雑感86 つながり
第10回文学フリマ大阪(文フリ大阪)に行ってきた。想像した以上に楽しくて、祭りのような一日だった。
楽しみの始まりは、5月だった。大阪文学学校でクラスメイトだった人から連絡が入り、ちょうど話題になっていた文フリ大阪に行こうと決まった。どちらも初めての文フリ参加で、日程すらも出展者から教えてもらうくらい、何もわかっていなかった。
とにかく行けば、何とかなるだろう。
そう思えるほどに年齢を重ねていたことが幸いだった。若い頃だったら、自意識の方が勝って、尻込みして参加しなかったと思う。
当日、会場へのエレベーターが開いたら、行列だった。降りるに降りれない。会場整理の人に手伝ってもらって、エレベーターを降りる。行列は延々と続き、どこが最後尾かもわからない。
とにかく並べ!とばかりに、列の後ろを探す。並びながら係の人を捕まえて、会場に入る手順を教えてもらう。もう、何の列に並んでいるのかわかっていないド素人である。
入ったら、すごい人、人、人。そりゃ、行列の人が全部入っているのだから。わたしはイベントやバーゲンに参加しないので、人の熱気にしばらく酔った。
クラスメイトと一緒に歩き始めてすぐに、お世話になった文学学校のチューターが見つけてくれた。お会いするのは一年半ぶりで、一気に昔の雰囲気に包まれる。
弾みがついたわたしたちは、人混みの中で多くのブースを見て回った。途中からそれぞれのペースで回ることにして、わたしは岸田奈美さんのブースを目がける。ここでも小さな列ができていた。SNSとテレビでしか見られない人に会えたのも、文フリ大阪だから見つけることができたのだ。
クラスメイトと合流、ランチへ行き、文学のこと、これからのことを話す。彼女とは、こうやって話す場を持てなかった。コロナ禍で、ずっとオンラインでしか会ったことがなかったから。5月に連絡をもらわなかったら、今もまだ会えなかっただろう。きっかけは、小さな行動から始まるのだ。
休憩を終えて彼女とは別れ、もう一度会場へ入る。先ほどのチューターから、文学学校の友人が来ていることを教えてもらう。会場は午前ほどの人混みはなくなったけれど、それでもまだまだ盛況と言える状況で、会場をひと回りしてから電話する。わたしが電話することは、めったにない。でも、友人に会いたかった。
友人は会場の外にいて、ウロウロと歩くわたしを捕まえてくれた。お互いの予定の都合で、ちょっとだけお茶をする。これも一年半ぶり。
帰ってから、買った冊子を並べてみる。知っていたタイトルもあれば、会場で出会ったタイトルもある。他にも、後で買おうと思って忘れてしまったものもあれば、無料配布でいただいた冊子もある。
これらの冊子を手に取る時、文フリの日を思い出すと思う。偶然が重なって、いろいろな人に会えた、9月25日を。
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