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僕はペルソナ1が好きだけど大っ嫌いだ【P1クリアレビュー】
ペルソナシリーズ全制覇、ということで、まずはペルソナ1から。
魅力たっぷり。僕は好きだけど大っ嫌いです。
なんか色々わかるから、擁護したくなるのよね。今回はそんなクリアレビューです。
結論:
ペルソナの基礎はここで完成していた
ネタバレ全開ですが、未プレイの方が読んでも支障はない、はず。
PSP版をPSVITAでプレイ。
セベク編は18時間、雪の女王編は7時間でクリア。
プレイフィール
ペルソナの基礎の確立
ペルソナらしさとはなんでしょうか。
よく『P3以降はペルソナじゃない』だの、『許せるのはP1、P2だけ』みたいなコメントを見かけますが、あなたにとっての「ペルソナらしさ」とはなんでしょう?
僕なりの「ペルソナらしさ」は、「個人の問題からセカイ系につながる」です。
つまり、大きくいうとセカイ系。毎作品後半はついていけん。
そういった意味で、この初代ペルソナはその骨子を打ち出したんだと思います。この功績は大きい。
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このペルソナ1もつまるところ『メンヘラマキちゃんのセカイ系』な話なわけで、これを「メガテンの会社」が出したインパクトは大きかっただろうなぁと推測。
まさしくアトラスの新時代を感じる一作だったと思います。
しかも、メインカラーは学園モノ。ifで感じた手応えを発展昇華させたんだなぁ。
学園ジュブナイルという風穴を開けたのは、アトラス史においても見逃せない点。今やペルソナの会社だもんね。
メガテンからの脱却
『メガテンが大好きだから,ぜひPlayStationに出してほしい』と言ってくれたんです。それで『if...』の流れで,同じ学園ものの『女神異聞録ペルソナ』を企画しました。
女神異聞録ペルソナは、メガテンと新規IPの狭間にあった作品だったと思う。
メガテンらしさを継承しつつ、本筋やサブは明るく固めた。
随所に残るメガテンらしさが本作を遊びにくい作品たらしめている要因だ。
高いエンカウント率、意地悪なダンジョン構成、閉塞的な3Dダンジョン。
そして本作は、アトラスの中でもかなり売れた作品でもある。
ここから「メガテンらしさ」を抜いて、「学園ジュブナイル」に舵を切った岡田耕始(P2ディレクター)の判断は英断だったと思う。
本作は、そんなメガテンっぽくもあるペルソナ第1作目。独特な魅力がある。
僕はこのゲームが好きだけど、でも同時に大嫌いでもある。言葉にするのが難しい距離感。
同じ感情な人、いるんじゃないかなぁ。
評価点
圧倒的に濃ゆいスタメンキャラ
すぐにスタメンを好きになった。早い。キャラ個性の紹介がめちゃくちゃ早い。好き嫌いがすぐに分かれる。これは画期的というか、驚いた。
最近の作品を楽しんでいて、「このキャラの掘り下げは?」と思うことがメタになっていた。
というか、その本エピソードを見るまでキャラの評価ができない。女の子多めの深夜アニメで、そのキャラ回がきてからが本番、みたいな風潮。
P1ではそれがない。
出会ってすぐ好きか嫌いか。この潔さが心地よい。
特にお気に入りなのは、もちろんなんじょうくん。
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本当になんじょうくん好き。ペルソナボイスも好き。任せたくなっちゃう。こんなふてぶてしいキャラグラフィックから、イケメンキャラであることを誰が想像できるのか。
P1から早速「ペルソナ=キャラゲー」の側面を打ち出すことに成功してる。
1のキャラはどれも好き。いいよね。個人的にはエリーも大好き。仲間にしそびれてやり直したぐらいには。
やっぱり面白い設定
P1はその鬼畜さが取り上げられるばかりで、ストーリーについて語ってる人は少ない印象。
結論、かなり面白かった。
まず、「もう一つの世界」って単語がもういい。早速セカイ系に走ってる。
それが胡散臭い技術と噛み合うとか、何その女神転生。世界が並立しているっていう設定は、普通に訴求力が高くて面白いと思いました。
あとは精神との戦い。
「ペルソナって結局何?」「スタンドだよ^^」
さすがシリーズ初期作。これへの回答をバッチリ持っている。
