【最強の写真学習】 これで基礎を固める 最良の参考書 〜序章で述べられていること〜
お話の内容は【初心者向け】です。
おはようございます。
アラスカの中島たかしです。
今回も、米国で写真学習しつづけている僕が、欧米の情報をベースに、日本語で解説をしてゆきます。
10回にわたって行う、海外の写真参考書 Creative Nature & Outdoor Photography という最強の写真教科書の、今日は序章を解説します。
【記事ジャンプ用】
今日の内容1
【写真に自分を込めろ!】
著者はこの序章の中で二つ面白いことを言ってます。
一つは、「何を撮るにしても、あなたが見たものに感動が伴っていなければその写真を見る他者がエンゲージすることはない」ということ。
▶エンゲージというのは、たとえばその写真をみて、その作者を調べてみようとか、その写真を好きになって、部屋に飾りたいと思うとか、そういった、より深い興味が湧くことですね。
二つ目は、「あなたがフィールドで感じた、多くの経験・知識・体験を写真に込めることで、より際立った、アウトスタンディングな写真が作れるようになる」ということです。
▶アウトスタンディングというのは、アメリカでよく使われる、最高の褒め言葉です。アウト-スタンディングなので、他の一般的な良い写真の中から頭一つ出ている、という意味ですね。
論理的思考が強いと言われる西洋の人々のなかで、写真の学習をする根本に、この「感動と、自分の知識と、体験とを写真に注ぎ込め!」と言ってるのは大変興味深いことだと思います。
※じっさい著者のブレンダさんは、つねに穏やかな口調で語っているので、「込めろ!」などは言っておらず、これは僕の「いち読者としての興奮」、だと思ってください…
今日の内容2
【伝える術を学ぶうえで重要なこと】
さて、この本では「自分の体験」というものをいかに写真に込めるのか、あるいは風景を見たときに自分が感動したことをいかに写真にうまく取り入れていくか、ということに主眼が置かれているわけですが、
本書のゴールである「感動のワケを考え、それを伝える術を学び、これらを読者(あなた)が習慣にすること」がありましたね。このなかの「伝える術」を学ぶうえで重要なことが三つあります。
1.光をどう扱うか
デザイン、構図を駆使していわゆる「普通」の写真以上のものをどう撮るかを学ぶという基本。Photo-graph とは「光で描く」です。
2.モーション、ムード、色
これらを使ってより表現を豊かにすることを知る。
3.最終的に、あなた自身がどのように対象に立ち向かえば、あなたなりのうまい表現が可能になるのか、この方法論を知る。
自分の体験というものがもっとも重要で、光や色を扱うというテクニックは、そこに立脚してはじめて伝わるものになると言っています。
繰り返しになりますが、本書のなかでは、写真を撮る最終目的は、見た人に伝わる写真を、いかに意味を込めて撮影ができるか、ということに主眼が置かれています。
この部分というのが他の参考書と違う部分であると、僕は思います 。
今日の内容3
【本書から学んだ僕の作例2】
(今回も口述筆記での記載です)
次の写真こちらはですね。アラスカの一番大きな都市、アンカレッジ近郊です。人口32万人もの都市がアラスカの中にあるんです。都会ですよね。正直、街なかにはアラスカらしい風景というのは特に残っていないような場所です。ただ、やはり郊外に出て行くと自然風景というのはちゃんと残っているわけですね。
1.光を扱う。
▶逆光で情緒に訴えるよう、また、ややセンチメンタルな調子に整えるよう意識した。
2.モーション、ムード、色。
▶モーションは無し。ヨコ位置の平穏ななかに要素をまとめ、バラの色が中核となる全体のバランス。
3.あなたなりのうまい表現を考える。
▶スリーピングレディ「眠れる女性」という名のついた、アンカレッジの人が見てわかる山と、アラスカの長い夏に咲くバラを提喩的に用いた。
▶+α すこし複雑なことを言うと、、、
【写真における提喩法】眠れる女性とバラは相性がよく、この「山」と「バラ」という概念(下位概念)が、アンカレッジは大変きれいな場所だ(上位概念)ということを比喩で現した、賛辞を贈る写真ということになります。
