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写真漂流 - シャッタースピードの精度

shot with SIGMA dp0 Quattro
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雲を撮影する時,気に入ったショットは連続して3枚くらい撮ることにしている.

さてそれを現像する時に気づくのだが,同じ絞り値,同じシャッター速度であっても,たまに露出が違っていることがある.それもはっきりわかるくらいに.

今日の撮影で用いたSIGMA dp0 Quattroは,購入したのが2016年3月.それから今日までにファイル名が二回り以上.2万カットくらいは撮影してるはずだ.雲の写真を撮りだしてからは使わない日はないくらい活躍しているが,決して酷使しているわけではない.調整にも数度出していたりするし.

それでも機械式のレンズシャッターだから,時々調子を崩すことがあるのかもしれない.それでもRAWで撮影しているので今のところは許容範囲で,SPPで調整すればなんのことはない.

ところでシャッター速度といえば,たとえば1/1000秒の設定だと,どれくらいの精度で作動しているのだろうか?

かつて「カメラ毎日」という写真月刊誌があったが,その中に「新型カメラテストレポート」という連載記事があった.

  写真人とその本 21 /田村 稔|日本カメラ博物館 JCII ライブラリー

そのテスト項目にシャッター速度の計測テストがあったのを覚えている.

そこではキヤノンF1やニコンF2といった高級カメラでも,1/2000秒もの高速シャッターになると,なかなかその速度でコンスタントに動作するものはなかったようだ.たいてい0.3Tvくらいの誤差はあったように記憶している.

これは大きいと思うかもしれないが,フィルムのラチチュードの広さが露出の±0.3くらいは楽勝でカバーしてしまう.そして現像処理を自分で行う場合は,仕上げで調整することが可能なので,ほとんど問題にはならなかったようだ.

あの時代の一眼レフは横走りのフォーカルプレンシャッターが主流だったが,現在のデジタル一眼レフおよびミラーレスカメラでは,縦走り金属幕のフォーカルプレンシャッターが用いられている.

先に上げたカメラたちが活躍していた時代からおよそ50年.今のシャッターユニットの精度はどれくらいのものなのだろう?

メカシャッターレスのニコンZ 9や,その他のデジカメでも電子シャッターを使用する限りは,指示した速度と同じ時間でシャッターが切れているはずではあるが.

思えばあの時代,地道にカメラテストを行って,その結果を雑誌で公開していたのはその時代の要求ではなかったのか.あのようなユーザー目線でのテストが存在したからこそ,Made in Japanの信頼性を高めることができたはずだ.

変わって今,カメラの設定は1/1000秒だが,本当に1/1000秒で切れているのか?と疑うような人はいないだろう.個々のユニットの品質よりも,総合的に生成されるアウトプット,つまり画像品質に不具合がないかどうか,こちらの方がより重要視されるようになっている.

これはカメラというツールが成熟した証なのだろうが,言い換えるとカメラ内部がブラックボックス化されてしまったとも考えられないだろうか?

さらにメカニカルという概念から,ほぼ完全に電子機器というカテゴリーに移行してしまったデジカメ.私が使い出した頃とはまったく違った立ち位置にあるわけだが,明日もまたエラーのないイメージ作成に活躍してくれることを祈りたい.


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