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空気拷問

「どういう理由だ!!」
 早朝というのに、何者か知らないが、辺りに怒声が響いた。
 次の台詞が、その男から出て来なかった。某駅のすぐ近くに空き地があり、そこで男が立ちつくし、頭の中で言葉を探して諦めていた。
「……………」
  男の背後を、上品そうな老婆が黙って通り過ぎる。
 2時間ばかり、男はそこにいた。
「……俺は悪い事など何もしていない。しかし良い事も全くもって行っていないし、する気もない。その結果として、報われない人生を過ごしてる。それで構わない。だが、テレビに出てる、つまらない連中が面白可笑しく毎日を送っているのは、むかつきを抑えられなくなりそうだ。俺はTVなど見たから、2時間も無駄な時間をここで……」
 TVに出てる人達は、この男を苦しめる為に、がんばって、がんばっている。

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