最後まで行く

藤井直人監督作品、岡田准一氏主演映画「最後まで行く」を鑑賞してきた。

2014年に公開された韓国映画「最後まで行く」のリメイクバージョン。
キャストが岡田准一×綾野剛の時点で面白いの確定だと思って公開を楽しみにしていた作品。

この日は映画2本観る予定だったから、早起きして映画館に向かう。

あらすじ

年末の12月29日。
母の危篤の知らせを受け、車を走らせていた刑事の工藤の元に職場の課長から、裏金が作られている件についてお前が関わっているのではないか？と電話がある。
なんとかその場をやり過ごす工藤だったが、その間に母が亡くなったことを、妻からの電話で知らされる。
母が亡くなったことに動揺していた工藤は、目の前に男がいることに気づかず、そのままその男を撥ね飛ばしてしまう。
その男が死んでいることが分かった工藤は、焦った末にその遺体を車のトランクに入れ、そのまま母の棺の中に入れ証拠隠滅を図ろうとする。
しかしそんな工藤の元に「お前は人を殺した。知ってるぞ」と一通のメッセージが入る。
次々とくるメッセージに腰を抜かすほど驚く工藤。
そんな工藤にメッセージを送っていたのは監察官の矢崎。
矢崎もまた、ある男の行方を追っていたのだが、その男の正体は工藤が車で撥ねたあの男だった。
追われる工藤に、追う矢崎。
何故、矢崎はその男の死体を欲しがるのか。
そしてこの2人の決着は如何に──。

以下ネタバレあり感想

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出演者たちが魅せる漢

この映画、役者陣がやっぱりかっこいい。

岡田准一氏演じる工藤は、ヤクザから賄賂を受け取り、飲酒運転もするダメダメ刑事。

家庭を顧みず妻からも愛想を尽かされて離婚寸前の工藤は、ぱっと見は本当に情けない男なんだけど、誘拐された娘を助けに行くために矢崎（綾野剛氏演じる監察課の刑事）の車に爆弾を仕掛けたり、ラストの決闘のシーンは泥臭いながらも自分の信念や、守るべきものを守るために最後まで立ち続ける姿は、見ていて呆れつつもカッコよさを感じた。

そして、その工藤に対峙する綾野剛氏演じる監察課の矢崎。
この矢崎の立ち姿とか、オーラとかが得体の知れない不気味さと恐怖感増し増しで、こちらもこちらで漢のカッコ良さというもを魅せてもらえた。
（私こういうメガネをかけた賢い背の高い人って昔から好きなんだよなぁ）

漢のカッコよさを存分に味わえて、それだけでもこの映画を見て良かったと思えるのは、ポイントが高い。

手に汗握るサスペンス展開

それで映画本編について。

この映画はとにかく展開が二転三転していて、その度に話に引き込まれていき、飽きがこない。

それに、工藤目線からみるひき逃げ事件と、矢崎の視点で見るひき逃げ事件でだいぶ意味合いが変わってくるから、どの場面からも目が離せない。

最初は工藤がどうひき逃げ事件を隠蔽するのか、そして、それを密かに知ってる矢崎からどう逃げるのかと、そればかり気になっていた。
でも後半矢崎の視点になってからは、工藤が撥ねた男がとある組織の金を横領して逃げようとしていた男で、矢崎はその男を始末しようとしていたことが分かってからは、これから話がどう展開して、どんな結末を迎えるのかが全く分からず、その分次々と提供される映像やセリフに釘付けになる。

ただのひき逃げ事件から、娘が誘拐され、同僚も殺された工藤と、自分の立場を守るために暴走し続ける矢崎の対峙に手に汗握らずにはいられない。

ヤクザ顔負けの殺し合い

1番映画を見ていてハラハラし、面白かったのはラストの工藤と矢崎の殺し合い。

年の瀬で、みんなが新年を迎えるに当たって浮かれている中、工藤と矢崎の2人が殴り合う。漢の面子をかけた行われるこの殺し合いが、まぁ、見てて堪らない。

決してスタイリッシュなことはなく、血も涙も鼻水も、唾液も、全てをダラダラと流しながら、相手にしがみつき、目の前の相手を殺そうとするその執念深さは、グロテスクでありつつも、もはやどこか美しさまで感じてしまう。

そしてそれを仕掛けた最大の黒幕の正体に、また背中がゾワゾワと恐怖感が走るわけだけど、これは映画を見て実際に味わってほしい。

漢の執念

ここまで長々と語ってきたけど、この映画を一言で言うなら「漢の執念」を描いた作品だということ。

矢崎は一度爆弾で池に車ごと沈んだのに生きてて工藤を殺しに来るの怖すぎるし、工藤も工藤でお腹撃たれてるのになんで最後カーチェイスできるほどの余裕あんの……。
なんで2人とも死なないのよ。

最後の最後、2人ともその綺麗な顔をボコボコに腫らして、それでも「自分がこいつを殺すんだ！」という強い執念で追いかけっこをする。
そんな泥臭くも、かっこいい2人が向かう果ては一体どこなんだろう？と最後までこちらをワクワクさせてくれる本作。

うん、憎いね。

最後に

この映画、サスペンスホラーってあってちょっと怖い作品かと思ってたけど、（まぁ実際そうなんだけど）少々コメディタッチで描かれていて、シリアスな展開の中でも役者陣のコミカルな演技（特に岡田准一氏演じる工藤）が所々に散りばめられている。

展開と演技のコントラストがハッキリしていて、すごく見やすくなっていた。
（私の好み的には、コミカルさなくて100%シリアスな空気感での作品も見てみたかったけど、そらはパラレルワールドの話）

最後の最後まで何があるかわからない。

それこそエンドロールが終わった後も席を立ってはいけない。

ドキドキハラハラの展開を楽しみたい貴方に、是非。

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