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先回りしない生き方

思い悩んでいた時に上司から教わった。
「早くできる人が遅い人を待つ必要はないのと同じで、遅い人が早くできる人に合わせる必要はないよ」


仕事で何でも先回りしてできる人がいる。

機転が利く
適応力がある
処理能力が高い(頭の回転とシステムの使いこなし)

だいたいこんな能力を備えている人が
早くできる人」だと思う。

一方で僕は、
大きなミスは少なめ
持久力はある
なんとしてでもゴールには到達する
という性質を自認している。

早いか遅いかで言うと
遅い人」だ。

ここでいう「早くできる人」は緊急事態に強い。
動ける人。

ここでいう「遅い人」は緊急事態にめっぽう弱い。
でも「早くできる人」から指示をもらったら、正確に確実にやり遂げる力はある。初期判断では遅れを取るが、実行部隊としては貢献できるという自負がある。

しかし
普段から「早くできる人」「遅い人」という役割が与えられているわけではない。そんな肩書きは存在しない。
肩書きがないから、緊急事態の発生段階ではみんなフラットだ。
「遅い人」がたまたま初期判断を求められる位置に立っていた場合、
「早くできる人」の動きをしないといけないことがある。
そういうときは結構ツラい。

「いやだな…でも仕方ないか」という気持ちの切り替えで何とかなるレベルの案件ではなく、実際にフィジカルに堪える。
動悸がして思考が停止する感覚に陥る(ほぼパニック)。
身体症状が現れる。
パフォーマンスが著しく低下する。
「自分てこんなできなかったっけ…?」
自己効力感、自己肯定感がゼロになる。

そういった場面での成功体験がなかったり、過去に大失敗体験があったことも要因かと思う。

何とかして無理に対応するよりは、
近くにいる「早くできる人」に助けを求める。
そして自分にできることに集中する。

冒頭の上司からの言葉には救われた。
半期に一度の面談での一言だった。

「早くできる人が遅い人を待つ必要はないのと同じで、遅い人が早くできる人に合わせる必要はないよ」

すごく腑に落ちた。
「確かに」と。

「早くできる人」は、緊急時にも平時にも「遅い人」よりも多く気付けるが故に、先回りして「遅い人」がまだ到達していない部分を「遅い人」に指摘してくれる。
指摘された「遅い人」は確かにそれで助けられることが多い一方で、
先回りした「早くできる人」に追いつく努力をもっとしなければいけないようなプレッシャーも感じる。
僕は先回りはできない。

でもその必要はないと上司は言ってくれた。
だいぶ百歩、いや千歩ぐらい譲って言ってくれたのかも知れないが、
おめでたい人間なので、それを文字通り信じて自分に刻むこととする。

自分に力がないなわけではない。
では自分の力を発揮できる場面はどこか。

スティーブン・R・コ―ヴィー『7つの習慣』に登場する
「時間管理のマトリックス」
「アイゼンハワーマトリックス」とも言われているよう。
縦軸を重要度横軸を緊急性とし
ある仕事(ことがら)を4つの象限(領域)のどこかに分類する。

「早くできる人」は
「重要かつ緊急なこと」も「重要だけど緊急でないこと」も
両方できる。

僕(遅い人)は「重要だけど緊急でないこと」に力を注ぐ。
多くの組織は「重要だけど緊急でないこと」は先送りにしがちだという。
すぐに結果の出ないことに時間や人やお金を投資するのは敬遠されると。

僕は他の多くの人が敬遠することをやってみる。
「早くできる人」が「重要かつ緊急なこと」に力を注いでくれている間、
「重要だけど緊急でないこと」は止めずに水面下でも続ける。
あまり表立ってするのは緊急時にはひんしゅくを買うだろうからね。

僕は先回りはしない、というかできないけど、
先送りもしないでおこうと思う。

先回りと先送りはせずに
人に貢献できる形を、自分の間合いで作っていこうと思う。



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