嚥下調整食1jで施設に帰る
管理栄養士なこです。
誤嚥性肺炎で入院して、嚥下調整食1jで施設に帰った祖父がいます。
(退院して2ヶ月ちょっとの間でしたが、施設のスタッフの方々の支えもあり、最期まで口から食べることができたんじゃないかなと思います。)
嚥下調整食1jというと、「均質で、付着性、凝集性、かたさ、離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの」ということなのですが。
普通の食事でもなければペースト食でもなく、ゼリーorプリンorムース状の食事に限られた食形態で退院しようというのは、経験の浅い自分にとって初めてのことでした。
入院していた病院へ面会しに行ったことがあるのですが、その時の病院食(嚥下調整食1j)が一部手作りで用意されていて、大変驚きました。
主食はスベラカーゼ粥などでやるんだろうと想像できるとして、主菜や副菜もちゃんとムース状に固められているとは…
大きな病院で、沢山患者がいるだろうに、どうやって作っているのか教えてほしかった。あわよくば栄養指導受けたかった、何なら厨房見せてくれ、なんて思いました。笑
さて、自宅や施設に帰るとなると、1日3食、よほど物好きでなければ作るのは難しくないか?どうするんだ?全部市販で買わないと難しくない?と率直に思いましたし、皆さんはどうでしょうか。
ネットで検索してもあまりヒットしなかったので、こんなことやってる人もいたよということを伝えるべく、共有しようと思います。
とりあえず、必要栄養量を出す
いろんな計算方法があるけれど、ハリスベネディクトの式(というものがある)に当てはめて必要栄養量を計算してみることにしました。
身長も体重も、母に聞いてもわからなかったので、なんとなく割り出しました。
身長(見た目)153cm
体重 43.3kg
BMI 18.5kg/m²
基礎代謝量(BEE) 940kcal
活動係数(Af) 1.2~1.3
必要栄養量(TEE) 1130~1200kcal
たんぱく質 43~50g
ハリスベネディクトの式は教科書を参考にして、Excelで出しました。
身長はこれまで一緒に撮った(立っている状態での)集合写真から、自分と比較して見た目の身長を割り出しました。体重は、BMIこれくらいかな?(少なくとも18.5よりは下回っていそう)なんて体格で検討をつけて、なんとなく出して。
身長153cm、体重43.3kg(BMI18.5)ということにしました。
身長と体重から、ハリスベネディクトの式に当てはめて、見た目での現体重が維持できるくらいの必要栄養量を割り出しました。
活動係数は、認知症だからどうしても歩こうとするけど、フラフラと転倒の危険性大いにあり(実際転倒してるし)車椅子移動と指示受けていたので、1.2~1.3としました。
そして、1日の必要栄養量として、1130~1200kcal 必要と設定しました。(たんぱく質は43~50g/日くらいあったらいいなと思いながら…)
さあ、どこで買う?
ドラッグストアや一部のスーパーにも、介護食品コーナーに売っていたりします。
だけど、施設に持っていくには大変だし、まとめて買いたい。ということで、「ヘルシーネットワーク」からオンラインで注文し、施設へ直接送ることにした。
ヘルシーネットワークのホームページには、学会分類の情報も載っているから、とても助かる!
補助食品を選ぶ
なんとなく必要量を割り出し、購入する場所も決まったところで、補助食品を選定しました。いくら認知症とはいえ、毎食甘いゼリーばかりじゃ食事らしくないよな、と思い、私の思いつく限りの市販の栄養補助食品で献立を立ててみました。(市販でこういう補助食品作っているメーカーには本当に感謝でしかないです)
朝・昼・夕はこんな感じでどうかと、嚥下調整食の説明と共に発注担当の母へ申し送りました。
主食:キユーピーやさしい献立 なめらかごはん
三島ペースト うめびしお
主菜:おいしくカロリー200 or 栄養支援 茶碗蒸し
デザート:アイソカル・ゼリー ハイカロリー
主菜の栄養量によって変わりますが、1食 約330~430kcal となり、1日3食 食べれば990~1290kcal となります。(たんぱく質がなかなか上がらないけれど)
それに、間食でデザートとして補助食品や、ヨーグルトや、ゼリーを食べてもらえれば良いなと。私は考えました。
施設で食べてもらった感想として、要らないと言われない限りは食べてもらえていたようなので、ひとまずは良かったかなと思っています。
ちなみに、施設での食事提供(食事代)と持ち込みの食事で食費がダブってしまうので、持ち込みだけでの食事代で対応してもらっていたとか。
今まで普通の食事を用意して食べていたのに、何かしらの嚥下調整食が必要となって自宅へ帰る、なんていうことも、世の中いっぱいあると思います。いきなり予備知識ないところに急に来月、来週、はたまた明日からやれとか言われたら、そりゃ大変だ…と思います。
自分のできる限りを尽くして、相手の気持ちや状況に応じて提案できるような管理栄養士になりたいと、日々思います。
最後に、勉強させてくれたじいちゃんに感謝の気持ちをこめて。
管理栄養士 なこ
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