立地でお店の売上の6割が決まる。  美容室開業『立地の探し方』

集客はホットペッパービューティー、ネットを使うから立地はどこでもいい。ビルの何階でお店をオープンしたって大丈夫。

■立地はどこでも良い

本当でしょうか?

もし、その理屈が正しいなら、集客がしやすい立地で、ホットペッパービューティーやネットを使って集客したら、もっと有利ということになります。経営は、どこまで行っても、有利な条件を多く持っている人が勝ちます。

美容室を開業する人のほとんどは、『集客できる立地』の探し方を知りません。

■「商圏分析」とは違うの?

 勘違いされることも多いのですが、大手美容メーカーの開業相談で実施しているのは、立地の探し方ではなく、「商圏分析」です。これは立地の探し方とは全く違います。

「商圏分析」というのは出店しようとしているエリアにどんな人が住んでいるのか、どれくらいの所得層の人が多いのか、が分かる分析です。ダメの立地であっても、その立地の属性を「商圏分析」で調べて、このエリアはターゲットの客層のお客様が比較的多いから大丈夫、なんて判断をしたら大事故です。めっちゃ分かりにくい立地なのに、「商圏分析の分厚い診断資料」をもって、良く分からないけど安心している人も少なくありません。「商圏分析資料」が融資判断に有利に働くと思っている人も多いです。

■『集客できる立地』とは

 あなたのお客様はどうやって来店されますか?駅から徒歩で来店しますか?車で来店しますか?

私のお店はほとんどが徒歩で来店されます。もちろん、エリアによってはそんな場所もあります。名古屋でいえば、名古屋駅、栄エリアの美容室。それでも、ほとんどが徒歩のお客様と言えるのは、ほんの一握り。ほとんどの美容室のお客様が車を使って来店されています。例え、この場所は地下鉄から歩いて徒歩1分にあるからといって、お客様は電車で来るとは限りません。都心部から離れた駅ほどこの傾向は強いです。駅の目の前であっても、お客様は車で来店される方が多くなります。

■あなたのお店に駐車場はありますか?

不動産立地を探す時に、「駐車場」の大切さを理解せずに選んでしまう方が多いです。ほとんどのお客様は「車」で来店されます。女性が「車」を使って来店するということは、女性が運転しやすいような道路であり、女性が運転して出入りやすい間口があり、また、簡単に駐車しやすい駐車場であることが大切です。

駐車場?ありますよ。お店の前に2台。お店のセット面は4面あるのに、駐車場は2台。お客様は予約制で入れ替えしますから、なんとかなりますよ。

この考え方がアウトです。

自分がお店に行くときに、駐車場が2台しかない飲食店に、12時半くらいに行こうと思いますか?車で行っても、停められないかもしれない。あのお店の駐車場は狭いから心配。あのお店は車で行きにくいからなぁ。『集客できる立地』は、お客様目線で、気軽に、自由に、行きやすいお店であること。

■美容室の良い立地とは?

〇生活道路であること(分離帯がなく、生活者が普段使う道路)

〇駐車場がお店の全面、又は側面に4台以上あること

〇駐車場の出入り口が入りやすく、駐車場が停めやすいこと

〇交差点内でないこと

概ね、こんな感じでしょうか。立地の診断をするときには、まずは地図上で出店立地としてふさわしいかを見ます。これをロケーションと言います。ロケーションで合格点が出れば、次はサイト。実際にお店を見に行って、お店がどんな風に見えるのか。車でお店の前を通過してみて、看板、お店の存在、出入り口は見えやすいのか、近隣店舗に女性が近寄りにくいお店はないか、も確認します。

ロケーションとサイト、駐車場を見て、OKであれば、次は家賃が予算内に収まるかどうかを見ていきます。

立地の診断といっても、専門家でなければ分からない、というほどのものではありません。

■不動産屋さんにお願いする時の条件とは?

『美容室を出店したいのですが、どこか良い場所はありませんか?』

こんな質問をしていたら、ハッキリ言って有利な条件の物件は出てきません。そのお店にある物件情報の中で、希望した家賃でテナントとして空いているところを紹介される程度になってしまいます。相手もプロですから、条件さえ明確に提示したら条件に見合ったものを探してくれます。

〇家賃(予算家賃なのでそれ以上の金額提示は基本的にNGとする)

〇必要な坪数(4面のお店なら15坪から20坪の間)

〇道路の種類(生活道路)

〇駐車場の存在と入りやすさ、停めやすさ(お店の前面か、側面)

この4つくらいを不動産屋さんに提示しておいて、この条件に見合ったものだけを教えてもらう。この条件が1つでも欠けたものは提示してもらわないようにする。条件に合っていないにも関わらず、不動産屋さんが物件情報を提示してきたら、その不動産屋さんとはお付き合いしない方が良いでしょう。

■良い立地が見つかったら、いよいよ融資申請手続きへ

立地が見つかったら、いよいよ次のステージです。私達が大切にしていることは「必ず生存する美容室をつくること」です。自己資金がいくらたくさんあっても、どれだけ素晴らしいキャリアのある方であっても、ダメな立地で出店しようとする方の融資申請のお手伝いはしません。逆に、良い立地が決まれば、どれだけ自己資金が少ない方であっても、投資金額を適切にすれば、その後のサロン経営の成長軌道は見えますので融資自体も可能となります。融資手続き自体は、それほど重要なものではありません。

■立地でお店の売上の6割が決まる。

立地が良いお店に出店した人ならば、この事をよく理解しているはずです。私という美容師でなくても、これだけの売上があげられる立地。でも、ここで私だやるから、さらに売上が確保できる。こんな環境で美容室の開業をスタートしていくと、まずは生存環境を、そして次は成長へと続い行くことが出来ます。

なかしま税務労務事務所 税理士 中嶋 政雄 社労士 中嶋 有美





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