ペルソナシリーズは精神との戦い。だからこそ、キャラの等身大の想いとか、隠したい心情を暴露する(2,4)みたいな展開になるのかと感心。
ここの訴求力に気づいて拡大したのは英断だったと思う。
シリーズ一作目から等身大のキャラクターがイキイキしてる。
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溢れるサービス精神
このゲームはとにかく分岐が多い。ここに開発スタッフの気合を感じる。
まず、仲間(レイジ)の加入手順が複雑すぎる。
初見プレイ時、何も考えずに進めたあと攻略サイトを見たら、早速取り逃しがあって笑った。プレイ時間にして約1時間。誰が気づくんだ、こんなの。
きっと、開発はそういう仕掛けを使ってプレイの感想が共有できるように仕組んだんだと思う。
世はRPG全盛期。プレイヤー同士で情報交換が盛んに行われていた時代。
「あいつ仲間にした?」みたいな話が学校や職場で交わされていてもなんら不思議じゃない。
きっと、思い出を共有することで、ゲームとしての寿命を長くしたんだと思う。特に裏シナリオである雪の女王編は、よほどの探索マニアじゃないと情報なしでは辿り着けない。
メインシナリオのセベク編をクリアして、攻略本を読んだプレイヤーは度肝抜かれたんだと思う。
「え、こんなルート知らねぇよ!」
セベクを楽しんだプレイヤーがウキウキでニューゲームを始める様が目に浮かぶ。きっと開発もこんな気持ちだったんだろうなぁ。
本作は、随所にそういったスタッフの遊び心を感じる。
というか、いろんなプレイを許してくれる心の広さを感じる。
ゲームとしてはクソゲーもいいところだ。その点では大っ嫌いだ。
でも、「良い物を作ろう!」「このゲームで楽しんでもらおう!」みたいな声に溢れてる。
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僕がこのゲームを嫌いになりきれないのは、きっとそういう声を拾ってしまったからだと思う。熱狂的なファンがいる理由にも納得。
以下、それでも我慢できなかった不満点です。
ファンの方は気分を害するかも?
不満点
不親切で雑なゲームバランス
このゲーム、いくらなんでも説明不足すぎる。
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知ってたら簡単だけど、知らないと本当に鬼畜。
そして知る術がない。じゃあ無理じゃん。
そりゃ投げる人多発するのも仕方ないわ。
まず、病院を出るまでに主人公のレベルを21まで上げておく。その際、スライムとガキのスペルカードをもらっておく。ルート分岐したあと、セベク編ならレイジの固有ペルソナを魔晶変化(ランクマックスにして削除)でメギドラストーンを、雪の女王編ならカジノで灼熱の石板を入手。新月時にスライム×ガキの組み合わせでリリム作成。その際、上記のアイテムを混ぜてメギドラorメギドラオンを継承。作成後、ランク6まで上げる。その後、相性最高に降魔させて、死亡時1/4で発生する潜在復活でランクを1まで戻す。それらを繰り返してリリムを強くする。
なんてわかるわけないじゃん! そりゃ正解だけどさぁ!!!
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セベク編はシステムをあまり理解できてなかったこともあって、ラスダンで8時間ぐらいレベリングしてました。
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いや、RPGなのでレベリングは〜はわかる。
でもこれビギナー。戦闘攻略に時間を割きたくない人の難易度。
それなのにこのゲーム、ちゃんと殺してくる。
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状態異常とムド強すぎ。敵のリリムとブキミちゃんは本当に許さん。追加ダメージがエグすぎる。
異世界の学校で何度もゲームオーバーになって、ようやくシステムが理解できました。
例えば呪文ごとに消費SPが変わらないから、単体魔法より全体魔法の方がお得なこと。
スペルカード(ペルソナ作成の素)を入手するには、興味を上げるのが最優先であること。
そもそもペルソナを作るにはスペルカードが必要なこと。
ペルソナをランクアップさせるには、適当な雑魚を残して補助魔法を連発するのが早いこと。
などなど。
いや、新規IPだし、古いゲームだよ?
