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「海が走るエンドロール」を読んで

8月とは思えない気温に連日の雨、被害がでたような地域では無いですが、今日も朝から雨。
昼休みにふとTwitterを見ていたら流れてきた、たらちねジョンさんの「海が走るエンドロール」という作品の1話目。作者さん自身のアカウントで試し読み出来るように画像が上がっていて、何となく読み始めたら設定やメインの登場人物の2人、1話終わりの演出や引きが面白く、気づいたら帰り道に近くの本屋に雨の中立ち寄って購入していました。

65歳のうみ子さんと美大生の海くんが映画館で出会うところから物語が始まるんですけど、その出会いによってうみ子さんは「映画を撮る側」の人間になりたいんじゃないかと言う自分に出会い、海くんと同じ美大に入学したり…。海くんもまた、うみ子さんとの出会いによってトラウマから抜け出し、自由に表現していける人になるんじゃないかと、1巻を読んで感じました。

こう言った、物語にしか無いんじゃないかと思ってしまうような人生を変えるような出会いと、他人との温度差にモヤモヤしたり、誰でも持つような感情や他者との環境の違い、こう言ったリアルな日常の描写。どちらも自然に、だけど印象的に描かれている感じがして、考えさせられながらもサラッと読めました。

自分も少し絵を描くような、どちらかというと所謂「作る側」の人間である中で、印象に残ったのが1巻ラストにうみ子さんが言った、「作る人と作らない人の境界線」について。「船を出すかどうか」とうみ子さんは言ったけれど、この言葉が自分の中にスッと入ってきて、そう、最終的にはどんな差があれど、快適な海であろうとボロボロで沈没しそうなものであろうと、出すか出さないかが境界線なんだろうなと…。
私もボロボロのイカダで海をのんびり漂っているけれど、ありがたい事に、周りに助けてくれる人や一緒に船を並べてくれる人がいるから、楽しく漂っていられるんだなぁなんて考えました。

1巻の終わりもこの先の2人の人生を見ていきたいなぁと思うような終わり方で、久しぶりに続刊が楽しみな漫画です。

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