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部屋の換気扇の音

室内の湿気を紛らすために換気扇を点けている。台所とか浴室のではなく、普通の室内の壁、天井コーナー付近にビルドインされた換気扇だ。エアコンは点けてなくて、窓全開で通気している。時々洗濯を室内干しするから、普通の部屋の換気扇も頻回に点ける。

(んーーーーーーーーーーーーー)
換気扇のベース音は、アナログ時計の秒針の音よりもややデシベルが高いが、数日点けっぱなしにしているとそれが文字通りベースの耳心地になり、不快感はない。むしろ落ち着く雑音のひとつとなっている。

電車に揺られて振動音と共に寝落ちするが、客が多く降り静かな駅に停まると逆に目を醒ますのと似ている。喧騒ではなく、静寂への転換が目覚めのトリガーになるパターンだ。

換気扇のベース音は僕の耳に染み付いている。今もし僕が寝落ちして、停電か何かで換気扇が止まったら僕は目を醒ますだろう。しかし停電か何かに陥る事態はたぶん地震やミサイル着弾等の有事だろうから、ベース音の停止という静寂への転換で目覚めるよりかは物質的な爆音で起こされると思う。

そのようなミサイルに関する有事は、年々確率は高まってはいそうだが、とはいえ今の今すぐ起こることではないので、となると換気扇が停まることもそうそうなさそうだ。

結構な日数点けっぱなしだ。健気に働いてくれている。機器に触れたら熱くなっているだろうか?そんなに柔な機械ではないとは踏んでいるが、言っても結構な日数点けている。一旦消すべきだろうか?消すのは簡単だ。

「辞めるのはいつでもできる。もうちょっと頑張ってみたら?」

昔、何かを辞めたい時のたしなめられる時によく言われた言葉だ。僕はいつでも換気扇を停められるが、換気扇本体の気持ちは聞いていない。熱いから早く停めてくれ、なのか、もっと働かしてくれ、なのか。

たぶん換気扇はどうも思っていないと思うので、一旦スイッチを切って停めた。停まったけど別にその瞬間目が覚めたかというとそんなことはなかった。