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「顔の見える関係」の中で働く

 今年1月、自営業を営む仲間が中心となって「生活者・生活事業労働者協同組合」が結成されました。通称「生生(なまなま)」です。


 生生は、JR板橋駅近くでリサイクルショップを運営しています。そこでは、引っ越しや不用品回収を営む仲間が回収した家電や衣類を販売しています。普段は編集者としてPCに向かって働くわたしも週に一度くらいのペースで店番をしています。

 店番をしながら「顔の見える関係」の中で働くことについて考えてみました。

 わたしが普段編集者として働いている会社には、従業員が200人近くいます。当然、顔も名前も知らない人がたくさんいます。

 また誰が誰より偉いのか、誰がものごとを決める権限を持っているのか、実はよく分からないまま働いています。一緒に働いている編集長よりも役職が上の人となると、誰がどのような仕事をしていて、どのような権限を持っているのか知りません。

 一方、生生は組合員のほぼ全員が友人・知人です。数年前から付き合いのある組合員も少なくありませんし、それ以外の組合員とも何度か一緒に飲んだことがあります。中には、一度会ったことがあるだけ、Twitterで相互フォローだっただけという人もいます。しかし、いずれにせよ「顔の見える関係」の中で仕事をしています。

 これから組合員になる人についても同じことが言えます。

 普段、働いている会社では、毎年新卒の学生を採用しています。わたしは誰が入社してくるのか知りません。一方、組合に新たに加入するためには、組合員二人の推薦が必要になります。今度、新しいメンバーが加入しますが、その女性のことも数年前から知っています。

 要するに、一般の企業と異なり、組合では顔が見える範囲の人たちと一緒に働いているわけです。

 友人と働くことに抵抗があるという人もいるでしょう。しかし、人となりを全く知らない人たちと働くことに比べると、対人関係のストレスが少ないと感じる人も多いはずです。

 わたしは、近いうちに部署異動となる予定ですが、その場合、全く知らない人たちといちから仕事をすることになります。どちらが意志の疎通をしやすいかと考えると、やはり「顔の見える関係」なのではないでしょうか。

 またわたしが頑張って利益を上げると、友人たちにも利益になるということがあります。会社では、誰かが利益を上げても、その利益がどう使われるのか、誰かの給与が上がるのか、よく分かりません。(これは組織の透明性や規模の問題とも関わってきます)

 しかし組合では、例えばわたしが営業をして仕事を得ることができれば、「顔の見える」人たちもそれだけ多くの収入を得ることができます。そうした”直接性”にやりがいを感じることができます。

文責 中垣内麻衣子

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