見出し画像

ユーザーの製品活用度について投資を最適化する

このnoteの目的

 前回の記事で「カスタマーサクセス(CS)活動のROIを最大化する」と話したが、CS活動をする上でユーザーの満足度・活用度を度外視してROIは最大化しない。
 なので、今日はサービス提供者として責任のある「活用度」にかかるROIの最適化について考えたい。

活用度にかかるROIのモデル化

 今回の記事から具体的にどうやってROIを試算するのか考えていきたい。
 機能理解。自社サービスを満足する形で、競合の参入余地がないレベルで活用してもらえるまで製品理解を促し活用度を高める。
 ユーザーの機能理解を自社目線のROIでみると...

X:プロダクトとしてユーザーに達成して欲しい活用度

X=ユーザーの自己学習+CSMによるサポート
  =(ユーザーの工数×時間あたりに向上する活用度合い)+CSMによるサポート

 例えば、ある基幹システムがありMVPが簡単に記録作業が完了するものだとする。
 Xを「1日あたりの記録数の向上率」とおき閾値130%を達成した状態を100とする。従来より130%記録数が向上していれば競合が参入する余地がないほど自社サービスがなくてはならないものになっているとする。

 Xが100になるためにユーザー自身が自己学習する工数とCSMはじめ自社社員がサポートする工数を使っていくと考えるわけだ。
 その上で、事業運営観点ではいかに負担なくユーザーの自己学習比率を高め、いかに少ないコストで自社社員のリソースを投資するかと考えることになる。

ユーザーの自己学習比率を高める

 プロダクトの活用度を最大化するために最も素晴らしい状態は

①ユーザーが満足した状態で活用してくれている

②その状態をユーザーの工数のみで実現している
③①②の状態を実現するための自社コストが最小化されている

 だと考える。
 昨今コミュニティやエヴァンジェリスト制度、自社サービスの認定制度など国内外の素晴らしい先行事例が存在している。
 これらはいずれも上述した3点を実現するためのHowにあたる。

 先程の例をあげるならば、記録数130%達成に必要な要素をすべてユーザー自身で習得できるならばこれ以上に良い状態はない。
 
 X=ユーザーの自己学習+CSMによるサポート
      =(ユーザーの工数×時間あたりに向上する活用度合い)+CSMによるサポート
      =100+0
      =ユーザーの自助努力のみで完結する!

 
更に言及すれば、ユーザーが投資する工数を最小化する、つまり時間あたりに向上する活用度合いの最大化も考えられる。
 これは無駄なく必要な情報が必要なタイミングで得られるようなOnboaringの最適化や、ユーザーにとって悩んだり困るタイミングを先回りするようなプロダクトのUI/UX設計などが当てはまるのではないか。

 現実的にはまずCSMがハイタッチにサポートをすすめ、業界特性や法人規模によって自己学習へ促していくケースが多い。
 また、仮で設定したXの状態の確からしさも検証しなければならない。(たとえば先程の例でいうならば活用度が130%でなく180%ないとチャーンレートが下がらなければ全体の投資は膨らむ)
 
 それらを踏まえてROIを最適化するために0→1でプロセス設計するならまずはOnboardingの設計から始めたい。

Onboarding
活用度Xを達成するためにハイタッチに支援するフェーズ。解くべき仮説は
・設定したXは正しいのだろうか
・Xが達成できるプロセスは見つかったのか
等が挙げられる。

▼トライアル検証ユーザー 
5~10法人?

▼検討すべきこと
1ヶ月で設定したXを達成できるか
 week1~week4それぞれにおいて通過しておくべきチェックポイントは?
 チェックポイントを達成したかどのように判断するのか?Goolge Analitics確認など?
 チェックポイントを達成するために必要な資材は提供できているか?
 ユーザーはOnboardingに取り組むインセンティブをもっているか?
 支援手法は冗長化を前提としたものになっているか?

 Onboardingの型化を3-6ヶ月程度で実施し、それらをユーザーの自己学習型へ移行させる。
  プロダクトの価格が廉価ならば投資できるリソースも少ないだろう。
  その場合はOnboardingの型化の期間が短かったり、そもそも最初からユーザー自己学習化を念頭においたサービス設計も考えられるのかもしれない。

 本当はROIの試算までだしたかったがまた次回。

 Twitter:@nakayamada62


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?