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「社会の役に立たない」「生産性がない」「税金の無駄遣い」と1度でも言ったことがある人へ

「国の負担を減らすため、意思疎通を取れない重度の障害者は安楽死させるべきだ」

「LGBTは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのか」

「高齢者への医療は社会資源の無駄、寝たきり高齢者はどこかに棄てるべき」

「大谷翔平選手や藤井聡太棋士や芦田愛菜さんみたいなお化け遺伝子を持つ人たちの配偶者はもう国家プロジェクトとして国が専門家を集めて選定するべきなんじゃないか」

「純粋ゲルマン民族を維持するため、「不適格」なユダヤ人は絶滅すべきだ」

「西洋人との結婚により優れた子孫を残して日本人種を改良できる」

「ハンセン病患者、精神障害者、知的障害者は断種対象としてよい」


これらは全て過去に実際に言われたり、実行されたりしたことだ。そして現在もこういう思想を持つ人はいるし、もしかしたら自分も気づかないうちに似たような思想を持っていると気づいてドキっとするしれない。

これらは全て優生思想の例である。

優生思想はまず、人間を優れた者と劣った者、社会の役に立つ者と立たない者、生産性のある者とない者に二分する。
そして前者には「生きる価値」があるとし、後者には「生きる価値」がないとして切り捨てたり、積極的に排除する。
それを社会全体の利益と幸福のためだと正当化する。

優生思想は間違っている。
(少なくとも、21世紀の地球において)

優生思想が間違っているのは、ダーウィンの進化論を曲解した学問的な誤謬であることに加え、すべての人間が生まれながらに持つ基本的人権を否定するものだからだ。

人間は、遺伝子的に優れているから生きる許可を与えられるのでも、社会や国家のために役に立つから生きる権利があるのでも、子孫を残せるから生きる価値があるのでもない。

人間は生まれながらにして、侵すことのできない永久の権利として、基本的人権を持っている。すなわち、かけがえのない個人として尊重され、平等にあつかわれ、自らの意思に従って自由に生きる権利を持っているのである。

優生思想は他者の基本的人権を侵害していいという考え方であり、基本的人権を尊重する社会において棄却される。


他者の人権を尊重しない思想は尊重され得ない。


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※①2016年に相模原障害者施設殺傷事件を起こした植松聖の思想。

※②2018年に『新潮45』に寄稿した自民党議員杉田水脈の言葉。(抜粋)

※③2019年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者を殺害した大久保愉一の発言。

※④2020年にRADWIMPSの野田洋次郎が投稿したツイート。

※⑤ナチスによるホロコーストの思想。

※⑥明治期の日本で流行った思想。西洋人との混血児を目的とした国際結婚が出現し、高橋義雄による『日本人種改良論』(1884年)も著された。

※⑦1948年〜1996年まで日本で施行されていた優生保護法およびらい防法の内容。

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