憧れの穂高連峰〜奥穂高岳、前穂高岳〜(2024/07/21〜22)
穂高連峰。
松本育ちの自分は小さい頃からその名前を聞いて育ってきた。
登山を始めた時に、なんとなく聞き馴染みのあるその山々にいつかは登らないとな、と思った。
ただ、登山口からの距離も長く、また山頂への道は中々に険しいもので、初心者がいきなり登るにはそこそこ危険が伴う。そこで1年ほど経験を積んで、ようやく登ることにした。
ルート
上高地から涸沢経由で奥穂高岳、前穂高岳と登り、重太郎新道で岳沢、上高地へ降るルート。
涸沢カールで一泊するのが定番だと思うけど、涸沢カールは通過し一気に穂高岳山荘まで上がる健脚プラン。涸沢で一泊してしまうと二日目に上高地まで戻るのが厳しいので、岳沢に泊まることになる気がするけど、そうすると3日目は軽く降るだけでなんだか中途半端になるので、それなら頑張って穂高岳山荘まで行って一泊二日で帰ろうという算段。
活動ログ
距離:27.6km
獲得標高:2257m
タイム:Day1: 9時間40分、Day2: 7時間36分
Day1
土曜夜発の夜行バスで朝5時半に上高地バスターミナルに到着。バスは空いていて横は空席だったけど、相変わらずあんまり寝れずに、寝不足のまま登山口に降り立つ。
朝の上高地は清々しい。下界はあんなに暑いのに、ここは空気がひんやりしていて少し肌寒いぐらい。
雲は多いが晴れ間も見える。日曜の早朝、思っていたよりは人が少なかった。バスターミナルからすぐで河童橋。
ちなみに松本育ちのくせに、上高地に来たのは多分初めて。親は「小さい頃に連れて来なかったっけ〜?」なんて言うけど全く記憶にございません。自家用車では来れないし、登山やハイキングやってないと中々来るもんでもないしね。
さて、ここから横尾まで長い林道歩きがスタート。
この時は土砂崩れの影響で小梨平から先が通行止めのため、梓川右岸の道を通って明神までいく。この木道でオコジョに出会ったんだけど、動きが速すぎてカメラに収めることができず…。まあでも幸先のいいスタート。かわいいよねオコジョ。
朝靄の立ちこめる明神池に寄り道。
サクッと明神館に到着。ここで朝ごはんのおにぎり食べてちょっと休憩。止まってると半袖だとやや寒い。
休憩もそこそこに徳沢に向かう。先は長い。
半袖だと汗はかくけど腕がちょっと肌寒い。
林道を歩き続けて徳澤に到着。
うーん、なんだか曇ってるね。晴れの予報ではあるんだけどなあ。
徳澤あたりで平地歩きは飽きてきて、横尾までの道のりは結構退屈だった。退屈なのと寝不足が相まって、半分寝ながら歩いていた気がする。
そんなこんなで横尾に到着。大体コースタイム通りに歩いてきたから、河童橋から約3時間。まだ登山始まってないんだよな。横尾で水を汲んだりなどしてちょっと休憩。
橋を渡ってゆるゆると登っていく。ここから涸沢まではようやく登山道になる。と言っても、そこまで険しくもなく、小屋泊装備であればホイホイ登れるような傾斜。
日曜ということもあってか人が少ない。下ってくる人はいるが、登ってる人は全然いない。涸沢は人気エリアだから土曜とかピーク時は人がすごいんだろうなあと思いつつ、今日は静かなもんです。
1時間ほどで本谷橋に到着。
それにしても曇ってるなあ。
ひたすら石段を登っていくとカール地形が見えてくる。
涸沢小屋と涸沢ヒュッテの分岐に到着。ここまで来ればもう一踏ん張り。
この辺は猿がたくさんいた。
上高地から歩くこと5時間、涸沢ヒュッテに到着。長かった。
ひとまずテラスで休憩。人も少なくて、席も選び放題だあ。
安曇野方面は晴れていて大天井岳がよく見えている。
ここでお昼としてチャーシュー麺を注文。疲れた身体に沁みる。このままビール飲んでここで寝たいなあなんて思うほど心地よかった。
雲かかっちゃってるけど奥穂や北穂がドーンと見えていい景色。
40分ほど休憩してザイテンに向かって出発。穂高岳山荘を目指す。今日はここからが本番。
ヒュッテからザイテングラートへは涸沢小屋を経由するルートとパノラマコースとがあるが、今回は後者を選択した。歩き始めてからすぐに雪渓が登場。雪渓といっても緩やかにトラバースしているだけなのでアイゼンとかは必要なく、しっかり踏んでいけば問題ない。
小屋経由コースとの合流地点。ここから左側にトラバースしながら登っていく。
1時間ほどでザイテンの取り付きに。なんか疲れて足が中々前に進まない。
