【遠隔商談】高単価×課題解決型営業ノウハウ_vol.2
前回の振り返り
遠隔商談に取り組まれている皆さんこんにちは。カケハシの中山田です。
前回は弊社の遠隔商談の取り組みについて概要のご紹介となりました。
競合が提供し得ない顧客体験を提供する
ことが遠隔商談のポイントになり、もう少し細分化すると
顧客の成約=ベンダーに対する信頼×商材への期待=(①顧客理解×②対応速度/頻度)×(③商材の提供価値×④商談体験)
に分解されると説明しました。
今回は①顧客理解についてもう少し深く考えていきます。
※前回のnoteについては下記リンクをご参照ください。
【遠隔商談】高単価×課題解決型営業ノウハウ_vol.1
https://note.com/nakayamada/n/n6ef0d9353a9b
1. 前提:我々は非言語領域から多くの情報を得ている
前回のnoteの最後にも簡単に触れた話です。
私たちセールスは顧客に製品を紹介する際、顧客の言葉以外の情報から多くの情報を得ています。
営業経験の長い皆様でしたら「神経言語プログラミング(NLP)」といった体系的な知識を習得されている方もいるかもしれません。
1997年出版の書籍ですがアカデミックに学ぶにはおすすめの書籍です。
NLP―超心理コミュニケーション 神経言語プログラミング
https://cutt.ly/DtWGfjN
例えば下記のような動作を見れば「あんまり興味がない」ないし「自分の提案に対して懐疑的/否定的なのか」と推察できるわけです。
・話を聞きながら腕を組んでいる
・口元に手を当てている
・他の社員が仕事をしているか様子をみている
・眉をひそめている
逆に言えば
・大きく頷いている
・身を乗り出して話を聞いている
・笑顔になっている
といった動作が見られれば商談が好意的な雰囲気で進んでいると感じられます。
優秀なセールスはこの非言語領域の情報から顧客心理を読み取るのが本当に上手です。
顧客が言葉にしていなくても「このタイミングならここまで聞いても大丈夫そうだ」と判断して顧客の本当のニーズを引き出していきます。
2. 課題:遠隔商談で限定的になる顧客からの情報
遠隔商談になると現地商談ほど顧客から情報が得られません。
私が過去半年間新規営業をした中で困ったことを列挙すると...
・顧客の年齢がわからない
・リアルタイムに顧客の反応が見られない
・顧客の置かれている環境がわからない
→弊社は薬局向けサービスなので、例えば患者さんが来局した際は商談の中断を申し出るなど顧客に配慮したい
・(画面が映らない場合)顧客の反応がわからない
・顧客の人数がわからない
・(顧客が複数人の場合)顧客の関係性がわからない
→例えば決済者が気にしている現場のキーマンが誰か、など現場にいたら感じられる情報が得られない
・遠隔商談の不審感により顧客の課題を聞き出せない
・・・・・・
などなど挙げだすときりがありません。
結局、商談が中盤~終盤に差し掛かっても顧客の反応が芳しくなく
「ここまでご紹介しましたが率直に如何ですか?」
「えぇ、まぁ良さそうな製品という事はわかりましたが、今は買わなくていいかな」
と成約に至らないことがままありました。
今振り返ると、上記のような商談の中には
・本当のキーマンが後ろにいたのにその人から感想を引き出せなかったり
・多忙なタイミングで商談してしまい気もそぞろで話を聞いていたり
現地にいたら理解できたであろう商談環境を見落としていた事もあったのだろうと推察しています。
今では現地商談/遠隔商談問わず顧客から「よくわかっているね」と言ってもらえるようになりました。
改めて振り返ると意識している点が大きく2つあります。
3. 工夫①:現地商談の3倍以上の質問量で言語情報を増やす
これは商材の単価や営業スタイルに関わらずおしなべてどのセールスでも活用いただける工夫です。
現地商談と違い、言葉にしないと伝わらないと顧客に理解してもらう
これだけで商談ががらっと変わります。例えば、「画面共有で資料を見せる」といった行為ひとつとっても...
<現地商談>
営業「では今からこちらの資料を見せながらご紹介いたします」
顧客「はい」
現地商談ならたった2行で終わるこんなやり取りも
<遠隔商談>
営業「今、私の顔が映っていますか?」
顧客「はい」
営業「今からこの画面に資料を映していくので少々お待ち下さい!」
顧客「わかりました」
営業「今映したのですが、どんな資料が映ってますか?」
顧客「カケハシって文字とロゴが映っていますよ」
営業「ありがとうございます!ちゃんと映っているので、このまま進めていいですか?
