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2021年 12冊目『胎児期に刻まれた進化の痕跡』
松岡正剛さんの塾に通っています。
生命と文明のAIDA(間)というテーマで、その関係で生命の進化について学んでいます。
その中で取上げられた本です。
入江直樹さんという研究者がご自身の研究の軌跡(試行錯誤や葛藤)を書かれています。
最終的には素晴らしい発見もされているのですが、小説として読んでも面白いです。
研究者の仮説の立て方、そしてその立証の仕方が良く分かります 。
入江さんはもともと別の研究をしていたのに、これに取りつかれてしまいました。
周囲の方々からは、博士号取ってからにしては?
お金つかないよと否定されます。
その中で担当教授は、半ばあきれながらもサポートしてくれます。
これだけでもドラマですよね。
何となく知っている知識で、人は受精卵から人になる間に、生命の歴史を通っているって話ありますよね。
それで、色々な生物の最初のころは似ているって話ですね。
つまり、受精卵からしばらくの間は似ていて、その後、種ごとに多様性が増してくる。
言わば、円錐のように最初は同じで、その後広がっていくってイメージです。
なるほど、なるほどって思います。
ところが研究者は違います。「似ている」って何?
見た感じなんですけれど、では許しません。
また、最初は同じって言っても、実際はかなり多様性があるのです。
最初が同じような種だけ集めて、似ているって言っている節もあるのです。
そこで似ているを定義して、調べて行きます。
すると、どうも円錐型ではなく、砂時計型ではないかという結論になるのです。
つまり最初は多様で、手だとか足だとか機能が出てくるところは似ていて、また広がる。
そうこうしているうちに、論文発表前に、砂時計型だよという論文が他から出ます。
入江さん、かなり落ち込みます。
しかし、担当教官は違います。
やっている方法は違うし、他の人が出て来たって事は、この分野が生まれて来たって事だよ。
異様にポジティブです。
その後、入れ子構造の砂時計も出るかもとかいろいろあるのですが、最終的には砂時計だと証明し論文になります。
しかし、話はここでは終わりません。
なぜくびれるのか?
砂時計の大きさは?
最も進化した生物とは?
入江さんの研究生活はまだまだ続きます。
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