ここからヘルメットを着用。
すごい疲れてるってわけでもないんだけど、少し頭も痛いし、足が重い。ちょっと空気の薄さを感じるような、そうでもないような。
中々険しい登り。岩がゴツゴツした中を登っていく感じ。とはいえ、滑落事故が多発するような難易度でもないように感じた。下りでの事故が多いらしいから、疲れた状態で下ってるとズルッといっちゃう、みたいな感じなのかしらん。
標高を上げるほどに、振り返れば常念や蝶なんかのパノラマ銀座の稜線が見えてきてすごく綺麗!涸沢のテント場もよく見える。
鎖場もちょこちょこあるけど足を置くステップを用意してくれているので、鎖を使わなくても登れる。
岩岩しくてかっこいい。
しかし、ちょっと登っては息が上がる。標高のせいなのかはわからない。
小屋まであと20分の案内が見えればもう少し!あと一踏ん張り!
なんとか14時に穂高岳山荘に到着。上高地から8時間以上歩きっぱなしで流石に疲れた。体が重い。
小屋泊なのでチェックイン。穂高岳山荘は去年開業100周年で、今年は101年目だったのだけど、去年配っていた100周年記念バッジが今年ももらえた。在庫が余っていたのかな。100周年手拭いも売ってたから買ってしまった。
荷物を置いて外に出ると、結構晴れている。まだ時間があるので奥穂か涸沢岳の山頂に登ろうかなと思いつつ、どっちに登るかしばし悩む。奥穂にはどっちみち明日登るので、今日登らなくていいっちゃいいんだけど明日晴れるとも限らないしなあ。一方、涸沢岳は今日登らないと当分来ないかもしれない。両方の山頂を見ると涸沢岳の方はガスが晴れていたので、涸沢岳に登ることに。
20分とかからず登頂。標高3110m、日本で8番目に高い山。
コルに立つ山荘の赤い屋根と岩の灰色、青空のコントラストが綺麗。登っている間に奥穂山頂は完全にガスに包まれてしまった。
東側に目を向ければ常念山脈の稜線が美しい。
山頂は切り立っててちょっと怖い。風も強いのでさっさと山荘まで下山。
穂高岳山荘はこのテラスがいい雰囲気よね。広々として開放感がある。
ビール買って外の広場で祝杯。
テラスでちょっと横になって起きたら夕食まであと20分。軽く頭痛がするし、ちょっと吐き気もするぐらいコンディションが悪い。これ高山病なのかな?一気に標高上げすぎたのかもしれない。
正直夕食を食べる気が起きなかったのだけど食べないと明日しんどいだろうなあというのもあるし、出されたご飯を残すのはポリシーに反するのでなんとか完食。
夕食後は頭痛薬飲んで早々に就寝。
穂高岳山荘の布団と毛布は暖かくてぬくぬくというか、暑くて布団のけるぐらいだった。そして隣との間に軽い間仕切りがあって、間隔も十分に取られているのもあって熟睡できた。
Day2
朝起きると体調不良は治っていた。よかった。
朝ごはんをモリモリ食べて出発。なんだけど、ガッスガスで何も見えないw
肌寒いのでフリースを着て、その上からさらにレインウェアを着た。
奥穂への道も全く見えない。この中登るのか…、というか奥穂への登りって結構険しい箇所もあるっぽいし大丈夫かなあ…と少し不安になりつつ、とりあえずアタックしてみる。
いきなりハシゴ。
朝露で岩は濡れてるし、岐阜県側から爆風が吹き上げているしでちょっと怖い箇所がいくつかあった。特に登り始め10分ぐらいの道のりが足の置き場が狭い箇所を横に移動しないといけないようなところがあって恐怖感があった。滑って転けたら普通に死ぬなあこれ、みたいな。
とはいえ、前半の難所を越えれば後半は比較的楽なコースに。といってもガレガレの急登なので気が抜けないけど。
ペンキマークが見えているのでガスガスだけど迷う心配はそこまでない。
それにしても何にも見えないし、他に登っている人の姿も見えないし、上りはきついしで、修行感が漂う。
慎重に登りをこなして30分ほどで奥穂の山頂に到着。憧れの奥穂に登ったけどなーんも見えんw
いやあツイテないなあ。ガス率高し。
山頂で5分ほど粘ってみたが一向に晴れる気配がないので、諦めて前穂に向かう。吊り尾根を歩いている間もずっとガス。本当ならば絶景のはずが…。
吊り尾根は岩場のアップダウンで、鎖場が何箇所があるが、全体的にそこまで難しくは感じなかった。ただ長いかな。1時間半ぐらい続くから。
途中で二組ほど追い抜いたが、他に歩いている人はほぼいない感じだった。
前穂に近づいてきたころ、ちょっとガスが晴れてきた…!