それにしても理解するべきことが多かったなぁ。
なんでこんなに文句垂れてるかっていうと、ここへの不満がそもそもP1をやる人のハードルになるわけだし、ゲーム中に一切の説明がなかったこと。
こういう説明不足を以って高難易度、は少し違うと思うなぁ。
合わないBGM
これも散々指摘されてるお話。
まず、溶けていかないし、やすらがないのよ。
毎回同じところで曲がフェードアウトしていくから、耳障りな印象だけが残っていく。もちろん、PS版の異聞録は未プレイだけど、それでも「合ってない」と思ってしまう曲調。
特にこの曲。
OPが終わって学校内でかかる曲なんだけど、思わず吹き出しちゃった。あってなさすぎて。ハテシナク〜じゃないのよ
神話覚醒とかボス戦は原曲で聞きたかったなぁ。Destiny〜♪じゃないのよ。
よく「曲単体で聞けばいい」みたいな擁護がある。
でも、そうなったらもうゲーム音楽じゃない。相手はJ-popになる。その中でも推せるのか? とは正直思ってしまう。PS版の信者がブチギレる気持ちも納得。
正直、A Lone Prayerはプレイ前ならとても好きだった。これは断言する。
ペルソナ5とかでエルミンの制服を選ぶくらいには好きだった。
でも、違和感が拭いきれなくて、プレイ終盤には苦手な曲になってしまった。ラスダンのレベリングとかBGM消してたしね。
新しい試みは評価したい。
作曲者(青木秀仁氏)が故人になってしまって、権利問題があったのかもしれない。だからぶっ叩きたくはないんだけれど、それでもどうにかならなかったのかなぁ(ならなかった)。
プレイハードルの低さからPSP版を選択したけれど、なんだか損した気分。
かといってPS版はやりたくない。絶対にやだ。このモヤモヤ感。うーん。
複雑なシステムと難しさ
PS時代はSFC時代から続くRPG全盛期だと思う。
ドラクエFFがゲーマーの代名詞だったし、なんならみんな通ってきた義務教育。おおよそRPGへの理解が進んできた時代で、各企業どうやってRPGに個性を出すのかを競い合っていた時代でもあったと思う。女神異聞録ペルソナ全体から、その雰囲気がビシビシ出てる。
まずは属性。多すぎ。
アギ、ブフ、ジオ、ガル、マグナ、フレイ、ザン、グライ、エイハ、ムド、コウハ、ハマ。
こんなにいらない!!!!!!!!しかも物理もたくさん種類がある!!!!!
むしろ、四属性ハマムドだけでいい。
イタズラに選択肢を増やしてみても、だからなんだ? って印象。
敵キャラの対策が面倒になるだけで、それは別に面白みではない。核熱反射の鬼女だけは許さん。
あとは全員ワイルド。主人公だけにしたP3は英断。
そもそも、戦闘が面白くない。無駄に複雑で面倒なだけで、面白くない。
旧来のメガテンにしても、基本はオートで進むバランスだった。
ペルソナはそこにメスを入れて、あんまりうまくいかなかった印象。発展途上だったのね。
パラメーターを多くしたところで、やる手間が増えるだけでめんどくさいだけ。これに貢献度による経験値分配システムとか、パーティの平均レベルの概念がまた悪さしてる。イタズラにプレイ時間を水増しするだけで、キツイ時間がいつまでもキツイ。
PSPでせっかく実装されたエストマも微妙に使い勝手悪いし、本腰入れてレベリングしようにもスペルカードが手に入らなくてペルソナが弱いまま。詰み。お前のせいだぜ、マークよ。
極め付けはラスダン。
特に雪の女王編の階段ラッシュ。本当にアホ。
総当たりでやればなんとかなるんだろうけれど、あんなん無理。
エストマなしでクリアしたPS勢は本当に尊敬する。無理だよ。やりたくないよ。
アトラス作品は結構遊んできたけど、トップクラスでクソかも。
メガテン1のカテドラル、4Fの宇宙、DSJのエリダヌスに並ぶ。面白いと面倒を履き違えちゃいけない。
総評
アトラス史に残る怪作、それが女神異聞録ペルソナでした。
この作品が根強く支持される理由がわかる。確かに、時代性を加味すると押しても押し切れない魔力があったと思う。
打ち出した独特の雰囲気。学園ジュブナイルという新機軸。理不尽だけど分かれば早いゲーム性。
これらは、圧倒的な時間を”新作”に注ぎ込めた人たちが味わえた特権だと思う。少なくとも平成中期〜令和のいまに圧倒的な熱量を込めて遊べるゲームじゃない。
断言するけど、クソゲーだと思う。
絶賛してる人も、いま初めてプレイすればそう思うはず。思い出補正は絶対にある。
P3以降のユーザーがシリーズ踏破をするために遊ぶのはオススメしないです。結構上級者向けのゲームでした。やるなら止めはしないけど。
正直に告白すると、僕はこのゲームをこき下ろすつもりでプレイし始めた。
でも、一言でクソゲーと切り捨てられないぐらいの魔力を感じてしまった。
それは無視できないくらいに大きくて、このゲームに苦しめられた不快感と同じぐらいに心に残った。
好きだけど大っ嫌い。
なんだか不思議なゲームだなぁ。
引用したインタビューはこちらから!
オマケ:一口攻略メモ
仲間加入フラグが最序盤からあり。
ゼロから攻略サイト見るのがオススメ。
キャラ全員がワイルド。
かなりメギドゲー。というか全体魔法がコスパ良くて強い。単発魔法の価値はほとんどない。
ペルソナはゴズテンノウがかなり活躍する。
ペルソナのランクを挙げる際には、雑魚を残して補助魔法リピートすること。
道具屋で買える非常口とクリーンソルトをペルソナ作成の時に混ぜると、誰にでもトラエストとエストマをつけることができる。
めちゃくちゃ楽したいならリリムを使おう。
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