私たちは事業を大きくしたいわけではない

すでに西暦は2022年となってしまいましたが、2021年12月会議のご報告です。

12月会議を経て新たな組合員(お試し)が1名加わることになりました。私たちの取り組みに興味を持ったという、なかなかに目のつけどころが素晴らしい20代男性です。

新しい仲間が加わるのは当然喜ばしいことです。しかし、それと同時にこれ以上に人員を増やすことへの注意点も共有されました。

多くの局面で「人が増えること、拡大すること=良いこと」と捉えられます。選挙も得票数の多い方が勝ちます、企業も雇用人数が多いほど大企業として認知されやすくなります、自治体も人口が少なくなると成り立たなくなります。

しかし、私たちの取り組みにおいては「人を増やすこと」に対しては一定のブレーキがあります。その最大の理由は協同労働における「団結や信頼の見極め」があると思います。

現在私たちは12名でよろず屋いちばんを経営しています。関係性の濃淡はあれど12名全員が全員のことを知っています。ギスギスしたり、険悪になることもありますが、根底にはそれぞれの組合員に対する信頼関係があります。

しかし、これが仮に120人、1200人、1万2000人となったときにどうでしょうか。私は同じような関係性で経営を続けることは不可能だと思います。

仲間や顔を見知った関係の場合は、ぞんざいに他者を扱うことは一般的にはありません。しかし、地球の反対側の飢餓や貧困を想像し難いように、直接の関係性がない場合は他者を大切にすることは困難なことになります。労働における搾取も同種の構造があることは少なくないでしょう。

協同労働には人数の限界があるというのが私の考えです。当面は私たちは今の規模感で経営をしていくことになるかと思いますが、人を増やす・拡大をする以外の「良いこと」も恐らくは発見できるはずです。

文責 菅谷圭祐

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