見出し画像

落胆、奇跡、失恋

2か月に一回の美容室。
行きつけのその美容室に、実はお気に入りのアシスタントくんがいた。
低い声でおっとり喋るセンター分けの男の子。
顔もなんだかかっこいい気がする。
でも、アシスタントに誰がつくかは運次第。
今日はその人がアシスタントに来ないかなー。
なんて淡い期待をしても、そう簡単に奇跡は起こらない。
担当のスタイリストと髪色について話してると、その人の声が右耳から聞こえた。
低音の落ち着いた喋り方が好きだった。
いいなーなんて思っていたら、なんだかその人がこちらに近寄ってくる。
え?とドキドキしているうちに話しかけられて、シャンプー台に案内してくれた。
どうやら予約していたヘッドスパを施行してくれるらしい。
こんな奇跡が起こっていいものか。
寒さと寂しさに耐えた私に、神様がくれたご褒美か。
気持ちのいい時間はあっという間に過ぎて、ドライヤーの時間になった。
その時見えた薬指に銀色のリング。
はい終了ー
失恋はいつも唐突だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?