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【シネマレビュ―】ん?これはコメディーなのですか?可愛さと残酷さ溢れるジョジョラビット

周りが大絶賛していたジョジョラビットをついに見ることができました。

ーあらすじー
舞台は第二次世界のドイツ。10歳の少年ジョジョはヒトラー大好き!青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられてしまう。
そんなある日、母親とふたりで暮らしていたジョジョは、家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ジョジョの妄想の世界にいるちょっぴり皮肉屋で口うるさいヒトラーだけ…。ユダヤ人を庇った人は見せしめのように毎日吊るし首にされている。ジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?

喜劇と悲劇は表裏一体?

まず最初に見終わった時にジョジョラビットのカテゴリを確認し、「コメディ」と記載されていることに違和感があった。
まず舞台が第二次世界大戦の時点で過酷な状況になることは想像できていたのだが、同じように悲喜劇を扱う「パラサイト」では「スリラー/コメディ 」カテゴリに違和感は覚えなかった。ではなぜジョジョラビットで私は「コメディ」に違和感を覚えたのだろう…

監督のインタビュー記事でインタビュアーが質問をしている。

各映画賞で絶賛されている一方で、ユダヤ人の大虐殺というシリアスな題材を、コメディとして描くことに抵抗感を示している人もいます。

これは確かに私の感じた違和感の答えに近い気がした。戦争というナイーブなテーマと避けられない悲しい境遇をコメディーの力で柔らかく表現しているところに違和感を覚えたのだと思った。しかし監督の意図は違っていた。

コメディはぼくが持っている武器のなかで特に重要で、偏見や独裁に対する強力な武器となりえると信じている。今から80年も前に『チャップリンの独裁者』(1940年)が証明したようにね。以来、圧制者や憎しみや不寛容を広める人物を攻撃するために、笑いを用いるという偉大な伝統が受け継がれてきた。

参照:https://www.banger.jp/movie/26485/

ふーむ…。戦争やヒトラーというモチーフだからこそコメディである意味があると監督は述べている。ここで悲喜劇とはなんぞやと思い軽く調べてみた。

ーデジタル大辞泉の解説ー
1 悲劇性と滑稽感(こっけいかん)とが混在する劇。悲劇的に進展しながら喜劇的な結末に至るもの、悲劇中に喜劇的場面が挿入され悲壮感を倍加するものなどがある。トラジコメディー。
2 悲しみと喜びとが重なり合った、人生や社会の一場面。

悲劇に喜劇要素を入れる、喜劇に悲劇要素を入れることでどうやら感情が倍増する効果があるようだ。いつから悲喜劇の概念があるのかといえば、曖昧らしく、明確な定義が無いため古代まで遡ったりする。
ジョジョラビットでも監督は戦争といいうテーマを軽視して取り扱ったわけではなく、ヒトラーや戦争というものを大きく否定するために喜劇的な形を手段として取ったようだった。
その割にはストレートに戦争を扱った映画と比べ、大きな感情の変化が自分の中になかったので、悲喜劇の効果としては上手くいっていないようにも感じたけれど…。

いや結局どうなの?面白いの?

ごちゃごちゃ言っておりますが、上記違和感以外は満足して見ることができたので、おすすめしたい1本であることに変わりはない。特に好きなところを述べると…

①小物や衣装の可愛さに悶える!ジョジョラビットが女性に人気な理由の一つだと思うのですが、とにかく映画にでてくる小物や衣装が可愛い。レトロで彩度を抑えたビンテージ感がおしゃおしゃ。美術監督のラ・ヴィンセントさんまじすごい。

②脇を固める豪華な役者たち「月に囚われた男」のサムロックウェルさんや、リアルな夫婦事情を嫌というほどリアルに表現してくれた「マリッジストーリー」のスカーレット・ヨハンソン様、などなど。コメディシーンもシリアスシーンも脇を固める役者の演技力あってのもの。

③少年少女の掛け合いがキュート。子供ならではの純粋な疑問や残酷なセリフの掛け合いがとてもよい。特にかわいいのがジョジョの友達ヨーキー。ぽっちゃり少年のヨーキーはジョジョの同世代の同性の友達。信頼しているからこそ、彼らの中には秘密は無しなのね。

ジョジョ少年とユダヤ人の少女の運命は…!美しい美術と役者の名演も必見。

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