見出し画像

カメラが欲しい - ペンタプリズムの呪縛

shot with SIGMA dp0 Quattro
20220607_DP0Q4575-3x2-sj9.jpg
WebInstagramFlickrTwitter


初期の一眼レフカメラはフォーカシングスクリーンに投影される像を直接,あるいはルーペで拡大して見ていた.二眼レフ同様,撮影者はレンズの光軸と直角になるような姿勢をとり,下を向いてカメラを構える必要があった.

アサヒフレックスI型

国産カメラで,初めてペンタプリズムを組み込んだのは「ミランダT」だ.これで一般的な一眼レフのスタイルが完成する.

ミランダT

そしてこの形式はデジタル時代においても,一眼レフカメラでは変わることはなかった.

ところがここにミラーレスという方式が登場する.レンズを通った光束はイメージセンサー上に結像する.そこから電気的な信号が取り出され,EVF(電子ビューファインダー)と呼ばれる装置に像を結ばせ,それをルーペで拡大して見るようになった.この時以来,ペンタプリズムは不要となってしまうのである.

ただカメラボディーの中央部が上に出っ張っている形状(偽ペンタ形状)はなぜか世襲されている.従来のペンタプリズムは入ってないのだが,形だけは残ってしまったわけだ.

なるほど,あの突出部にはカメラに形状的なアクセントを与えるのと同時に,強烈なパワーを照射する力が存在するように感じる.だから光学ガラスのプリズムはなくなったけれど,あの形とはそう簡単に縁が切れないのであろう.

日本のカメラメーカーの製品を見ても,EVFを内蔵するフルサイズのミラーレスではすべてが偽ペンタ形状.APS-CタイプのEVF内蔵型ではキヤノンやニコンが偽ペンタ形状だが,ソニーはすべての機種で上部が切り取ったように平坦だ.OMDS(旧オリンパス)はAPS-Cよりも小型のm4/3センサーだが,偽ペンタ形状で統一している.

自分的には出っ張りが邪魔だと思うのだが,スタイル重視の観点から見れば,なぜかステイタスを感じてしまうのはなぜだろう.もっと優れたデザインがあるとすれば,それはどんなものになるのか.

ところで「形態は機能に従う(Form follows function)」という有名な言葉がある.モノは形を先に決めるのではなく,まずは機能を突き詰めて行くべきだ,そうすれば形は自ずと決まる.性能優先で作れば,自然と優れた形が生まれるという意味である.

そういうふうに考えると,今のミラーレスカメラの偽ペンタ形状は,かつての一眼レフのノスタルジーを引きずっている以外の何者でもないように思える.そんな呪縛を断ち切る必要はないのだろうか.

これからのカメラ界において,カメラの進歩とともにどのような形が生まれ育っていくのかに興味は尽きない.果たしてそれはカメラという機能を優先させた形に収束していくのだろうか.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?