見出し画像

美容室の創業融資 『自己資金』ってどんなお金のこと?

美容室専門税理士の中嶋です。
YouTubeチャンネル「サロン開業アカデミー」にてサロン開業、サロン経営に役立つ情報を配信しています。
このnoteでは、「サロン開業で必要な知識、考え方」をできるだけ分かりやすくお伝えしてします。

今回のテーマは、美容室の創業融資で最も大切なテーマでもある「自己資金」について、です。

〇自己資金はいくらある?
自己資金はいくらありますか?とお聞きすると、
自己資金は300万円あります。500万円あります、など。

え?
そんなにあるの?
とこちらが驚く金額を聞く機会も少なくありません。

でも、良く聞くと、自分で貯めたお金は100万円で、後は両親から借りたお金、もしくはもらう予定のお金であることも少なくありません。

〇その自己資金は本当??
なぜか自己資金を多めに言いたがる人が多いです。自己資金を少なめにいうと、美容室開業にデメリットが生じる可能性があると考えている人が多いようです。

でも、現実は自己資金を多めに言うメリットは何もありません。
むしろ、デメリットばかりです。

〇自己資金を多く言うデメリットとは?
自己資金を多めに言うことで、
「あぁ、この人はお金は大丈夫だな」という印象を与えます。
美容機材を扱うメーカーや内装工事業者さんは、基本的に品質の高い商品を提供したいと考えています。別に、高い商品を売りつけようとしているのではなく、美に対する意識の高い美容師に、品質の良い商品を提供することが望ましい、と考えている訳です。
お金に余裕があると思われる人には、最初からタカラのYUMEを提案するのが自然な訳です。
内装工事の自己資金の多さに比例して、内装工事費用の予算も上がる傾向にあります。そうなると、ヒアリングで聞いた自己資金の大きさに合わせた提案をされるのも不思議なことではありません。

融資面談の場面でも、自己資金300万円と言っておきながら、実は、200万円は身内から借りたお金であることが面談の場面で発覚したら、もはや取り返しがつきません。
融資申請に段階で、自己資金は100万円で、200万円は身内からのサポート資金として事前に伝えていた場合とは、まったく違く結果となります

〇自己資金の意味
自己資金というのは、「自分が開業のためにどれだけ準備をしてきたのか」を証明するものです。兎に角、金額が大きければ良い、というものではありません。

自分で貯めたお金が100万円なら100万円と胸を張って言えばいいのです。

そのうえで、身内から200万円のサポートが受けられます、と言えることが出来たら、お金を貸す金融機関からすれば融資はしやすくなります。内装業者さんも、使って良い予算に合わせた提案をしやすくもなります。

自己資金が300万円あると言っていた人でも融資が受けられない人はいます。逆に、自己資金が100万円の人でも、融資が1000万円受けられる人はたくさんいます。

この違いは、どんな準備をして自己資金を貯めてきたのかを証明できるかどうかです。

〇自己資金の証明の仕方
毎月通帳に給料が入り、その給料から家賃を支払い、携帯電話代を支払い、生活費を支払う。その残りを貯めてきた。もしくは、その中から毎月貯金をしてきた。その積み重ねが自己資金と呼べるお金となります。

そのため、自己資金であるかどうかは「通帳」で判断します。中には、「タンス預金」でお金を貯めた、と言い張る人もいますが、通帳残高がいつも数千円、数百円の通帳を見て、手元でお金を貯められている、とは普通は考えてもらえません。

タンス預金が自己資金として認められない訳ではありませんが、これから美容室の開業を準備する人に対しては、「タンス預金」での自己資金の準備は絶対にお勧めしません。自己資金というのは、開業にどれだけ準備をしてきたのかを証明する材料でもあり、武器でもあるのです。

自己資金は金額の大きさを武器にするのではなく、どれだけ真剣に開業を考え、向き合って準備してきたのかを証明する絶好のチャンスでもあります。

是非、自己資金を味方につけて、美容室の創業融資を勝ち取ってください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?