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ペルシャ湾の宝石となれ

 久しぶりの投稿です、Nambu201です。今回もヴァンテアン号の最新情報をお届けします。


新たな島へ

 11月11日、しばらく岸壁から動きのなかったRoya daryaですが、久しぶりにブーシェフル港から出港しました。港内周回かと思いきや、その進路は広いペルシャ湾を東に取り続けます。明らかに現状の使途とはかけ離れた動きをしていました。

 11月14日、沖合での停泊を経て入港したのは、ホルモズガーン州の離島「キーシュ島」。キーシュ島はイランの沖縄、ペルシャ湾の宝石と称えられるイラン屈指のリゾート地として知られた島です。しかしなぜRoya daryaはキーシュ島を訪れたのでしょうか?

FIFAワールドカップカタール2022

 日本代表も出場し、本邦でも高い注目を浴びるFIFAワールドカップ。今年は中東・カタールで開催されることになっています。このカタールは、ペルシャ湾を隔ててイランとは隣国関係にあり、カオスな中東情勢においてもこの両国は仲がいいとされています。

 ワールドカップの開催国として、カタールは観戦客等を受け入れるリソースが足りないという問題を抱えています。そこで協力を求めた先がイランのブーシェフルやキーシュ島といった、ペルシャ湾に面した地域です。特にキーシュ島はもとよりリゾート地のため観戦客の受け入れにも適しています。カタールまでの輸送は航空機、そして船で行う計画となっているのです。

 イランとしては、会期中の査証発行無料やイラン航空の臨時便なども運航。キーシュ島を始めイランのリゾート地に観戦客を誘致することで、イランに対するイメージを改めてもらう絶好の機会と捉えています。入国に際する抗原検査やワクチン接種の義務も撤廃、大会を通じてパンデミックに対する勝利をアピールする意図もあります。

キーシュ島来訪の目的や如何に?

 ワールドカップで盛り上がるキーシュ島へ、開会1週間前に到着したRoya darya。タイミングを考えてワールドカップ輸送という華々しい仕事を請け負ったと考えても不思議ではありません。実際、イランメディアもその可能性について言及していました。しかしキーシュ島〜カタールの距離は270km、こちらのメディアではその区間を約5〜6時間で結ぶとしています。これは離着岸にかかる時間を考慮しないものとしても、最低24ノットの速力が求められる航路となります。東京港内の周遊を想定して建造されたヴァンテアンの速力は11.5ノット(最大12.28ノット)と、半分の能力も持ち合わせていません。実際この航路には「メリー」というクルーズ船が就航予定だったようで、残念ながらそれもどうやら中止になったようです。ホテルシップに使えるような客室はRoya daryaには無いでしょうし、観戦客向けレクリエーションとしての遊覧運航が現実的な使途ではないかと思います。

船主について

 Roya Daryaを所有、運航していたとされる会社についてはRoya Gostar Middle East Company というそうで、Instagramのアカウントを発見しました。おそらくブーシェフルにいた間は同社が結婚式やセレモニー、パーティー、レストランシップとしての運航を実際に行っていたようで、その映像や写真、広報の投稿が確認できました。メロディピースベルはベル部分が原色イエローに塗装されているなど現地なりの塗り直しなどが行われているようです。飲酒できないお国柄のため気になっていたエリーゼのバーカウンターの使い道は、カフェとして活用しているようです。ピア21の釣り看板は婚礼用更衣室のものが、各種サインは日本語のまま残されていました。船内にあった調度品をニュアンスでレイアウトしているようです。

タグボートで着岸作業を行うRoya Darya
Instagramより
現在のエメラルド
Instagramより

しかし夏頃には投稿が途絶えており、公式サイトも存在したもののアクセス出来ずじまいでした。恐らくこのタイミングでキーシュ島行きの準備を始めたのではないかと推察しています。

 調査を続けていますが、現地に行けるわけではないので今わかることはここまでです。(W杯はいよいよ始まるので、何か動きがあれば加筆修正を行います。)

遂に本が出ました

 さて、C100からもう大分経ってC101の方が近づいてしまいましたが、Adieu Vingt et unを遂に発行することができました。資料をご提供いただいた皆様、note読者の皆様、いろいろな方の力を借りてこぎつけました。ありがとうございます。
 現在はBOOTHにて頒布中です。どうも製造原価が上がったのか会場価格よりも高い価格にしか設定できなくなってしまいまして、2800円の頒価とさせていただいております。フルカラーかつオーダーメイドは高くつくということですね。以下からお求めいただけます。

溝口Infantry公式ショップ


サンプル 1
※さるびあ丸2─Extend Cruise─原稿 デザインや文面などはここから加筆修正しています。
サンプル 2
※さるびあ丸2─Extend Cruise─原稿 デザインや文面などはここから加筆修正しています。
サンプル 3
※さるびあ丸2─Extend Cruise─原稿 デザインや文面などはここから加筆修正しています。

 また現在C101に向け、Adieu_Vingt_et_un第二弾を制作中です。今回はなんと、船舶のイラストで大変有名なPUNIP cruises先生にヴァンテアン号の船体解剖図を描き下ろしていただきました!予算の関係で今回はモノクロでの掲載となりますが、総集編ではカラー原稿で掲載予定です。またこの作品は先生の新作『船体解剖図2』にも掲載予定です!そちらも併せてお手にとってみてください。

左上:ヴァンテアン号船体解剖図
PUNIP cruises 船の絵ギャラリーに展示された様子

 コミックマーケット101は12月31日、東京ビッグサイトで開催されます。本年も事前チケット購入制となっておりますので、来場予定の方はコミケットからの発表に注視していただければと思います。

 スペースは 東2ホール T-29b 溝口Infantryです。
近隣にも東海汽船はじめ船や旅行、鉄道メカミリといったジャンルが集中しています。ぜひお越しください。

⚠️現在イランはアメリカ合衆国よりテロ支援国家の指定を受け、経済制裁が行われています。イランへの入国歴がある場合、アメリカ合衆国への入国手段としてESTAを利用することができなくなり、ビザの取得が必要になりますので、渡航を考えている方は十分お気をつけください。

本誌では引き続き、ヴァンテアンの写真・情報を募集しています。ヴァンテアン号にまつわるもの、乗船時の料理の写真から現地のニュース記事を見つけたなど、なんでもお寄せください。ご協力頂いた方々に対しまして、PDF形式での献本、印刷版の割引頒布をさせていただきます。情報提供、写真の提供を頂ける方は、Twitterもしくはメール[nokuchi201@gmail.com]にてご連絡をお待ちしております。



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