたのは必然でしょう。
その前提で!!この方の!このセリフ合わせを聴けぇ!!
この曲のこの部分だからこう合わせるんだ、という作者の思いがバッチバチと伝わります。
そうなんです。冒頭に書いた提起を如何にして否定するか。
”この曲だからこそ”の部分・表現方法が見いだせると作ってても楽しいと思うんです。(無意識にやっている人多いと思います)
アンケ回答を見るとさらに凄い。
色々試行錯誤して作られてる。
すき。

mil1a

セリフとは何か。
作中で登場キャラクターが発する言葉。
そこに声が乗る場合、セリフとは何か。
作家が命を削り産み落とした言葉に、演者が魂を込めて発する言葉。
一言一句に込められた想いを私たちは刻むのです。
心に刻むと同時に波形も刻むのです。
そこにためらいは不要です。
それが私たちなんです。
ですがこの方の合わせからはセリフを慈しむ気持ちが滲み出ている気がしてしょうがないのです。
何か優しさとか誠実さみたいな、そんな合わせ方なんです。
うまく言語化出来ない感覚の類の話なので、アンケ回答の言葉をそのままお借りします。
「ヒフミのこのセリフのシーンの良さが伝わるように作りました。」
この言葉に尽きます。しっかり伝わりました。ありがとうございます。
すき。

せらやつ

これはTHE・音MAD。
セリフ合わせの裏でずっと何か囁いているこれ!音MADしてます!
現代音MADは『セリフ合わせ』『音程合わせ』『ドラム的配置』が主たる要素となり、そこに付随/派生する多種多様の技法・手法が複雑に絡み合って形成されております。
※されていないものもあります。 
※個人的見解です。 
※適当です。
古の音MADではセリフ合わせとドラム的配置の先祖とも言える『音ネタ』や『リズムよく素材を置く』みたいなよりシンプルな要素が濃かったように思います。
もちろんこれは今でも主流であり「電子ドラッグ」や「中毒性」という言葉が出てくるのはこの要素によるものが大きいと思います。
この合わせはそんな懐かしさを漂わせつつ、次世代が生み出す新しい空気感をうまいこと融合させた感じ。
レトロな外観にハイテクノロジーが詰まったガジェットのような。
そんな音MAD心をくすぐる楽しさ。
すき。

凍凍蜜柑

 初手から倒置法を使いだしたのならば、もう其処は文学と音MADが融合した綺麗なカオス空間へと変わります。
開き直ってのセリフ弄くり倒し(それも好きですが)とはまた違う、元音声と音MAD作者のせめぎあいの途中経過を写真に収めたかのような、そんなセリフ合わせ。
ラストの「笑顔に…なれるような…」で終わる感じはなんとも儚げで何故こんなにも沁みるのか。
要らないんです理由なんて。
只々。
すき。

また元動画にこんなコメントがついてました。 「セリフど忘れ」
作者の意図と視聴者の受け取り方の差異も新たな発想の種。
コメントから着想を得て説明文を変更したり次作のヒントになったりしたこと何度もあります。
コメントしてくださる方だいすき。

八凛子

「辛いことは慰めて、お友達と慰め合って」から「辛いことは慰め合って、お友達と慰め合って」へのセリフ改変。
同じ音の響きで合わせることによる純粋な気持ちよさ。
その先の「苦しいことが”あって”も」で3度目の「あって」に気付いたとき鳥肌が立ちました。
それだけじゃないんです。慰め”合う”ことを強調しています。
八凛子さんは思いやりと慈愛に満ちた人でしょう。
セリフ”合わせ”で”合って”の扱い方から作者の人物像を推測してみましたが”合って”ますか?
すき。

ちなみに原文(日本語版)では段階的な強調。
「辛いことはお友達と慰め合って」を敢えて2文に分けたかのような。ヒフミが今まさに言葉を絞り出し紡ぎながら語る、真に迫る言い方のような。どことなく日本語的な美しさがあるように感じます。
ブルアカのメインシナリオライター『ピカおじ』ことisakusanは韓国の方。ブルアカ宣言箇所のシナリオを書いたかは分かりませんがビジョンを提示しプロットを作り、ディレクターとして深く関わっているのは間違いありません。
大元となる原文は日本語?韓国語?英語?分かりません。分かることは国・言語は違えど心は一つ。翻訳チーム、声優の熱演まで含めてブルアカ制作に携わる人々の意思疎通、つまりは心を通じ”合わせて”生まれたもの。
セリフを合わせることは心を合わせることでもあるのです。
とんでも理論でも無理矢理”合わせる”。
「慰め合って」の繰り返しと同じように時には強引さも必要だと私は思います。

