5-二日酔いの解消方法をまとめた

高校時代の友人と久しぶりに集まって飲んだところ、盛り上がりすぎて二日酔いになりました。テキーラは一気に飲むものではありませんね。二日酔いが激しすぎて今日は何もできませんでした。せっかくだから未来の自分に向けた二日酔いの対策方法を、酒の吸収分解などの基礎知識からまとめたいと思います。

お酒の吸収の機序
人は食べたもの飲んだものを可能な限り最小単位にまで消化分解し吸収する。アルコールは消化を受けることなく、直接吸収される。口から入ったアルコールは胃から20%、小腸上部から80%が吸収される。胃に比べ小腸からの吸収は速く、消化管内のアルコールは飲酒後1~2時間でほぼ吸収されてしまう。胃・腸から吸収されたアルコールは、門脈という太い静脈に入り肝臓を通過して、全身の臓器に流れていく。門脈での血中アルコール濃度は非常に高いが、肝臓を通過する間にかなり下がる。臓器に到達したアルコールは、単純拡散により広がる。アルコールは水には極めてよく溶けるため、臓器の水分には容易に拡散する。しかし脂溶性は低いため、脂肪組織にはゆっくりと広がる。

お酒の分解の機序
アルコールの大部分が肝臓で処理される。アルコールはまずADH(アルコール脱水素酵素)によってアセトアルデヒドに分解、 次にALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)によって酢酸に分解される。 酢酸は血液に乗って肝臓を離れ、筋肉や脂肪組織に移動してさらに二酸化炭素と水に分解され、呼気や尿となって体外へ排出される。  アセトアルデヒドは毒性が強く、顔面や体の紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの不快な症状を引き起こす。

酒が飲めない人=ALDH2欠損
ALDHには、アルデヒドが低濃度のときに働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」がある。ALDH2の活性が弱いか欠けていると、アセトアルデヒドが貯まりやすく、酒に弱くなる。この酵素の活性は遺伝子によって決まる。また、ALDH2が完全に欠けている人は、いくら訓練してもお酒に強くなることはない。

なぜ空きっ腹は悪酔いするのか?
空腹時に飲酒をすると、アルコールが胃を素通りして小腸に流れ込む。小腸での吸収は速いため、血中濃度が急激に上がる。特にアルコール度数の高い酒を空腹時に飲むと、アルコールの吸収が加速され、血中濃度の上昇がさらに速くなる。一方、食事やつまみと一緒にゆっくり飲酒すると、アルコールが胃に留まる時間が延びるため、吸収が遅くなり、血中濃度も低く抑えることができる。

アルコールの分解速度と影響する要因
アルコールの吸収と分解はほぼ同時に開始される。飲酒後血中濃度のピークは30分~2時間後に現れ、その後濃度はほぼ直線的に下がる。樋口らの実験結果によると、分解速度の平均値は男性でおよそ1時間に9g、女性で6.5g程度。ビール中ビン1本(20g)が、分解されるのにおよそ男性では2.2時間、女性では3時間程度かかる。
分解速度に起因するのは肝臓の大きさである。大きい方がアルコールの分解は速くなり、体の大きい人は小さい人より、また一般的に男性は女性より速い。一方でALDH2の遺伝的タイプも分解速度に影響する。非活性型はアルコールの分解が非常に遅いが、実験をすることが難しいため詳細は明らかになっていない。低活性型は活性型に比べて幾分遅くなる。最後に年齢が高いほうが分解速度で遅くなる。

なぜ酒を飲み続けると強くなるのか?
酒を飲んでいて強くなったという人がいる。これはアルコールの分解速度が速くなることにもよりますがその影響は相対的に小さく、多くは脳の神経細胞が機能変化を起こし、感受性が下がることで説明されている。専門用語では、このプロセスを耐性の獲得と呼ぶ。感受性は遺伝的な影響も大きく、飲み始めから酒に強い人もいる。このような人はアルコール依存症のリスクが高い。

ちゃんぽんをするとなぜ悪酔いするのか?
ちゃんぽんは悪酔いの原因になるとよく言われているが、実は科学的根拠はない。ちゃんぽんによる悪酔いの原因は1. 複数種類のお酒をお替わりすることで単純なアルコール摂取量が増える2. 味が変わりお酒が美味しく感じてしまうことで飲むペースが早くなるの2つで説明される。

二日酔いの対策
1. 炭酸飲料は飲みすぎない
:アルコールの吸収を早めて酔いやすくなるので、ソーダ割りの飲みすぎには注意。
2. 水分を補給する:酒には利尿作用があるため、お酒を飲んだ以上に尿として水分が出ていってしまう(ビール1Lで尿1.1L)。またエタノールの分解過程でも水分を必要とするので、脱水状態になると分解が進まずアセトアルデヒドが残ってしまう。
3. 果物やコーヒーを摂取する:果物に含まれる果糖やビタミン類にはアルコールの分解や代謝を促す働きがある。飲みすぎたと思ったら、オレンジジュースを飲んだり、リンゴなどの果物を摂るとよい。緑茶や柿に多く含まれているタンニンには、胃の粘膜を修復する作用がある。トマトジュースもアルコール分解を手助けしてくれる。コーヒーに含まれるカフェインは、血管の収縮を促すことで頭痛(血管の拡張による神経圧迫)やだるさをやわらげる作用があるが、そのままで飲むと二日酔いの胃には刺激が強いので、ミルクを入れて飲むとよい。筋肉痛の症状がある場合は、体がエネルギー不足になっていることが考えられるので、糖分を摂取するとよい。
4. 薬を飲む:胃のむかつきなど、二日酔いの症状がつらいときは、症状に応じた薬を使って辛さが軽減できる。お酒の飲みすぎによる胃痛や胃の膨満感、吐き気、食欲不振などには、アルコールで傷ついた胃の粘膜を保護する作用のある胃腸薬を選ぶとよい。(https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/38_futsukayoi/index2.html)
5. サプリを取る:クルクミンというポリフェノールの一種には、胆汁の分泌を促進し、肝機能を改善する作用がある。「ウコン」は、肝臓保護作用や抗酸化作用、抗炎症作用が報告されている秋ウコン由来の健康成分クルクミンを30mg、アルコールによる肝障害の抑制が期待できるビサクロンを400μg配合している。「ヘパリーゼ」は、天然良質なレバーを分解した肝臓エキスが配合されている。そのため、胃腸などへの負担をあまりかけずに、肝臓を構成するタンパク質の原料を効率よく摂取できる。そのほか、健康成分クルクミン45mgと、その吸収を高める黒コショウ抽出物、必須栄養素である食物繊維やビタミン類も含まれている。「カンゾコーワ」は、秋ウコン抽出物のクルクミンや肝臓加水分解物、しじみに多く含まれているオルニチンとアラニン、栄養バランスをサポートするビタミン類や分岐鎖アミノ酸といった11種類の成分が配合されいる。
6. お酒を飲んでからすぐに寝ない:就寝中は内臓機能も休んでしまうことでアルコールが分解されにくくなるため、飲んだ直後に寝ると二日酔いになりやすい。
7. 適度に汗をかく:汗をかくことでアセトアルデヒドの分解を促進させる効果が期待できる。体を冷やさないようにして横になるか、動けるようであれば温かいお風呂に入るなど、負担を感じない程度に汗をかくように意識する。


参考にしたサイト:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/action.html
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html
https://www.ajinomoto.co.jp/nutricare/useful/insyu/02.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/71/1/71_55/_pdf

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