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美容室の開業 美容機材はリースの方がいい?

 創業融資を受けようとしたら融資担当者より、投資金額が大きすぎる。事業計画を再度見直した方がいいと言われてしまった。先輩経営者から、それなら美容機材をリースにすればいい、と言われたが、リース契約でも問題はないのか?
 今回のテーマは、美容機材をリースで契約する場合の問題についてご紹介します。

〇融資で投資額が高いと言われた時、機材をリースで契約して良いのか?
 融資面談にて、今の投資金額は高すぎるので希望した金額の融資は難しいです。内装設備や購入予定の機材を見直し、必要な投資をもっと抑えられませんか?こういった指摘を受けてしまった場合、正直、内装はレベルは下げたくない。だから、購入予定だった美容機材をリースにして、最初に必要になるお金を減らして、減額された融資額で無理に開業しようと考える方がいます。

〇金融機関は本当に購入したかどうかを確認する
 美容機材を購入する前提で見積書を提出し、実際は融資額が減額されたため、美容機材は購入せずにリースで契約してしまったらどんな問題があるのか。金融機関は、どんなお金の使い方をするのかを確認してから融資決定を出しています。そのため、最初に伝えていた内容と違う内容の支払いをすると、約束違反として指摘を受ける可能性があります。こういったことを防ぐために、金融機関は融資のお金を融資申請者に渡すのではなく、内装工事や美容機材などの請求書を受け取り、金融機関が直接業者に支払うをする、ということもあります。目的は不正防止のためです。もし、購入すると言いながら、実際はリース契約で取得していた場合、これは約束違反として一括返済を求められる可能性があります。

〇購入とリースのどちらが有利なのか?
 購入とリースとどちらが有利なのか?何をもって有利か、不利かを判断するのかという問題となりますが、開業後の経営においては、毎月の支払が少ないほど、経営はより安全となります。つまり、毎月の支払額を押さえられる方が有利と考えた方が良いです。リースというのは、実は、創業融資で借りる借入と比較して、返済年数が短くて、金利の高い、借金と同じと考えてください。創業融資の設備資金であれば、一般的には10年での返済が可能であるのに対して、リース契約は一般的には5年がリース期間となることが多いです。またリース手数料も馬鹿にはなりません。リース契約をして5年間で支払いを続けた場合の総額と、購入する時の総額を比較すれば、圧倒的に購入の方が総支払額は少なくなります。毎月の資金繰りを考えるなら、確実にリースではなく、創業融資を借りて購入した方が有利と言えます。

〇お金が無い人にはリースを勧める業者が多い
 リースにすれば経費にもなる。こんなことを言う人もいますが、経費という点では購入しても減価償却費として経費となりますから、経費の面において変わりはありません。経費の損得よりも、総支払額が多いのがリース契約である、ということを知っておいてください。手元資金を他に使いたいから、手元資金が今は少ないからリースにする、という考え方は、金銭的な負担を後回しにしているだけであることを認識する必要があります。

〇おわりに
 創業融資で、購入と言っていたものを、お金がないからリースにする、というのは絶対にNGです。購入した証明(請求書と支払いの分かる振込控え)の提示を求められてしまっては取り返しがつきません。また、お店を経営した後で生存するお店を作るためには、毎月の支払をどれだけ減らせるかが重要となります。そういった意味では、返済期間の長い創業融資でお金を借りた方が資金繰りも楽になります。手元のお金が少ないから、足りないから、という理由で安易にリース契約にするのではなく、そもそもの投資計画の見直しをすることがまずは重要となります。

美容室専門税理士 中嶋 政雄

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