「人の実力のお陰で生きていける」
妻に言われたんだ。
「泰ちゃんはね、人の実力のお陰で生きていけるんやって」
これは結構凄いことだと思う。
一見他人任せで他力本願で、人に流されている、自分の実力が及ばない、実力があってもなくても、努力をして実力を上げても関係ない、人に自分の人生のハンドルを握られている、
そう思われるかもしれない。
あるいは本当にそうかも。
でも違うんだよ。
自分の実力を上げるのは大変なことだけど、自分次第ではある。自分でコントロールできること。やるかやらないかは自分の裁量の範囲。やれるかやれないかでいうとやれる。
しかし人の実力は自分でコントロールできない。相手に委ねている部分ではあるけども、それのお陰ということは、常時それが、常時人の実力が供給され続けている、そういうことだ。「人の実力」というサプライチェーンが確立されているということだ。
サプライチェーンの下で生きている。
これは結構凄いことだ。
「人の実力のお陰で」は、サプライチェーンに自覚と感謝があり、その上でサプライチェーンを最大限に活用させて頂いている、そんな気持ちが込められている。
たぶんそんなところだ、
妻の言わんとした意味は。
知らないよ、ホントはどうか。
確認してないから。
「へぇーー!
そっか、なるほどすごいな!
ありがとう!」
人の実力のお陰で生きていたことを無自覚だった僕は、そうお返事した。