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#07 大好きだった彼女③

その頃バイト代を貯めていたのは車を買う為。もちろん3年間のバイト代程度で買える車とは中古車でも程度があまり良くない車。それでも人生で初めて車を所有する事が出来ました。

ガソリンも今に比べるととても安く1Lあたり70円台後半。車も今と違って単純な為、余計な機能もなく派手さも無かったけれども手に入れた時は嬉しかったな。大学が休講の時には車に乗ってあちこち出かけました。車を持てたのは仲間内でも少なかったので時には足になる事も。足になる事は何にも苦痛では無かったな。真夜中まで麻雀して明け方に吉野家に朝定食食べたり。買い物に行った帰りに突然数百キロ先までドライブに出かけたり。今も車の運転は苦にはせず、むしろ楽しみと思るのはこの当時から変わらないな。

そんなある日、大好きだった彼女をドライブに誘う事にしました。二つ返事でOKしてくれた彼女。一番最初にどこに行ったのか・・・忘れてしまいました。肝心なところなのですが、一番最初にどこに行ったのか?

主に出かける先は遠くだった事は覚えています。住んでいる所から遠く。海、岬、山。本当に色んな所。県内の道の駅スタンプラリーやろう。と県内の全道の駅巡りを制覇したり。ソフトクリームが好きなのでソフトクリームを食べに遠くに出かけたり。当時はネットやSNSが無く、またナビも無いので情報誌と地図を片手に彼女にナビをしてもらいながら出かけました。今でも初めて行く地でも、一度地図を見るとそれとなく方向が分かるのはこの時に身に付いたのかもしれません。

遠くに出かけるという事は長い時間彼女と二人でいられるという事。今までは電話だけだったのが助手席に彼女がいる時間が長くなりました。社内では何を話したのか。会話の中身までは忘れてしまったのですが、他愛のない話ばかりをしていたと思います。

昔好きだった女性が、数年後偶然再会して、結構な頻度で会い、長い時間一緒にいてくれる。

その後も彼女や彼女の友達と出かけたり遊びに行ったり。私の生活の比重はそれまでの友達と遊ぶより、彼女や彼女の友達と遊ぶことが多くなっていきました。そして私の勘違いもより大きく。彼女はきっと同じ気持ちなんだろうと。

私には分かっていました。彼氏がいる事を。彼氏が出来たとて彼女との二人でいる時間はさほど変わりませんでした。私もその事には触れず。彼氏が出来ても彼女といる時間は大きく減る事はありませんでした。私もその事に触れず。触れてしまうと彼女といられる時間が無くなってしまうのではないか。それが怖く彼氏が出来ても「どこか行こう。」と言ってくる彼女の誘いを断る事なく付き合っていました。

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