これは期待していいのか!?
お、おおー!晴れてきた!!
後ろを振り返ると今歩いてきた道が見える。こんな場所だったのかあ。歩いている最中は何にも見えなかったからなあ。
前穂側と上高地側が少しだけ晴れてきてルンルン気分で歩いていると唐突に紀美子平に到着。奥穂の山頂から1時間半ぐらいかな。
岳沢側から登ってきた人たちなのか、何人かが休憩していたのと、いくつかザックがデポしてあった。自分もザックを置いて前穂へ登る。
前穂までのこの登り、ほぼ岩をよじ登る感じでかなり体力持ってかれる。こりゃあ大変だわ。今回のルートの中で一番大変な道だったかも。
前穂高岳登頂!晴れてる!
山頂は岩でゴツゴツだけど開けていて気持ちいい。景色は半分ぐらいかな。パノラマ銀座側が雲からでたり隠れたり。上高地側は晴れているけど、奥穂側は相変わらずガスっている。
北穂も見えたり見えなかったり。それでも少しでも晴れてくれて良かった。
奥穂に登って、吊り尾根を歩いて前穂まで来たんだあという達成感がすごい。
たっぷりと景色を堪能し、下るのがもったい無いという気持ちを後に下山。
事故の多い重太郎新道ということでまだ気を抜けない道のりが続く。
いきなり鎖場だけど岩は乾いていてグリップが効くので慎重に行けば問題ない。
ここからさらなる激下り。滑落者多数、とのこと。
重太郎新道はかなり険しくて滑落も多いと聞いていたからどんなもんだろうと思っていたが、自分のスキルと体力であればここも危なげなく歩くことができた。とはいえ険しいことは険しい。
有名なほぼ垂直の長ーい鉄ハシゴ。先行者がいたので下り切るまで待ってから下る。ハシゴは一人ずつね。
足を滑らせたら超危険という場所も確かに何箇所があって、気を抜けない。
遠くに岳沢小屋と上高地を見ながらグングン標高を下げていく。結構登って行く人もいてすれ違いになった。途中すれ違った二人組が岳沢小屋のテント場でクマに出くわしたよって話してて怖いなあと思った。
岳沢小屋到着。紀美子平から大体1時間半ぐらいかなあ。
ここまでくればだいぶやり切った感がある。怪我もなく重太郎新道を下り切った。
テラスで絶景を見ながらキーマカレーをいただく。いやあ気持ちいいなあここ。風が抜けて気持ちいい。
ここで大休憩していたら環境省のパトロールの人が10人ぐらい登ってきて、小屋の人と何やらクマについて話していた。テント場周辺にクマが出没しててる件で現地視察に来たっぽい。このままクマの被害で続けば、最悪テント場を閉鎖しないとかも、みたいな話をしていた。さらに天狗沢の方からおじいちゃんが息切らして走ってきたから何かと思ったら、すぐそこでクマに襲われたそう。ええ、小屋から10分もしないとこらしく近すぎるやろう。怖いなあ。クマは運ゲーだからなあ。明日は我が身。
※ その後、一旦テント場が閉鎖され、クマが駆除(捕獲して他の山域に放流)されたのち、再開したそうです
さて、下山。
上高地まで樹林帯を下る。余裕を持って13時半には河童橋に着いた。
昼過ぎの河童橋は観光客でごった返ししていた。
今回は憧れの穂高連峰に登れて、自分の中でも達成感がひとしおだった。
最後の最後まで奥穂はガスの中。ついぞ顔を見せてくれなかった。また晴れてる日に登らないとな〜。
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