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【書籍や学術論文には在日ネパール人支援のヒントがいっぱい!(1) 】在日ネパール人支援に乗り出す地域の信用組合

 在日ネパール人支援をする信用組合
今回は「在留ネパール人支援をめざす第一勧業信用組合」と題された論文を紹介します。これは古江晋也氏によって書かれ、農林中金総合研究所が発行する「金融市場2020年4月号」に掲載された論文です。この論文は、新宿に拠点を置く第一勧業信用組合が、地域の在日ネパール人支援に乗り出している様子を紹介しています。

 増加する在日ネパール人の金融ニーズ
在日ネパール人の人数は増加していますが、昨今、マネーロンダリングへの警戒から、特に口座開設に苦労することが少なくないと、この論文は指摘します。一般的に口座開設が出来なければ、アパートや住居を確保することが困難になるばかりか、携帯電話を契約することも難しくなります。第一勧業信用組合は、このような在日ネパール人の金融ニーズに目をつけました。しかし、在日ネパール人との接点をいかに持つか、そして口座開設の際の身元確認をいかに行うのか、という課題をクリアする必要があります。

 ネパールのNMB銀行との連携
第一勧業信用組合は、この問題をネパールの銀行と連携することによって乗り越えます。第一勧業信用組合は、GABV(The Global Alliance for Banking on Values)という金融機関の国際ネットワークで出会ったネパールのNMB銀行と覚書を締結しました。これは、NMB銀行が在日ネパール大使館と協働し、金融サービスを求めている在日ネパール人の情報を、第一勧業信用組合に提供するというものです。第一勧業信用組合からすると、大使館も含めた紹介ということでマネーロンダリング対策の身元確認がとれるという利点があります。

 コミュニティへの参画も促進
信用組合は地域に密着した金融機関です。第一勧業信用組合は、新宿でインド料理店を営むネパール人にコミュニティローンを提供することにとどまらず、地域のイベントで地元の人々にネパール人を紹介することもしました。これは、在日ネパール人が地域から孤立しがちなので、地域に溶け込めるようにするためです。
ネパールの銀行と連携しながら在日ネパール人に金融サービスを提供するモデルや、地域との接点を作りながらコミュニティへの参加を後押しする姿勢は、大変参考になります。

■論文は以下のURLから見ることが可能です
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/f2004fin.pdf


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