3年間親につき続けた嘘
親には嘘ばかりついてきた。
子どもの頃はテストでちょっと悪い点を取ると、「テストなんかなかった」と言って、捨てた。
中学に入ると、「友だちと図書館で勉強する」と言って、遊びに行った。
高校に入ると、学校帰りに男の子とサイゼリアでご飯デートした後、何事もなかったように家で夕飯を食べた。(太った)
大学に入ると、友だちの家に泊まると言って彼氏の家に泊まった。居酒屋でバイトすると言って、違う店でバイトした。
とにかく親にうるさく言われたり、ちょっと怒られたりするのが嫌だったのだ。
こうして、ちょっと面倒な事象に対して嘘をつくという手法で回避してきたら、社会人になってからかなり長いスパンで嘘をつくことになった。
それは彼氏との同棲である。
3年ほど彼氏と同棲していたのだが、結婚するまで同棲していたことを親に一切言っていなかった。
理由はいつも通りで、「なんで同棲するんだ」とか「同棲するなら挨拶に来させろ」とか「で、いつ結婚するんだ」とかうるさく言われたくなく、面倒なことを先送りしていたのだ。
もちろん3年もあったのだから、「言ってなかった」ではない。
同棲の事実を隠すために、さまざまな嘘を重ねた。よく言われるように、嘘はつけばつくほど大きくなる。
親には一人暮らしで大田区大森に住んでいると伝えているのに、実際には目黒区で同棲をしていた。
だから、「いつゴミを出しているのか?」と聞かれれば大森基準で答えなければならないし、大雨洪水警報が出たときには大森の情報を見ながら「こっちは大丈夫」と伝えなければならない。
実際には目黒川の氾濫が迫っているし、これはちょっとした嘘では済まされない。幸い私の両親は、急に訪ねて来たり、何か贈り物をしてこなかったので住所を確認されることはなかった。
***
3年も隠しに隠してきた嘘をどう告白したか。すべては結婚の挨拶手前に行った、付き合っている人を紹介する機会にかけた。
「実は3年ほど一緒に住んでおりまして」と夫が言うと、両親は激昂するかと思ったが、父は「フーン」的なリアクションで、母は「へえ、そうですかぁ」と静かにいらだっていたのが逆に怖かった。
ちなみに、義両親に動静を事後報告したとき、お義母さんは「勝手なことをして」と泣いていたそうだ。
後に両家の顔合わせの食事会で、両母が「なんで勝手に同棲してたんでしょうね」と異常に大盛り上がりして、何なら意気投合していた。
……ならいいか、いや良くない。
嘘をつきがちなあなた。ついていい嘘と、つかない方がいい嘘があるということで、一緒に見極めていきたい。
文・香山由奈
編集・アカヨシロウさん
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