労働者協同組合法では億万長者になれない?

2022年10月1日、労働者協同組合法が施行されました。まだ社会的な認知度は高くないですが、本法律は仲間たちと助け合って働く協同労働を劇的に広げる可能性を秘めた法律になります。

私たちも「生活者生活事業者"労働者協同組合"」を銘打って事業を展開していることもあり、この法律を活用して法人化できないかと情報収集を進めています。

法人の中で、最もメジャーなのは株式会社でしょう。我々も株式会社化すればいいのではないかという意見もあると思います。

しかし、私たちが二の足を踏んでしまうのは「世の中にちょっと成功した中小企業をひとつ増やしたとしても、自分たちはいいかもしれないが社会に影響はない」「グローバルに肥大化した経済競争で一生懸命に上の順位を目指してもそんなに面白いことはなさそう」という雑談程度での共有があります。

という背景もあり、アグレッシブな香りのする労働者協同組合に惹かれています。

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法律周りは難しいことばかりで悪戦苦闘が続いていますが、検討を進める中でリサイクルショップよろず屋いちばんの店長、未来の便利屋王の宮南親方がとてもおもしろい発言をしていました。

「結局よー、労働者協同組合を作れば億万長者になれるかどうかを知りたいんだよ、オレは!」

私自身、宮南・D・親方とは10年を超える付き合いです。彼は稼いだお金以上を宴会で使ってしまう便利屋グランドラインの猛者です。そのため、宮南・D・親方が億万長者になりたいのかというと恐らく真意は別のところにあると思います。

宮南・D・親方が知りたいのはつまりは、「労働者協同組合法を活用すれば我々ような働き方をもっと拡大していけるのか」という懸念にあるのだと思います。

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私たちが情報収集をした範囲においては、労働者協同組合法を活用する事例の多くは福祉やセーフティーネット事業の方が多いという印象です。施行されたばかりなので、今後変化する可能性はありますが現場労働で活用できる事例は決して多くはないようです。

もちろん福祉系の労働環境が改善されること、働ける場所が増えることも必要なことです。しかし、労働者協同組合法の適用範囲がこれまでNPO法人や社団法人が賄ってきたような範囲を想定されているのか、あるいはもっと広い範囲や多様な働き方を見据えたものなのか、この点をまだ図り切れていないのが実情です。

例えばお隣韓国では労働者協同組合法と同種の法律を活用して、学生や若者が仲間たちとシェアハウス経営をしているという事例もあるようです。内情を詳しく知らないので適当なことは言えませんが、仲間で集まって生活の拠点をつくっていけて、かつ、それを仕事にできたとしたら、それはとても楽しそうですね。

現在の日本では学校を卒業すると就職して、誰も知り合いのいない集団にぶち込まれて、その集団の中での当たり前を叩き込まれて「社会人」として労働力を提供するというルートが一般的です。私からすると、なんで知らない集団にぶちこまれないのといけないのかと、クレイジーを感じますが多くの人はそれを当たり前として受け入れています。

そんなクレイジーはやりたい人だけに任せてしまい、仲間や友人と働くという回路が一般的になったらもっと楽しく豊かに幸福に人生を過ごせるのではないかと思うわけです。

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話が少し脱線しましたが、現状において私たちは労働者協同組合法を私たちも活用すべきかなのかどうかを検討しているという状態です。つまりはこの法律を活用すれば、今後「仲間と働きたい!」と思う人が増える可能性があるのか、私たちのような働き方を増やす最善の策なのかを検討しています。

検討というと岸田首相のようですが、物事を大きく動かすにはそれだけのエネルギーが必要となります。もう少し考えてみてさまざまな動きを決めていこうと思います。


文責 菅谷圭祐

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