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新しい在留資格 特定技能

2018年12月の臨時国会で入管法が改正され、深刻な人手不足に対応吸えるために、新しい在留資格「特定技能」が創設されました。

この[特定技能」は、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくもので、今まで長年に渡り単純労働の外国人を受け入れなかった日本にとって画期的な在留資格となります。それと同時にこれが実質的な「移民政策」ではないかということが議論されましたが、政府は一貫して移民ではないとしています。

在留資格について

在留資格「特定技能」は、以下の2種類があります。

特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

○ 在留期間:1年,6か月又は4か月ごとの更新,通算で上限5年まで
○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
○ 家族の帯同:基本的に認めない
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象

特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

○ 在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新
○ 技能水準:試験等で確認
○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要
○ 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)
○ 受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

国内にいる外国人も国外にいる外国人も特定技能の在留資格は、1号から始まります。

特定活動ビザ1号は、通算で「5年」しか日本に滞在することができません。これだと、永住の要件は満たすことができないので、永住権を取得することはできません。また、家族を呼び寄せることもできません。

2号に進むことができれば、5年を超えて日本にいることができるので、ゆくゆくは永住の在留資格を取得することもできます。また、家族を呼び寄せることもできます。

しかし、1号から2号に進むことができる業種は限られていて、2号に進むことができない業種もあります。

特定技能外国人を受け入れる分野について
特定技能外国人を受け入れる分野は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)です。

具体的な特定産業分野については、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」及び「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」(ともに2018年12月25日閣議決定)の中で次のとおり定められています。

特定技能を受けられる分野

特定技能の在留資格を得ることができる産業分野は全部で14分野です。

①介護 ②ビルクリーニング ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電気・電子情報関連産業 ⑥建設 ⑦造船・舶用工業 ⑧自動車整備 ⑨航空 ⑩宿泊 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料品製造業 ⑭外食業

すべて人手不足が深刻な分野です。

この14分野で5年間に最大35万人くらいの外国人を受け入れる予定となっています。今現在日本に在留する外国人は、約146万人で、技能実習の在留資格を持つ外国人が約30万人、就労目的で在留する外国人が約27万人ですから、それらと同程度外国人を新たに受け入れることになります。

しかし、今後人口が減少する日本では年間100万人が不足すると言われているので、今後増加していく可能性はありますね。

この14分野ごとに5年間の最大受入数も決まっていて、一番多いのが介護で6万人、次が外食業で5万人、3番めが建設業で4万人となっています。

技能実習との違い

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技能実習とはスキームが全く異なり、技能実習では、関係者が送出機関、実習生、監理団体、実習実施機関と5者だったのにくれべて、一番シンプルな特定技能は外国人本人と受入機関の2者となり非常にシンプルになっています。もちろん、実際には海外にいる外国人のリクルーティングには送出し機関が関与すると思いますし、技能実習の監理団体も登録支援機関となって、外国人の支援を行う場合も多いと思います。

 受入れ機関が外国人を受け入れるための基準

① 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)
② 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
③ 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
④ 外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)

 受入れ機関の義務

① 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)
② 外国人への支援を適切に実施→ 支援については,登録支援機関に委託も可。全部委託すれば1③も満たす。
③ 出入国在留管理庁への各種届出

② 外国人への支援に関しては、

①事前ガイダンス
・雇用契約締結後,在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に,労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について,対面・テレビ電話等で説明
②出入国する際の送迎
・入国時に空港等と事業所又は住居への送迎
・帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
③住居確保・生活に必要な契約支援
・連帯保証人になる・社宅を提供する等
・銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助
④生活オリエンテーション
・円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー,公共機関の利用
方法や連絡先,災害時の対応等の説明
⑤公的手続等への同行
・必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行,書類作成の補助
⑥日本語学習の機会の提供
・日本語教室等の入学案内,日本語学習教材の情報提供等
⑦相談・苦情への対応
・職場や生活上の相談・苦情等について,外国人が十分に理解することができる言語での対応,内容に応じた必要な助言,指導等
⑧日本人との交流促進
・自治会等の地域住民との交流の場や,地域のお祭りなどの行事の案内や,参加の補助等
⑨転職支援(人員整理等の場合)
・受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや,推薦状の作成等に加え,求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
⑩定期的な面談・行政機関への通報
・支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し,労働基準法違反等があれば通報

などがあります。これらは、受入機関が自分で行うこともできるし、登録支援機関を利用することもできます。

尚、弊事務所は登録支援機関 NPO法人日本国際法務協会の支援担当者となっておりますので、特定技能の外国人の支援でお困りの方はご相談ください。

また、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュの送出機関と連携し、スムースな特定技能外国人の受け入れのご相談にも応じております。

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