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小大君(左近)と瓜と恋文
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昨年末、私もついに、コロナをもらってしまい、しばらく療養してました。
二、三日経って、本を読む気力がわいたので、小大君集でも、読み返してみました。
読み通していたつもりでしたが、じっくり読むと、忘れていたり、新しい発見があったり。
小大君は、他の男性貴族とも恋愛関係があったようですが、やっぱり藤原朝光のことが好きだったんだなあと思います。
そして、これはまだ恋愛関係が始まった頃の歌のようです。
なぜ、瓜をまちがって持っていったのかわかりませんが、間違われた橘倚平もまた、和歌の技巧を凝らしまくっていてすごい。
ただ「食ひぞわづらふ」(どうしたらいいのかわからない)と言いたいだけなんですが。
朝光も小大君もまた、技巧をこれでもかと入れていて。解説によると、こんなに詠めるんだという気合と若さだと。
小大君が名乗らなくても、文でわかっちゃう朝光も素敵ですね。
(小大君は左近とも呼ばれていました)
ちいさき瓜の黄なるを、同じ色の紙に包みて、朝光の少将のがりやるを、聞きたがへて、倚平にとらせたれば
雲の立つ瓜生の里のをみなえし口無し色は食ひぞわづらふ
心ときめきしていひたりしかひなければ、返しもせで、とりかへして、はじめの人のがりやるとて、われがとないひそといひければ、少将
なりどころこまかにいづら白瓜のつらをたづねて我ならさなん
左近の君にとのたまへりしかば、我と知られにけりとねかくて
瓜どころここにはあらじ山城のこまかに知らぬ人なたづねそ
参考:竹鼻績『小大君注釈』