英語を通じた塾・予備校と大学の接続

 塾や予備校における英語の授業は、大学で求められる英語力の下地を作るという点で、大きな役割を果たしていると感じる。

 大学受験の突破に要求される英語の力のうち、最高レベル(例えば東大入試で8割弱:90点 / 120点)を取る力と、大学入学後に必要な力の最も大きい違いは語彙で、最も差が小さいのが構文を取る力だ。

 つまり、大学での英語は構文という外形が高校と変わらず、語彙という内面がやや専門的になるというイメージだ。受験突破に十分な学力を付けることができれば、それは大学の英語に必要な構文力をほぼ身に着けたことにもなる。そして語彙の難化には辞書で簡単に対処できる。だから、大学受験という関所を通る時に、徹底的に精読の力を伸ばすことが大切だ。

 受験と変わらず、大学で求められることも圧倒的に英文を読む力が中心だ。「読む力」とは「正確に理解する力」のことであり、これはすなわち、文型を中心に文法に従って読む、文法訳読や精読と呼ばれる技法である。そしてこれは私の場合だが、これらはほとんど予備校の授業で身に着けた。私は地方の公立高校を経て大学に進学したが、高校で文法訳読の授業を受けた覚えは殆ど無いし、あってもごく初歩的なレベルだったと思う。もちろんすべての高校が同じ状況なはずはなく、私の場合がそうだったとしか言えないが。

 予備校で学んだ技術は本当にレベルが高く、これは大学入学から卒論の執筆、資格試験、現在の講師業務まで、全てにおいて確固たる基盤になったし、今もなっている。

 聞くところによると、文法に基づいた読解を教える学校の授業が減っている。この技術は射程が長く、入試を超えて役に立つ。大学での勉強の土台になる。私のように、一部の生徒にとっては大学どころか一生モノの財産になるポテンシャルを持つものでもある。この状況の中、伝統的なやり方で精読の授業を展開している塾や予備校は、それを学ぶ機会のない生徒にとって欠かせない存在になったと思う。





 


 



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