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利用者さまとの突然のお別れ

 まだ48歳という若さで、私が担当させて頂いていた 薫さんは天国へ旅立ちました。

薫さんは、生まれて間もなく小児麻痺であることが分かり、お母様は薫さんを連れて新潟から上京。東京の病院へ入退院を繰り返しながら、ずっと薫さんを支えてこられました。

二年前に初めてサービスに入らせて頂いた時にお母様から、人間不信のような険しい表情で睨みつけられたことを覚えています。

後で分かったことですが、お母様
のヘルパーに対する不信感は相当なもので、担当する者によっては、目を合わせない、ほぼ口も聞いてくれない、常に苛立った表情をしている、何かあると罵声をあびせてくる、などの理由でサービスにつけるヘルパーがいなく、困っていたようなのです。

私も最初は難しいお宅だなと感じていましたが、最大限の真心を持ってサービスにあたらせてもらえれば、お母様との関係も必ず良くなる、そう信じ毎週のサービスにあたらせて頂くことになりました。

目が見えず、話すことも出来ない、身体を動かすこともほぼ出来ない薫さんは、週末以外はデイサービスに通っていました。

私はデイサービスからお帰りになった薫さんを車椅子に乗せて玄関まで移動し、そこから抱きかかえてベッドまで。
その後、パジャマへの着替え、トロミのついた栄養剤の摂食の介助をさせて頂いていました。

私が担当して二年が過ぎ、お母様とも心が通い、可愛がっていらした愛犬が亡くなった時には、抱き合って二人して涙を流すような関係性を築くことが出来るようになっていました。

薫さんの存在は、お母様の生き甲斐そのものであり、医師には成人出来るかどうか分からないよ、と言われていたのに、がんばって生きてくれて本当に有り難い、と薫さんが亡くなる少し前にお話しされていました。

尿路に炎症が起きて、二週間ほど入院されると聞いて、そのまま旅立たれた薫さん。

今まで、本当にお疲れ様でした。
そして、有り難うございました。

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