ゲリィPウンコマン

初めに謝っておきます。
ゲリィPウンコマンさんごめんなさい。(それにしてもすごい名前だ…)
この合わせへの評価は自分でも的外れだと思いつつ、ただ冒険した合わせに対しては評価も冒険することが私なりの誠意として受け取ってもらえたら助かります。
また私はマスタリングについて知識がほぼなく(拘りだすと沼から帰ってこれなくなるという噂を知っているレベル)詳しい人の見解を聞きたいという意図もあります。

まず、音声編集ソフトが「GarageBand」。私は初めて知りました。
音MAD界隈はREAPER派が大多数を占めています。(多分)
つまり音MAD講座やノウハウ・技術的情報もREAPER基準が圧倒的に多いということです。
その中でREAPER以外のDAWでスタートを切ったこの方は開拓者。
(私が知らないだけかも…もちろん自分に合ったソフトを使うことが一番。GarageBandはスマホにも対応している!?スマホで音MADが作れる時代になったことに今更ながら驚いています。REAPER以外でメインの音声編集してる方コメントください!
またIT分野の加速度的進歩・変化に伴いREAPERが覇権落ちする未来も十分あり得ます。今の常識とは全く違う方法で音MADが作られるかもしれませんね。音MADの概念自体が変わっているかもしれません。脱線が過ぎました…)
この気持ちいいジャスト合わせは見事。
さて、本題です。
この合わせでは「セリフを乗せた箇所」と「セリフがない原曲のみの箇所」で原曲の音量に差があるように感じます。
リミッターやコンプレッサーかその他フィルターの影響ではないかと思います。(私もその現象が発生したことがあってこの機会になぜそうなるのか疑問解消したいという個人的事情。教えて!)
この現象を逆手にとって武器として扱う。
それがこのセリフ合わせの真骨頂かと思います。
セリフだけでなく”原曲の音量”も要所で変化させると大きなインパクトを与えます。
この合わせの場合セリフ合わせ以外の箇所で原曲が大きく響き、それがセリフ合わせ箇所との区切りとして作用しています。
原曲弄り禁止のルールの穴を無意識で突くスタイル。
すき。

ちなみに原曲弄りするなら「原曲刻み」がセリフ合わせとの相乗効果高いと思います。
原曲を無音にしてセリフの強調。特徴的なリズムを強調したければ原曲も同じリズムに刻む。など。2号兄貴の『原曲を刻む』を履修してない方は今すぐGO!

 丸六 

こちらは文単位で順序を入れ替えるというシンプル故に絶対思いつかない発想。
アンケ回答には「普通に作ると間違いなく被ると思った」という理由が書いてありましたが、これは確かに絶対被らない。
そもそも企画内容からして(更に言うと36人も参加している中で)”被り”は致し方ない事象にも関わらず、それを回避したいという欲が生まれ実行に移すことそのものがまず素晴らしい。
さて肝心の中身はどうでしょう。
アンケ回答には「自然なセリフ合わせを意識した」とあります。
…そうそうそうそう、こうやって文の順序を入れ替える大胆発想はまさに自然さを象徴してるよね!
…ってぅおおおおおおおいっ!!!(突っ込みどころじゃなかったらごめんなさい。実際に文単位で見るとゆるめ譜割りの”ふわり”乗せで優しい合わせです。)
すき。 

バームク

後半の急展開はまさに「!?」です。
エフェクト盛り盛りでガラッと変える豪快さすき。
この合わせのように視聴者が一体感を感じられるポイントがあると特にニコニコ動画ではコメントで賑わって動画がより色づくように感じます。
通常コメントだけでもそういう効果がある中、弾幕・コメントアート・空耳字幕など古くからのニコニコのシステム・文化を活用できれば「投稿者と視聴者で作り上げた動画」として+αが後から付与される
”投稿後にも成長を続ける音MAD”になりそうですね。
すき。

焙煎黒豆汁

はぴはぴえんど好きすぎ。
セリフ改変の模範となるべくような造語。模範にしたいけど普通に生活していたらまず思いつかない単語。
この「はぴはぴえんど」の7文字にはかわいい成分だけではない謎の中毒症状を発症させる成分が含まれています。
かわいいキャラにかわいい言葉は最強。
ところで音MADでは度々名フレーズが生まれてきました。「頭がパーン」「ニッポンポン」「言われたことことだけだけだけだけ」など。
この「はぴはぴえんど」はそれらに匹敵するポテンシャルを持っています。後で使います。
それにしても「重厚な音程合わせ」×「はぴはぴえんど」という謎の相性は面白い。
すき。

