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かんすいについて②

前回はかんすいの基本知識と身体に悪いという説について書きました。

今回は実際製麺するときにどういった使い方をするのか、について書いていきたいと思います。

◎かんすいの違い

前回も書きましたが、かんすいは炭酸カリウムと炭酸ナトリウムが主な成分です。かんすいメーカーさんのカタログを見るとかんすいといっても数十種類の製品があります。

主な違いは炭酸カリウムと炭酸ナトリウムの割合の違い。そして、その2つ以外の成分(主にリン系)が入るかどうかです。

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上の写真は一般的な赤かんすいです。成分の欄をみると「炭酸カリウム60% 炭酸ナトリウム40%」となっています。

炭酸カリウムは「麺に強い弾力を出して硬い食感にする」効果があります。札幌ラーメンで使用する赤札というかんすいはほとんどが炭酸カリウムです。札幌ラーメンがゴワゴワしているのはカリウムと多加水と熟成のせいです。

一方、炭酸ナトリウムは「麺になめらかさを出してつるつるした食感にする」効果が強いです。ナトリウムの多いかんすいの代表は青かんすいで、博多ラーメンや関西方面ではナトリウムが多いかんすいを使うそうです。

簡単に言うと炭酸ナトリウムと炭酸カリウムのバランスでできる麺の食感も変わるということです。

関東では赤かんすい(カリウム寄り)が一般的で、西日本では青かんすい(ナトリウム寄り)が一般的だと昔はいわれていましたが、今はラーメンブームのせいで全国的にいろいろな麺が求められているので昔ほど画一的に分かれている訳では無いかと思います。

一般的な製麺会社や自家製麺のお店では1種類のかんすいを使っていますが中沢製麺では作る麺によって4種類のかんすいを使い分けています。どうしても1種類だと作れない麺があったので自然と増えてしまいました、在庫管理がめんどくさい💦

かんすいは粉末かんすいと液体かんすいがありますが、製麺会社では一般的に粉末かんすいを水に溶かして使用します。量としては小麦粉の量に対して0.5%〜1.5%程度が一般的です。つけめん等はあまりごわごわすると美味しくないのでかんすい少なめです。

液体かんすいは手打ち麺の飲食店などがいちいち溶かして使うのがめんどくさいので使用することが多いです。ただ、すでに水に溶かしてあるので倉庫の場所をとります。

かんすいにまつわる話でよく出てくるのが「ボーメ計」というもので、かんすいの濃度を測る器具です。自作ラーメンで麺まで作ってしまう方や昔ながらの自家製麺のお店などでボーメ計を使うことがありますが、製麺会社では現在基本的にボーメ計を使うことはありません。なぜかというと、ボーメ計は同じ濃度のかんすいを溶かした水でも水温が違うと数値が変わってしまいます。その日の気温や水温で数値がズレてしまうのであまりあてになりません。そのため使用しなくなっています。ボーメの計算方法なんてのもありますが、個人的には製麺技能士試験ぐらいでしか使わないものだと思っています。

そんなこんなでかんすいの使い方の知識でした! 次回はかんすい編最後、かんすいの例外的な使い方などかんすいにまつわるエトセトラです。


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