これは2015年に、アンカレッジで作品展示をするときに撮った写真で、とても好評でした。使っているテクニックとしては三つあります。
一つはパースペクティブ、遠近感のことです。
写真に遠近感を出すためには、これは広角のレンズを使っているというのは分かると思います。けれども前景に、(これはシトカローズというバラですけれども)それを大きく持ってきて、画面にうまく囲うように配置をして奥にスリーピングレディという山を置くことで、距離を出してます。
それから他に使っているテクニックとしては逆光です。
実際にカメラでそのまま太陽に向かって撮影をすると、前景はかなり暗くなってしまう。人間の目ほどカメラはダイナミックレンジが広くないのです。これは普段から撮影している人は分かると思います。デジタル現像をして自分が見た目に近いような風景に持ってきたわけですね。細かい事を言うと Lightroom でシャドウをかなり引き上げたということです。
最後に、三段風景構図です。
構図としてこの写真のなかでは、西洋的な絵画における基本的なものを採用しています。前景・中景・背景というこの三段構図ですね。そして、それぞれのパートに意味のある対象物を入れて、一枚の写真として完成させるものですね。また、この写真は組み写真の中の一部としては使いにくいものであって、一枚で完成させる写真として撮影をしています。
しかし、以上の内容は「人に見てもらう写真を想定して」のことになります。では、逆に僕個人のストーリーはどうかというと、以下に記してみます。
【作品展でのキャプションと、そこに添えたストーリー】
夕日に照らされるシトカローズ
アラスカの夏の一日は長い。真夜中の時刻だというのに、陽は地平線に沿って横に動いており、沈む様子を見せない。
風景を撮影したいと思う瞬間は、僕自身がその場に馴染むことができたときに多い。その情景にうまく浸れたとき、と言ったらいいだろうか。すぐにカメラを手にして撮影することもあるのだが、このときはしばらく景色を眺めながら、写真に別の意味をもたせられないかを考えていた。
撮影するからには、人が見て感動できる写真を考える必要がある。日頃から自分の撮影活動はそうあるべきだと考えている。しかし、日常のなかで起こる私的な記憶を、写真の中に凝結することはできないだろうか。何年かしてこの写真を振り返った時に、そのときに仕舞い込んだ記憶が、自分のためだけに、そのときの感情を伴って蘇るという超主観的な写真。記念写真とは違い、善悪ある強烈な感情をメタファーとしてバラと山に与え、その記憶を自分の頭ではなく、写真の中へ要約して収めておくという試み。一度忘れ去った時を、いつしか、ふと思い出す詩のように…。風景とは、ときにそうあってもいいのではないか。
以上になります。
今日は、本書のイントロ(序章)で語られている、本の概要のお話でしたけれども、今後解説してゆく各章について、このイントロで語られている「感動したことをいかに写真に伝えるか」「自分が何に感動したか」ということをこの本を学習していく上で念頭において学んでいく必要があります。
これは、僕からお伝えする参考書の解説にとどまる記事ではなく、一緒に写真を学んでいく記事だと思ってくだされば幸いです!
このシリーズでは Blender シャープの著作であるクリエイティブ nature and Outdoor photography という本をベースに、本書で書かれている内容をご紹介しつつ、僕がこの本で学んだことと、撮影で応用した作例も加えてご紹介しながら進めていきたいと思っています 。
この記事をここまで読み進めてくれた方は、おそらく写真の作品づくりを考えられている方だと思います。
これからも英語圏の教材をベースに、ハイクオリティな写真を制作するための内容を少しづつ記事にしていく予定です。
ぜひコメント・ご指摘くだされば幸いです!
中島たかし
Nakashima Photography 公式ホームページ
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