まかき

本企画はあくまでも”セリフ合わせ”が主役であるため、ルール上原曲を弄ることは禁止されています。
原曲を弄らずに原曲を際立たせるには?
その解のひとつがこの合わせだと思います。
”音程合わせ”
音MADではセリフ合わせと双璧をなす基本的技法。
本企画のルールを見ると音程合わせは禁止されていません。まとめ動画のタイトルも『音MAD』の記載に留まっています。
ただ企画の意図は明確に”セリフ合わせ”なのです。
じゃあ両方やってしまおう!という考え方、嫌いじゃない。むしろ好き。
この方は文句なく上手いセリフ合わせをやった上で音程合わせもさらっと被せる。
通常の音MADではこの合わせ技はスタンダードではありますが、当企画においては意外と出ないアイデアだと思うんです。
複数人の方が音程合わせも取り入れておられました。
セリフ合わせでは拍を意識したジャストタイミングで安心感があり、間を上手く使いこなしてます。
すき。 

police

元セリフの内容を否定して被せていくパワー系セリフ合わせ。
さらにネガティブワードをリフレインしつつ元セリフはそのまま進行していくストロングスタイル。
新鮮で面白いです。何度か聞いた後に理解が追いついて「その発想はなかった」という言葉が出てくる謎体験を味わいました。
アンケ回答にある「鬱谷ヒフミ」が土台となった発想でしょう。
テーマをしっかり持っていると全体のまとまり感がUPしていいですね。
最後の「death」について、元音声のこの質感に着目できるのは繰り返し聞いたからだと思います。
それと終わった後のヒフミの鳴き声みたいなの大好き。
すき。

あと個人的な話になりますが昨年こんな私の復帰作をつぶやいてくれてて記憶に残っています。エゴサしてます。そのころはまだ見る専だった方が立派な音MAD作者になって…あと、他の参加者の方も私をフォローしてくれてたり、いいねをしてくれてる人たくさん。この場を借りて御礼。ちなみにいいねしてくれたら確実に覗きに行く人です。

じゃぱにぃ

昔からある”音MADぽさ”が強いセリフのリズム取りの一つに「一文字目刻み」(ゆゆゆっゆゆっゆ友情 のような)があります。
これはキマるとリズミカルさUP&名フレーズ爆誕にも繋がりますが、下手すると吃音感が出てしまう両刃。(それすらも有効活用するのが音MAD作者とも言えますが)
この方はより細かく刻んでスタイリッシュに仕上げて”1か所だけ”で使っています。
このワンポイントのアクセントはそれ自体で印象付けの要ともなっておりますし、さらに他箇所のセリフ合わせを引き立たせるいぶし銀さをも持ち合わせてます。
この方も音程合わせをさらりとやってますが、ヒフミのどの声でやっているのか気になります。
すき。 

ダーム

原曲のリズムに思い切り寄せてグルーヴたっぷりで魅せてくれます。
かっこいい…開始1秒で引き込まれました。
リズムで遊んでる音MADが特に好きな私としては、初見時に最も印象に残ったのがこの合わせでした。
シャッフルビート感を強調するセリフの分解と再構築。細やかなカッティング。
元セリフを順番に並べるだけでは達成できない合わせ方ゆえに全体の構成・バランスを調整する力。
想像しうる作成過程の緻密さに唸らされます。
音MAD作者以外の人が聞いても凄さが分かる「分かりやすい凄さ」と、その裏にある編集作業の「見えない部分の凄さ」が同居したセリフ合わせ。
すき。

Gene0330

この企画の説明を受けて「ざぶんぐる戦法にしよう」という考えに行き着いたことがもう素晴らしすぎる。
同じルールの中で他の参加者とは何か違うことをしてやろうという気概はすごく大事な事だと思います。
ルールの隙間を突くこと、ルールを破ることすら受け入れられる自由な界隈(無法地帯)で、これはしっかりルール内で暴れている。
”企画”へのリスペクトを感じられます。
原曲をかき消す音程合わせの音量も音MADらしくてGOOD。
そして何よりも特筆すべきポイントは後半のざぶんぐる戦法+セリフのカットアップという組み合わせ。
8番出口の開発者がこんなことを言っていました。
既存の物の”新しい組み合わせ”で新しいものが生まれる、と。
これは新しい。
すき。

木立

セリフ合わせの後ろでマッシュアップ。
企画ルール的に、セリフを利用しての音程合わせでメロディーを奏でているのでしょうか?凄い。
この企画で他参加者との差別化を図るならこれほどまでに効果的な手法はないでしょう。
そのマッシュアップがもう抜群の相性。無知な私にこのマッシュの曲名を教えてください。いいメロディー。
長尺セリフ合わせとマッシュアップの本質は実は似ているんじゃないかと気付かされました。
台詞イントネーション作曲という手法があるくらいです。つまりセリフは歌なんです。
ある曲に別の曲のボーカル(セリフ)を乗せる、それは完全にマッシュアップです。
さて、本題のセリフ合わせでは”早回し合わせ”の使い手である片鱗を見せてくれます。
技巧派。高速にする箇所・使いどころが絶妙でうまぁ…気持ちいい。
すき。

