虫歯ってどこから削るの?~最新のむし歯理論~
こんな経験ないですか?
A歯科医院「はい。今、お口の中に、虫歯ないですよ」
↓
B歯科医院「あーこれは、結構虫歯ありますね」
または、その逆も。。。
それから、歯医者をしていると、
「無駄に、歯を削られたんだよ~」
「削らない治療出来ませんか?」
そんな声を時々聞きます。
そのあたりの疑問に答えつつ、「虫歯ってどこから削るべきなのか?」について、エビデンスを元に解説します。
結構驚くと思います。
ハッキリ言いますけど、
「日本の歯医者さんは削りすぎです!」
そもそも虫歯ってなに?
「そんなもん知ってるよ!
虫歯菌が歯を食べるんだろ?それが虫歯だろ?」
こう考えてる人って実際いるんですよね。
まぁ「虫歯」って名前も悪いと思うんですけど、
なんで「虫歯」って名前なのかは知ってる人も多いと思いますが、
歯に、歯を食べる、虫が住み着いて、虫歯になるって昔々の人は思ったからなんです。ちなみに、歯科医師は「虫歯」って言いません。
「う蝕」または「カリエス」ですね。
じゃあ、カリエスってなに?
『カリエスとは、バイオフィルムの中で細菌叢が変化することによって、細菌が出した酸により、歯が溶けた状態』
と言えると思います。
ん?ん?ってなりますか?安心してください。順を追って説明します。
絵にすると、だいたいこんな感じです。
バイオフィルムって言うのは、細菌の住処(すみか)みたいなものです。
住処といっても、細菌が出したモノと細菌で出来ています。
お風呂場や流しの排水溝がヌメヌメしますよね。あれがバイオフィルムです。
バイオフィルムはバリアみたいなモノで、
①これのおかげで細菌は、その場所にくっついていられる
②これのおかげで、唾液(つば)に洗い流されたり、唾液に殺菌されたりしなくなる。
③細菌が出した”酸”がその場所にとどまりやすくなる
④バイオフィルムが酸性になることで、酸に強い細菌がそこで繁殖しやすくなる
⑤消毒薬とかの効果も受けにくくなる
とまぁ、”バリア”ですねw
そのバリアの中で、いろんな細菌が「ワァーーーーー!」「イエェェェーイ!」って生活を始めます。
で、その細菌の多くが、”糖”(砂糖とか、甘いもの)を食べて、”酸”(多くは乳酸)を出すんですね。
”酸”がバイオフィルムの中で溜まっていくと、バイオフィルムが酸性になって、より酸に強い細菌が生活はじめて、
「うりゃああああああ」ってどんどん”酸”を出すようになって、
ついには「歯が溶けていく」
っていうストーリーが今一番有力な仮説です。(参考文献)
特定の虫歯菌ってものがいるわけじゃないんですね!(ココ重要!)
昔はS. mutansってヤツが虫歯の原因菌として完全な悪者扱いだったんですが、今はバイオフィルムって環境が悪いって感じです。
不良学校に入って、大人しかったあの子も変わってしまって、窓ガラスを叩き割っていく!!みたいな・・・私の絵からは不良ぽさが1mmもないですね。ちょっと書き直します。
オラオラ言いながら、”酸”を排出してるのが可愛い!!
普段は大人しかったあの子で有名なのは、乳酸菌くん!!
みんな大好きでしょ、乳酸菌!ヨーグルトとかに入ってるやつね。
よく腸内環境整えましょう!とか
プロバイオティクス!とか
プレバイオティクス!とか
で出てくるあの子ですよ。
バイオフィルム学校の中では、やさぐれてしまって、虫歯の原因になるんですね。(こう書くと、誤解を与えそうですが、乳酸菌自体の性質が変わったわけではなく、出された”酸”そこにとどまってしまうことで、体に悪影響を及ぼします)
ということで、
カリエスについて、知識をアップデートしてもらえましたか?
え!?もう結構書いたよ!1488文字だよ。
もう一本分の記事で良いんじゃない?w
冗談はさておき、ここからは「どっから削るの?」って治療の話になります。かなり頑張って書きました!!
治療の話は、ある程度真面目に知識をつける気がないと、危険だと思うので、その小さなハードルとして、ここからは有料とさせて頂きますね。
”生兵法は大怪我の元”ってやつです。
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