顧客「はいどうぞ」
といった具合に、意識的に会話のやりとりを増やしています。
資料1つ見るだけでもこれだけ細かくコミュニケーションを取るので、顧客からすると
「遠隔商談だとちゃんと伝えることが大事なんだな」と潜在的に理解してくれます。
また、顧客の状態を丁寧に確認しながら説明を進めていくので、
「この担当者は顔しか映っていないけど普段くる他のメーカーさんと同じように丁寧な人なんだな」といった印象も持ってもらえます。
また、製品の感想をヒアリングするにしても...
営業「遠隔だとなかなかxx様のご反応がみえないので率直に教えて下さい」
とはっきり感想を聞いてみると、想像している以上にポジティブ/ネガティブな感想を教えてくれます。
顧客に対してはっきり意見してほしいと伝えるかどうかはセールスの個性によって様々かと思いますが、少なくとも遠隔商談とは思っていることを言葉にして伝えるものなんだという認知を顧客にもってもらう事が重要です。
4. 工夫②:事前準備と水平思考で顧客の信頼を得る
これは特に課題解決型営業の皆さんにとって重要な話です。
課題解決型営業にとって遠隔商談の1番のボトルネックは
遠隔商談に不慣れな顧客は不安感や不信感を抱きやすい
結果として顧客の課題を引き出すのに時間がかかる
例えば弊社の場合、顧客一般的な購買活動は、毎日足繁く薬局に訪問する医薬品卸の方からの紹介が中心になっています。
毎日のように顔を合わせている担当者であればお互い人となりも分かっていますし安心できます。
私のご紹介案件でも、現地にご訪問されている代理店の方に仲介いただく事で信頼感が増したケースが多くありました。
その中で私個人を信頼してもらうため「この担当者は私のことをわかってくれている」と思ってもらう工夫をしています。
課題解決型営業なら当たり前の事前準備を相当丁寧にしています。
先程の営業資料を見せる会話でも、実際の商談では...
<遠隔商談>
営業「今、私の顔が映っていますか?」
顧客「はい」
営業「今からこの画面に資料を映していくので少々お待ち下さい!」
顧客「わかりました」
(ここでちょっとした間ができるので)
営業「先生の薬局は門前の医療機関と別に、少し離れたところに市立病院もありますが、こちらからも患者さんが来るんですか?」
(Google Mapで薬局の位置を見ています)
顧客「あーそこまでこないけどたまにいらっしゃる場合もありますよ」
営業「そうなのですね」
営業「薬局も開業されてxx年経っているので地域に根ざして長く来ている患者さんも多そうですね」
(開局年月や創業者名を調べています)
顧客「まぁそうですね。もう20年くらい来ている人もいますね」
営業「長いですね!もしかして今日同席されている先生方も長いんですか?」
(同席者の情報を深堀りにいきます)
顧客「あーそうですね。xx先生やxx先生はもう結構たちますよね」
営業「やっぱりベテランの先生もいらっしゃいますよね。xx先生は今日のような紹介方法初めてですか?」
(他の同席者にも発言を求めて商談の臨場感を創ります)
顧客「初めてです」
営業「わくわく感が半分と、画面越しで紹介される不安感半分って感じですよね」
(共感)
顧客「でもこういう時代なんだなぁと感じますよ」
(新しい取組みの受け入れが良さそう)
営業「そういって頂けると助かります。今日は業務効率化について話を聞きたい、と伺っていますが、主な診療科がxx科だと....(以下診療科で業務上大変であろう話)
(インサイドセールスがヒアリングした内容から顧客の困り感を類推しています)
営業「今画面に資料映したのですが、どんな資料が映ってますか?」
顧客「カケハシって文字とロゴが映っていますよ」
営業「ありがとうございます!ちゃんと映っているので、このまま進めていいですか?
顧客「はいどうぞ」
といった具合で相当話を膨らませています。この会話の中だけでも
・薬局の位置情報まで調べてくれている
・決済者だけでなく他の同席者の年齢や不安感もちゃんと考えている
・診療科などから私たちの薬局で困っている事を慮ってくれている
・インサイドセールスから情報が丁寧に引き継がれている
と顧客に伝わっているのをご理解いただけるでしょうか。
弊社の場合、顧客にとっては5年に1回の大きな買い物であると理解しているので、慎重に検討したい顧客の心情を理解しつつ、たとえ遠隔だとしても顧客が困っていることを解決してくれそうと感じていただけるように相当準備しています。
ただでさえ信頼を得るのが難しい新規商談を遠隔で実施するので、現地商談以上に丁寧に事前準備することで信頼を得ることがポイントです。
5. まとめ
今回は顧客理解について考えていきました。
顧客に「言葉にしないと伝わらない」と理解してもらうことで言語情報を増やし、普段以上に丁寧な事前準備とその情報を会話の中に散らす事で遠隔でも信頼を得る事ができます。
次回は商談ツールで接続している時だけでなく、顧客の商談体験全体を俯瞰して遠隔で売るポイントは何か考えていきたいと思います。
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