和住

えー、破戒。
この方が丁寧に真面目に作られていること、そして上手い。それ自体がもう面白い。(失礼)謙虚なボリュームもすき。
和住さんのことは投稿動画の情報でしか知りませんが、「破戒の人」のイメージが強烈で、どこにも属していない私でも彼の名前は知っていました。
今回の企画にて彼の新たな側面を見られて感動しました。
音MAD”作者”におけるキャラクター性が最も分かりやすい要素として、特定素材の扱いに長けていること・その人だけの素材・その人が発掘した素材など、所謂”〇〇の人”という「素材」との結び付きが挙げられます。
「謎の素材選定能力」と「謎の継続・ごり押し」によって、確固たる地位を築き上げた努力の賜物。(もしくは単純に破戒愛)
このご時世ネット上で活動する上でその人物のキャラクター性は無視できない要素であり、音MADというアングラ文化(古い感性かも)においてもそれは適用されつつあるのかなと思います。
破戒活動続けてください。
すき。 

Tobokegao

ハッピーーーーーーーーーエンドが好きすぎです!
ストレッチしまくり個性派。ここまで綺麗に引き伸ばすのはどうやるんでしょう。
ソフト?VST?機能?テク?久しぶりに自分で調べてみようと思い立つほどに、これはマネしてみたくなる。
(もし可能ならやり方教えてください!自分で調べてみようという前言は何…アンケ回答見ても分からない私を助けてください)
跳ねが丁寧だからこそ映える伸ばし。
シンプル&ハイセンスの面白い発想を形にできる堅実な技術。
伸ばしのインパクトが強いけど、この方の真価は”寸分たがわぬ超ジャスト合わせ”をベースとした”メリハリのつけ方”つまり最強のリズム感だと思います。
気持ち良すぎる。
すき。

不学

セリフ合わせをした上にそのセリフに対して音程合わせもゴリゴリ且つ繊細に施し更にドラム(セリフ加工?)追加したりと私の耳ではその詰め込まれたものを全て拾うことはできません。
技術の塊のような合わせ。
数歩先行く新約・おそうじ戦法+更に新戦法を4つくらいミックスして再構築したかのような。
それをやろうとする発想。
そして最強レベルで実現できてしまっているという事実。
振り切った合わせならではの聴いているときの楽しさは半端ないってもー。
これは完全に音楽です。
製作期間的にもそんなにないはずですよね?
スタダとは一体…
ジェットエンジンで「ダッシュする」とは言えませんよ。
すき。 

もどり鰹(2本目)

ネタ枠としてもどり鰹さんの2本目。
本企画をよく理解されている。リスペクト元である企画における零さんのトリでのアレをリスペクト。
これぞ音MAD。
元がどれだけシリアスでも笑いに変えたり、暗い雰囲気をぶち壊すことだってできる。
そこが音MADに限らずMADの良いところ(悪いところ(良い意味で(悪い意味で)))だと思います。
制限された環境下で発想を形に。制限されているからこそ生まれる発想。
1本目からも分かるように決してネタだけではなく、技術あってのネタ。
「きちんとちんちんちん」という神フレーズをさらっと産み落とした罪は重い。
すき。



<あとがき>

総評は割愛します。動画見てください。

評価する以上、私のセリフ合わせのレベルも提示しとかないと評価文に説得力を持たせられません。
というのは建前で、outsideが神曲過ぎて、ブルアカ宣言が神シーン過ぎて、皆さんのセリフ合わせに感化され過ぎて、私もセリフ合わせした過ぎたので、しました。
6パターンのセリフ合わせを作りました。
これに対して評価して欲しいのです!

<あとがき2>

 音MADにおける発想。私がよく使うキーワードは「逆」「組み合わせ」です。
皆さんへの評価で語ったことについてもそれは適用可能で、私の考えの”逆”や”組み合わせ”が新たな発想を生み出すかもしれません。

例えば「”この曲だからこそ”の表現が見いだせれば」という考え方を逆にして「全く同じ譜割りのセリフ合わせを色んな曲でやってみた」という実験的音MADも面白いと思います。(既出かも)
感情についても多く語りましたが、逆に感情を消す方向で考えたり。(棒読み化とか好き)

目次みたいなの作ったらいいのかな

おしまい。