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藤原公信の恋

藤原公信は、藤原為光の子です。
藤原斉信とは母違いの、藤原道信とは母を同じくする弟です。

多分一回だけですが、枕草子にも出てきます。

卯の花で飾った牛車を見せようと、清少納言たちが屋敷に立ち寄るんですよね。

でも、初夏の暑い日だったのでしょうか。くだけた格好だったので、すぐに出られず。慌てて整えて、清少納言の乗った牛車を追いかける公信が出てきます。


公信の両親は、彼が元服する前に亡くなったので、母親が違う斉信が彼を養子にします。兄弟で父子というのも、不思議な関係。

この公信が、実方の娘といい関係だったと知り、驚きました。

実方の朝臣の娘に文通はしけるを蔵人行資にあひぬと聞きてこの女のつぼねにうかがひて見あらはしてよみ侍りける

朝な朝なおきつつ見れば白菊の霜にぞ痛く移ろひにける

後拾遺集雑二


実方の朝臣の娘に恋文を交わしていたが、蔵人の行資と結婚したと聞いて、この女の部屋の様子を窺って、噂が本当だと知り、お詠みになられた。

朝な朝な起きて見れば白菊に霜が降りて、色が変化していく。菊の色が変わっていったように、あなたの気持ちもあの蔵人に移っていったことが悲しくて、私の心も霜に凍てたように痛いのがわかりますか。


実方の娘に歌を送ったとは書いてないですが、恨みを訴える感じにしてみました。


女房のようですが、母は誰かわからないし、誰に仕えていたのか、いつ生まれたのかもわかりません。小一条流の人々は春宮妃の宣耀殿によく出入りしているので、ひょっとしたら、宣耀殿か春宮に仕えていたのかもしれません。


公信と歳がちかいのだったら、実方が二十代の頃の娘かもしれません。

行資は橘氏で、清少納言の元夫、橘則光の従兄弟なのだそうです。(Twitterで教えていただきました)


ちょうど、実方が陸奥に赴任したあとのようです。

たまたまかもしれません。でも、実方が親友の道信の弟ということで、目をかけてくれと頼んでいたら、おもしろそうだなと思いました。

菊の花は寒さが厳しくなると、色が深まるそうです。

六位蔵人の行資より、公信の方が出世し、将来も安泰なはずなのに、実方の娘はなぜ、公信から行資に心変わりをしたのでしょうね。

(愛は何より勝ると思いたい)



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