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【シネマレビュ―】まるで大人向けの絵本?1917 命をかけた伝令を観た感想

周りでちらほら観た人がいたものの、そこまで興味もなく前情報もないまま観てみたこの作品。「え…おもろいやんけ」というのが正直な感想だったので軽く感想を書きます。
※以下、核心部分には触れませんが多少はネタバレがあるかもしれません

-あらすじ-
若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務をエリンモア将軍から与えられる。ブレイクの兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく

なにがすごい映画なのか

①ワンカット風な撮影

この作品は第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマなのですが、全編1カットのように頭から終わりまで観られるため、視聴者は息つく暇もなく映画にのめり込めるようになっています。実際私も寝そべりながら見始めたのですが、最終的には正座してみていました。

②淡々とした戦争描写

戦争映画というと前線で活躍する兵士を扱うイメージが強い方も多いのではないでしょうか。プライベートライアンの冒頭シーンのように銃声が耳の横を霞めるような臨場感、銃弾の嵐を受けてひやひやしながら戦場を進む兵士たち、この映画ではそのような大勢での派手な戦闘シーンやドラマチックに感動を誘うわかりやすい演出が少ないです。しかしその淡々とした描写によって違ったリアリティーを感じてしまう不思議な作りになってます。

③悲惨な景色の中にぽっと現れる美しさ

この映画を観終わった後に最初に心に浮かんだ言葉は「絵本みたい」でした。なぜ戦争映画をみて絵本だと思ったのか。自分でも疑問で思い返してみたのですが、きっとワンカットという点と、美しい構図、映像が絵本の1枚1枚ページをめくるように脳裏に焼き付いているからだと思いました。
死体が転がり、蛆がわく不衛生な戦地を少し逸れると、青々とした草原が広がり、広い空が映ります。また、川に浮かぶ死体の上に桜の花びらが、はらりはらりと舞うシーンも。自然の美しさ、生命の強さを感じる部分と、あっさりと命を落とす人や動物たち、その対比が強く印象に残る構図。1カット1カットがとても美しく、冒頭とラストの構成…それに私は絵本ぽさに繋げたのだな。と思いました。

④2人の対照的な主人公

スコフィールドとブレイクの2人が主人公として物語が展開していくのですが、2人の性格や個性はかなり異なります。
ブレイク…若い青年で、戦争で手柄を立てて勲章をもらうことは誇りだと考えています。また、今回の指令を届けられないと兄が死んでしまうこともあり今回の伝令にかける気持ちも熱いです。
スコフィールド…ブレイクよりも戦地での経験が豊富そうな発言があり、勲章も過去にもらっている模様。でもそれをワインと変えてしまうくらい冷めてます。戦地で色々見てきたのしょう…ブレイクの純粋さや新兵ぽさに少し不安を感じていそう。

この2人の主人子をカメラがずっと追う形で物語が展開していくのですが、映画が進むにつれて強制的に成長せざるおえない状況に追い込まれていきます。死を恐れるスコフィールド、名誉のためなら命もかけるブレイク。2人の描かれ方の対称性も非常に詩的でした。

エンドロールに出てくる「アルフレッド・H・メンデス」って?

エンドロール冒頭にでてくるアルフレッド・H・メンデス上等兵って誰だろう…?と思い調べてみると、監督のおじいちゃんでした。

映画のキャラクターや設定はフィクションですが、監督のおじいちゃんが伝令係をやっていたようですね。

とにかく情緒的で美しいのに、119分という時間を感じさせないテンポの良い作品ですので、お時間ある方は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか!

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