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今日の1枚はこれ!John Mayall / Blues Breakers with Eric Clapton (1966)

経歴が長いイギリスのブルースミュージシャン、ジョン・メイオールの初期の頃のアルバム。彼のバンド「ブルース・ブレイカーズ」に、エリック・クラプトンが在籍していた時の作品。※アルバムのカバー写真でエリック・クラプトンが、イギリスの子供向けコミック「ビーノ」を読んでいるため、”ビーノ・アルバム”と呼ばれることが多い。

英国ブルースの最高峰ともいえる作品で、本作が無ければ英国のブルース・ムーヴメントは無かったとも言われている。当時イギリスでは、大きなブルースブームがやってきており、本作は全英チャートで6位とヒットした。

サウンドは、やはり渋い!!一番はクラプトンのギターという事は間違いないが、ジョン・メイオールのヴォーカルも、ブルースしてる!

【ジョン・メイオール】
ジョン・メイオールとは、1960年代の英国ブルース・ロック・ブームを牽引したボーカリスト。彼のバンドから、多くの素晴らしき才能達を世に送り出し、ミック・ジャガーは彼のバンドを” The John Mayall School “と呼んでいたほど。のちに”ブリティッシュブルースの父”と呼ばれるようになる。

【エリック・クラプトンと本作】
エリック・クラプトンは真のブルースを追求するため、在籍していた「ヤードバーズ」がポップな路線に変更していくのを嫌い、バンドから脱退。「ブルース・ブレイカーズ」に、加入することになる。メイオールは、クラプトンのアンプを歪ませたディストーションのかかった音と、ライヴ時の攻撃的なギターワークを高く評価していた。そのため彼が演奏したギターソロをキャプチャするために、1枚目と同様2枚目となる本作も、ライブアルバムとして製作することを考えていた。しかしフラミンゴクラブで録音されたものは音質が悪く、使用されなかった。結局2作目となる本作は、1966年5月にロンドンのウェストハムステッドにあるデッカ・スタジオで録音された。

【本作でのクラプトンのギター演奏】
本作でのクラプトンのギター演奏は秀逸で、本物のブルースギタリストとしてのクラプトンの才能を世界に知らしめることになった。またブリティッシュロックのギタリストには、ハイテクニックの猛者が多いが、その理由は本作に影響を受けたミュージシャンが多いからと言われている。

この作品でクラプトンは、PAF系の2ハムバッキングピックアップとサンバーストの1960ギブソンレスポールスタンダードで演奏(のちに盗難になって、現在でも所在不明)。そのギブソンレスポールで、マーシャルのギターアンプを使って、ディストーションの効いた切れ味鋭く音を歪ませるこのスタイルは、多くのギタリストが同じようなチューンアップを施すようになる。そしてこのセットアップが、ロックの新しい指針となりハードロックの誕生を後押ししたことになる。

エリック・クラプトン、この時、若干21歳。この頃、ロンドンの街中に、”CLAPTON IS GOD”の落書きが出現し始め、すでに天才ギタリストと呼ばれていた。のちにクラプトンは、当時のアメリカで流行となっていたサイケデリックロック的な演奏も取り入れ、「ブルース・ブレイカーズ」を脱退した後のクリーム時代に、独自のギタースタイルを確立することになる。

【ブルース・ブレイカーズの逸話】
「ブルース・ブレーカズ」に在籍中のクラプトンが、とあるライブをドタキャン。すると会場にいたひとりの少年が、「自分に弾かせてくれ!」と頼み、飛び入りで参加した。その少年は、クラプトンのパートをパーフェクトに演奏し、メンバーと観客を驚かせた。この少年は、のちの「ローリング・ストーンズ」のメンバーとなるミック・テイラー。クラプトンがこのバンドから脱退したあと、クラプトンのような凄腕のギタリストを探し出すのに、メイオールはこのエピソードの少年を思い出し、街中にポスターを貼って彼を捜して、バンドに加入させたらしい。(この時、ミック・テイラー、17歳)


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